第五章
Ⅳ 連絡船  ゲートウェイ拠点都市コリダロスを出航し、幾度かのワープを重ねながらペル セウス腕宙域を渡ること、時間にして六十三時間。  ついに銀河系渦状腕、ペルセウス腕とオリオン腕の間を連絡する『レマゲンの 橋』に到着した。  旅客船は終点である惑星トゥーロンに停船した。 「ここからは、レマゲン橋連絡船に乗り換えるわよ」  ルイーザが立ち上がる。  少年達も後について昇降口へと向かう。  銀河系渦状腕間隙を一飛びできるワープ技術はまだ開発されていないので、レ マゲンの橋内にある星々を伝って渡るしかなかった。  しかも星々は、いわば大河の激流の中に浮かぶ岩のような状態で、頑丈な船体 構造を持つ連絡船でないと渡れなかった。  少年達が乗ってきた旅客船は、整備と燃料補給を済ませてから、ここで折り返 し運航することになっている。  銀河系渦状腕間隙に渡された橋には開発順に、  ケンタウルス帝国(オリオン腕)とトリスタニア共和国(たて・ケンタウルス 腕)の間に架けられた『タルシエンの橋』  トリスタニア共和国とアルビオン共和国の間の『ルビコンの橋』  そして『レマゲンの橋』という三つが存在する。  そのいずれも軍事的戦略的に重要なので、橋の出入り口には、それぞれの国家 が軍事基地を置いており、通行にはパスポートや通行許可証などが必要であった。  レマゲンの橋は、両端が同一国なのでパスポートは必要ないが、通行証が必要 だった。  少年達の所持する旅券は、トラピスト行きなので通行証が付随していた。  旅客船を降りて、時折すれ違う帝国兵士の群れに怯えながら、連絡船乗り場へ と移動する少年達。 「ちょっとお、何を怯えているのよ。兵士を見るたびに、そんなんじゃ逆に不信 感を抱かせるだけよ」  ルイーザが注意した。 「ごらんなさい。アレックス君は、全く動じていなわよ」 「仕方がないよ。偽造パスポートを持ってれば、誰でもバレないかと挙動不審に なるよ」  少年を代弁してアレックスが答えた。 「とにかく、堂々と胸を張って歩いてね」  搭乗手続きカウンターにてチェックインして、何とか無事に搭乗口から、連絡 船に乗り込むことに成功した少年達。  ここから先にはワープゲートはなく、亜光速航行と連絡船自身のワープ機能で 進んでゆくことになる。  連絡船は、今まで乗っていた旅客船と違って、展望ルームや遊技場などの施設 は一切なく、目的地到着まで指定席に座ったままである。  一応はリクライニングシートなので、席を倒して仮眠を取ることはできるし、 目の前のモニターにて映画や外宇宙の映像を見れるし、機内食も出される。  それなりに快適な船旅を楽しむことはできるようだ。  少年達は目的地到着までの間、椅子を対面に動かしてトランプゲームなどで時 間を潰すことにした。
   
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