「あせってもだめですよ。もっとじっくり腰を落ち着けて、植物状態から離脱できるような、頭脳にインプットする方法を考えましょう」
私の考えも傾いていた。
植物人間を復活させる治療。つまりまずは彼女のバイオ人口頭脳を生きた状態にする方法を考えよう。と……。
「ちょっと考えたんですけどね……」
「なんだ?」
「彼女は生体反応的には完璧な女性の機能を持っています。瞳孔反応とか基本的な原始的な反射反応もあります。セックスドールとして風俗営業店とかに売り出すなり貸し出せば、大もうけができるかも知れませんよ」
「ば、馬鹿なことをいうな! 私はそんなことのために……、金儲けのために彼女を作り出したのじゃないぞ!」
「そ、そんなに怒らないで下さいよ。言ってみただけですから」
「冗談でも口にするものではない!」
「判りました。金輪際口にしませんから」
「何にしても……。このままではどうしようもないな。私だけでは八方塞がり状態だ」
「誰か、協力者を仰ぎませんか? バイオコンピューターの研究をしている人は大勢います。彼女の頭脳の生体プログラムを開発できる人物を探しましょう」
「そうだな……それしかないだろう」
「今日は、これくらいにしましょう。明日、大学の研究所とかを回って適任者を探してみますよ」
「ああ、よろしく頼む」
片づけをはじめる助手。
私は、ベッドの上に眠る彼女を見つめながら思いに耽っていた。
「ソフトウェアか……」
一体どうやって彼女の頭脳にインプットすればいいんだろうか……。
その生体プログラムの概要すら思い浮かばない。
眠れるシンデレラを起こすには、王子様のキスしかない。
その時だった。
私の頭の中にある方法が思い浮かんだのだ。
「先生、帰りましょうか」
片づけを終わった助手が促した。
「いや、先に帰ってくれないか。もうしばらく考えたいことがあるのだ」
「そうですか……。あまり無理しないでくださいよ」
といって、助手は研究室を後にした。
残された私は、早速準備に取り掛かることにした。
彼女の頭脳にインプットする生体プログラムを開発することは自分には不可能だ。
かといって助手の言うように、誰か他の研究者に協力を仰ぐのも本当は反対したかった。