難病(特定疾患)と生活保護・社会保障を考える【携帯/モバイル版】

この場を借りて、難病(特定疾患)と生活保護などの社会保障制度について考えてみたいと思います。

巨細胞性動脈炎、リウマチ性多発筋痛症

1.巨細胞性動脈炎、リウマチ性多発筋痛症とは?(定義)
2.この病気の患者さんはどのくらいいるのですか?(疫学・頻度)
3.この病気はどのような人に多いのですか?(男女比・発症年齢)
4.この病気の原因はわかっているのですか?(病因)
5.この病気ではどのような症状がおきますか?(症状)
6.この病気にはどのような治療法がありますか?(治療)
7.この病気はどういう経過をたどるのですか?(予後)
8.よく聞かれる質問とこたえ(FAQ)

1.巨細胞性動脈炎、リウマチ性多発筋痛症とは?(定義)
巨細胞性動脈炎とは、病気で障害された血管に、巨細胞という特徴ある細胞が見られることからこの名前が付けられました。血管を取り出して、顕微鏡で検査し、そこに巨細胞が見つかればこの病気の診断は確定します。多くが、側頭動脈に病変があるため側頭動脈炎とも呼ばれます。この病気の半数がリウマチ性多発筋痛症の患者さんに起ることから、二つの病気は密接に関連していると考えられます。
リウマチ性多発筋痛症は、他に原因のない肩、腰周囲の筋肉痛を起こす病気で、血液で高度の炎症反応を認めるのが特徴です。しかし、これといった決め手になる検査がないため、診断は、感染症などを否定しながら総合的に行われます。

2.この病気の患者さんはどのくらいいるのですか?(疫学・頻度)
リウマチ性多発筋痛症は比較的めずらしい病気です。関節リウマチの十分の一以下と考えられます。アメリカでは、50才以上の人口10万人に対して、年間50人ほど発病するとされています。

3.この病気はどのような人に多いのですか?(男女比・発症年齢)
リウマチ性多発筋痛症は40〜80歳代に分布し、発症時の平均年令は65才くらいと好例の方の病気です。男女比は1:2とやや女性に多いといわれています。一方、巨細胞性動脈炎は60〜70歳代を中心に、50才以上の高齢者に多発します。男女差はありません。

4.この病気の原因はわかっているのですか?(病因)
巨細胞性動脈炎では、地理的な偏りや遺伝的な素因が認められるという報告があり、ヒト白血球の血液型である HLAは、DR-4を持つことが多いとされています。炎症をおこす原因として、免疫の異常が原因であることまではわかっています。

5.この病気ではどのような症状がおきますか?(症状)
リウマチ性多発筋痛症では、全身症状、筋肉症状、関節症状3つが主な症状です。これらの症状が急速に出現して、2週間程の短期間に病勢はピークに達します。全身症状としては、発熱(80%)、食欲不振(60%)、体重減少(50%)、全身倦怠感(30%)、抑うつ症状(30%)がみられます。筋肉症状としては、筋肉痛が、頚部、肩周囲、腰部、臀部、大腿部に見られ、この痛みは自分で感じられる痛みで、圧されたり、運動してもそれ程変わらないのが特徴です。また、筋肉には赤みや腫れなどはなく、筋力が弱くなったと感じることもありません。低下もない。関節症状は、主として痛が肩、膝、手首の関節やその周囲に見られ、関節そのものが腫れたりすることは少なく、多くは筋肉痛に由来するものです。

一方、巨細胞性動脈炎では、リウマチ性多発筋痛症と同じような全身症状に加え、特徴的な血管炎の症状が出現します。多くが側頭動脈を障害するため、両方のこめかみを通るこの動脈が腫れて、痛み、帽子をかぶる時にこのことに気付いたり、頑固な頭痛に悩まされたといった症状が見られます。痛みは、しばしば拍動性 で激しいことがあります。また、食事をする時に、顎の関節や舌、口の周りの痛みが起ることがあります。これは、この部位に行く動脈の流れが悪くなったためです。眼に行く眼動脈に障害が起れば、一時的に目の前が真っ暗になる状態がおきます。そのまま、治療をしないと失明するケースもあります。巨細胞性動脈炎はこのように、頭部の動脈が障害されますが、頭部以外の内臓病変を伴うこともあり注意が必要です。

6.この病気にはどのような治療法がありますか?(治療)
リウマチ性多発筋痛症は、ステロイド剤が特効薬です。しかも、比較的少量で劇的な効果が期待されます。一方、巨細胞性動脈炎では、リウマチ性多発筋痛症にくらべより大量のステロイド剤が必要となります。病状によっては、ステロイドパルス療法などの点滴や、免疫抑制剤などが使われます。

7.この病気はどういう経過をたどるのですか?(予後)
リウマチ性多発筋痛症は、ステロイド剤に対する反応が良好なことで知られ、薬を飲みはじめてすぐに、症状が軽快しはじめます。しかし、薬をすぐに中止すると再発することがありますので、慎重に薬の量を減らしていかなければなりません。
一方、巨細胞性動脈炎では、病気の広がり、治療を開始した時期によってその経過はさまざまです。早期に治療が開始され、病気の広がりも限られたものであれば、薬に反応して病勢はコントロールされるでしょう。しかし、治療の開始が遅れ血管に後戻りできないような変化が起ってしまえば、回復は困難で、例えば眼動脈にそのような変化が起ってしまえば失明してしまうこともあります。

8.よく聞かれる質問とこたえ(FAQ)
Q1:リウマチとは、どう違うのですか?
A1:リウマチ性多発筋痛症は、関節リウマチと違い、関節、特に、その周囲を被っている滑膜に炎症が及ぶことはありません。従って、関節の破壊や変型は起こしません。また、この病気では、血液検査でリウマトイド因子が陰性であるのが原則です。
Q2:何がきっかけでリウマチ性多発筋痛症から巨細胞性動脈炎になるのでしょうか?
A2:具体的にはわかっていません。しかし、リウマチ性多発筋痛症がコントロールされていれば、巨細胞性動脈炎への移行は少ないことから、リウマチ性多発筋痛症のコントロールに十分注意を払う必要があります。


トップメニューへ

メニューに戻る