難病(特定疾患)と生活保護・社会保障を考える【携帯/モバイル版】

この場を借りて、難病(特定疾患)と生活保護などの社会保障制度について考えてみたいと思います。

パーキンソン病関連疾患(進行性核上性麻痺)/特定疾患情報(公費負担)

認定基準診断・治療指針

1. 進行性核上性麻痺(PSP、 progressive supranuclear palsy)とは?
脳の特定の部位 (脳幹、小脳) の神経細胞が障害されて減少するために、歩きにくく転びやすい、異常な姿勢 (頚部を後屈させ上半身が後方にそり返る)、動作緩慢といった症状を示し、進行すると眼球の運動制限、痴呆、しゃべりにくい、飲み込みにくいといった症状が出現する疾患です。発病時には、パーキンソン病とよく似た動作緩慢や歩行障害などを示すために区別がつきにくいことがあります。

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか
正確な調査はありませんが、有病率は、10万人に4〜5人程度と推測され、パーキンソン症状を示す患者の約5%が進行性核上性麻痺と言われています

3. この病気はどのような人に多いのですか
男女比は、2.4:1と男性に多い傾向があります。発症年齢は40歳以降で、大部分の人は50歳台から60歳台に発症します。この病気にかかりやすいようなライフスタイルなどは特にわかっていません。

4. この病気の原因はわかっているのですか
脳内の特定の部位 (黒質、上丘、淡蒼球、視床下核、小脳歯状核) の神経細胞が減少し、アルツハイマー神経原線維変化という異常構造が出現します。何故このような病変が起こってくるかという原因はわかっていません。

5. この病気は遺伝するのですか
遺伝はみられません。

6. この病気ではどのような症状がおきますか
主な臨床症状としては、姿勢異常と運動障害、眼球運動障害、構音障害、嚥下障害、精神症状があります。

1. 姿勢異常と運動障害
歩行時に体のバランスを崩してたやすく転倒してしまうというのが最初に気づかれる特徴です。足がすくんだように前に出にくくなったり(すくみ足)、歩行のスピードがだんだん増していき止まれなくなる(加速歩行)といったパーキンソン病によく似た歩行障害が出現します。進行につれ、頚部が背屈し上半身が後方にそり返りのけぞるような姿勢になります。徐々に動作が緩慢になり手足の関節が固くなり、最終的には寝たきりになります。

2. 眼球運動障害
病初期には上下方向、特に下向きの随意的眼球運動が障害されるために、下方に視線を移すことが困難になります。病気が進行すると左右方向の随意的眼球運動も制限され、最後には眼球は正中位で固定して動かなくなってしまいます。

3. 構音障害、嚥下障害
進行すると嗄れて聞き取りにくいしゃべり方(構音障害)、むせやすく飲み込みにくい(嚥下障害)といった症状が徐々に出現します。口からの食物の摂取が困難となった場合には経管栄養が必要となります。

4. 精神症状 進行すると、思い出せない、反応に時間がかかる、無気力やうつ状態、周囲への無関心などの症状が出現します。

7. この病気にはどのような治療法がありますか
現在のところ根本的な治療法や症状を改善する特効薬はありません。

薬物 : 抗パーキンソン病薬や抗うつ薬が使用されますが、効果は一時的あるいは無効です。

リハビリ : 歩行障害の訓練や手足の拘縮 (関節が曲がってかたまる)予防にリハビリは必要です。転びやすいので、しっかりつかまれる場所で行います。目印があると歩きやすいので、廊下に色テープで横断歩道のような縞印を作るのも一法です。手拍子、メトロノームの音やヘッドホンの音楽など、音でリズムをつけるのも、すくみ足や歩行を改善します。

栄養 :下方視が困難であるので、食物は目線よりも上に置いて視界に入るようにします。 嚥下障害のために食べることが難しくなれば、まずゼリー状のトロミをつけます(薬局で手に入ります)。経口摂取ができなくなったら、経管栄養食などを利用して、鼻腔栄養や胃瘻(腹壁から直接胃の中にチューブを入れる)からの栄養補給を行います。

介護 : まず、寝たきりを防ぎ、起床や座位保持を心がけます。特に、転倒しやすい病気ですので、しっかり支えることが大切です。寝たきりになったら、体の向きを変える(体位変換)ことで床ずれを防ぎ、痰を吸引する(吸痰)ことで肺炎を予防します。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか
歩行障害や運動障害が徐々に進行しバランスを失って転倒を頻回に起こし、最後には寝たきりとなります。発症に気づいてから寝たきりになるまでの期間は5〜10年程度ですが、患者さんごとに経過が異なります。末期には食物や唾液の誤嚥による肺炎や、床ずれによる細菌感染などが死因となります。


この疾患に関する関連リンク
パーキンソン病と関連疾患(進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症)の療養の手引き(pdf)

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