難病(特定疾患)と生活保護・社会保障を考える【携帯/モバイル版】

この場を借りて、難病(特定疾患)と生活保護などの社会保障制度について考えてみたいと思います。

進行性骨化性線維異形成症(FOP)/特定疾患情報

診断・治療指針

1. 進行性骨化性線維異形成症(FOP)とは
 進行性骨化性線維異形成症(FOP)は、子供の頃から全身の筋肉やその周囲の膜、腱、靭帯などが徐々に硬くなって骨に変わり、このため手足の関節の動く範囲が狭くなったり、背中が変形したりする病気です。生まれつき足の親指が短く曲がっていることが多いという特徴があります。

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか
 外国では人口200万人に対して1人の患者さんがいると言われています。日本では全部で50〜80人程度の患者さんがいると考えられていますが、正確には分かっておらず、研究班で調査中です。

3. この病気の原因はわかっているのですか
4. この病気は遺伝するのですか
 この病気の原因は、ACVR1と呼ばれる遺伝子の一部が正常と異なることであることが分かっていますが、この遺伝子の変化がどのようにして病気を引き起こすかはまだ良く分かっていません。この病気は、常染色体優性遺伝という形で遺伝することが分かっていますが、いわゆる突然変異による患者さんが多く、家族の中で複数の患者さんがいることは実際には少ない様です。

5. この病気ではどのような症状がおきますか
 この病気の主な症状である異所性骨化(筋肉やその周囲の膜、腱、靭帯などが硬くなって骨に変わること)は、乳児期から学童期にかけて初めて起きることが多く、まず皮膚の下が腫れたり硬くなったりして、時に熱を持ったり痛みを伴うことがあります。この症状をフレア・アップと呼びます。フレア・アップを繰り返しながら異所性骨化を生じ、手足の関節の動きが悪くなったり、背中が変形したりします。けがや手術などがきっかけとなってフレア・アップが起きることもあります。異所性骨化は背中や首、肩、足の付け根から始まり、徐々に手足の先の方に向かって広がる傾向があります。ですから手の指の動きまで悪くなることは少ない様です。呼吸に関係する筋肉や口を動かす筋肉の動きも悪くなり、呼吸の障害が起きたり、口が開けにくくなったりすることがあります。心臓を含む内臓の筋肉には異所性骨化を生じないとされています。
 異所性骨化以外に、足の親指が短く曲がっている、手の親指が短い、手の小指が曲がっている、耳が聞こえにくい、髪の毛が薄くなるなどの症状を示すことがあることが知られています。

6. この病気にはどのような治療法がありますか
 この病気を完全に治してしまう治療法は現在ありません。原因となる遺伝子の変化は分かってきましたが、遺伝子治療は行われていません。
 フレア・アップを予防するためには、けがを避ける必要があります。特に転倒、転落はフレア・アップだけでなく、受身の姿勢を取れずに頭などをけがしてしまうこともあるので特に注意が必要です。筋肉内注射は避けるべきですが、皮下注射や静脈注射には問題がないといわれています。インフルエンザなどのウイルス感染をきっかけにフレア・アップを起こすことがあるといわれています。
 フレア・アップを生じた際に異所性骨化への進行を防ぐために様々な薬が試みられていますが、明らかに有効であると確認されたものはありません。ステロイド、非ステロイド性消炎鎮痛剤、ビスフォスフォネートなどという薬が使用されています。

7. この病気はどういう経過をたどるのですか
 病名にあるように、徐々に異所性骨化が進行していきます。手足の関節が硬くなることにより、歩きにくくなったり、手を使った身の回りの動作がやりにくくなったりします。呼吸の障害や、口を開きにくいことによる栄養の障害が寿命に関わるとされていますが、この病気でありながら50〜70歳代で生存している患者さんも確認されています。


情報提供者
研究班名 骨・関節系疾患調査研究班(脊柱靭帯骨化症)
情報更新日 平成20年4月30日

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