@ 組織診断群(確実):1−(2)のいずれかの臨床・検査所見があり,1−(3)が陽性。
A 臨床診断群(ほぼ確実):1−(2)@,Aのいずれかの臨床所見があり,1−(2)Bの(a)(ツベリクリン反応)又は(c)(血清ACE)を含む3 項目以上陽性。
4 除外規定
@ 原因既知あるいは別の病態の疾患,例えば悪性リンパ腫,結核,肺癌(癌性リンパ管症),ベリリウム肺,じん肺,過敏性肺炎など。
A 異物,癌等によるサルコイド局所反応。
表1:眼サルコイドーシス診断の手引き
1 臨床所見の特徴
@ 前部ぶどう膜炎
A 隅角結節,周辺虹彩前癒着特にテント状PAS※
B 硝子体の数珠状,雪玉状,塊状又は微塵状混濁
C 網膜血管周囲炎(多くは静脈炎,ときに動脈炎)及び血管周囲結節
D 網脈絡膜滲出物及び結節
E 網脈絡膜の広範囲萎縮病巣(光凝固斑様又はこれに類似の不定形萎縮斑)
以上の6 項目中3 項目以上のときは,臨床診断疑群としてサルコイドーシスの診断基準1−(2)Bの検査成績から診断する。
2 参考事項
@ ぶどう膜炎に顔面神経麻痺,角結膜乾燥症や唾液腺障害を併発している場合には,眼サルコイドーシスを疑わなければならない。
A 視神経乳頭の充血や肉芽腫はときに眼サルコイドーシスのことがある。
B 続発性緑内障の発生に注意しなければならない。
※ PAS:周辺虹彩前癒着
表2:心臓サルコイドーシス診断の手引き
(1) 組織診断群
心内膜心筋生検あるいは手術によって,心筋内に乾酪壊死を伴わない類上皮細胞肉芽腫が病理組織手学的に認められる場合。
(2) 臨床診断群
心臓以外の臓器で病理組織学的にサルコイドーシスと診断しえた症例に項目(a)と項目(b)〜(e)の1 項以上を認める場合。
(a) 心電図ないし,ホルター心電図で右脚ブロック,左軸偏位,房室ブロック,心室頻拍,心室性期外収縮(※Lown 2 度以上),異常Q 波,ST-T 変化のいずれかが認められる。
(b) 心エコー図にて左室壁運動異常,局所的な壁菲薄化あるいは肥厚,左室腔拡大が認められる。
(c) 201Tl-Cl シンチグラムで灌流欠損,あるいは67Ga-citrate シンチグラムや99mTc-PYP シンチグラムでの異常集積など心臓核医学検査に異常が認められる。
(d) 心臓カテーテル検査における心内圧異常,心拍出量低下,左室造影における壁運動異常や駆出率低下が認められる。
(e) 心内膜心筋生検で非特異的病変ではあるが,有意な中等度以上の間質線維化や細胞浸潤などの病理組織所見が認められる。
付記
1 完全房室ブロック,心室頻拍,経過視察中に出現してきた右脚ブロックや心室性期外収縮(※Lown 2 度以上)は特に頻度の高い心電図変化であり,(b)〜(e)を認めなくても心臓サルコイドーシスを考えて対処してよい。
2 虚血性心疾患と鑑別が必要な場合は,冠状動脈造影を施行する。
3 副腎皮質ホルモン投与によって上記所見の改善をみた場合は,心臓サルコイドーシスの可能性が高くなる。
※Lown 分類
O:心室性期外収縮なし
1:散発する単一の心室性期外収縮
2:頻発する心室性期外収縮(毎分1 個あるいは毎時30 個以上)
3:多形性心室性期外収縮
4:反復性心室性期外収縮(A:2 連発,B:3 連発以上)
5:早期性心室性期外収縮(R on T)
(Lown B,Wo1f M:Approaches to sudden death from coronary heart disease.Circu1ation 44:130, 1971)
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