第十五章 タルシエン要塞陥落
Ⅰ  銀河帝国でアレクサンダー皇太子によって、内乱が集結され統一がなった頃、タ ルシエン要塞では一大事が起きていた。  タルシエン要塞内に鳴り響く警報音。 「タルシエンの橋に感あり! 何者かが橋を通過しているもよう」 「ついに来たか!」  要塞防御指揮官であるフランク・ガードナー少将は指令を下す。 「戦闘配備につけ!」 「戦闘配備!」 「あれはなんだ?」  タルシエンの橋から、まるで蜂の巣を突いたように、数えきれないほどの戦闘機 が沸いて出てくる。 「戦闘機です!」 「カーグ少佐とクライスラー少佐に迎撃させろ!」 「すでに発艦済みです」  無数の戦闘機群に対して、ジミー・カーグ少佐とハリソン・クライスラー少佐が 出て迎撃する。 「戦闘機の数、あまりにも多すぎて計測不能です。百万機以上は軽く突破しま す!」  要塞の周囲に展開していた戦艦だったが、小さな戦闘機に悪戦苦闘していた。 「だめだ! 戦艦では小さな戦闘機の相手にならない。カーグ少佐達に任せるしか ないな」  そのカーグ少佐は、戦闘機相手に奮戦していたが、圧倒的多数に苦戦していた。  が、撃墜していく中で気が付いたのだった。 「報告! 敵戦闘機は無人だ!」  そうなのだ。  撃墜した敵戦闘機には人が乗っていないことが判明した。 「無人戦闘機だと?」 「おおう。有人機は一機もいねえよ」 「これではこっち側だけの消耗戦ではないですか。相手は撃墜されても人的被害は ゼロです」 「なるほどな。帰還の必要のない無人機なら使い捨てだ。しかも生命維持装置や脱 出装置など必要ないから、格安に大量生産できるというわけか」 「3Dプリンターで打ち出した機体に、エンジンと機関砲そして制御装置を組み込 んで。はい! 一丁出来上がりですね」 「いわば百円ライター戦闘機ですか?」 「戦闘は遠隔でしょうか?」 「違いますね。プログラムをインプットされた自動戦闘でしょう」 「どういうことだ?」 「まずは設定目標に対して攻撃、進路を妨害されたら逃げるか攻撃目標を変更。最 終的に燃料切れ寸前に自爆か特攻という具合です。どうやら敵さんの中に自動実行 のアルゴリズムを構築できる優秀なプログラマーがいるようです」 「優秀なプログラマー? まさか例のジュビロ・カービンという奴か?」 「彼はハッカーじゃないか。綿密なプログラムなど組めるのか?」 「しかし実際に、この要塞を奪取した際にはプログラム再構築に参加してましたよ ね」 「そ、そうだった」 「敵さんは、この要塞の詳細を知り尽くしているからな。弱点とかもな」 「これだけの戦闘機です。橋の中のどこかに空母が潜んでいると思われます」 「だろうな。よし、一発お見舞いしてみるか。要塞砲の発射準備をしろ!」 「要塞砲発射準備!」  陽子反陽子対消滅エネルギー砲は、銀河随一の破壊力を持つ究極の兵器である。 「陽子・反陽子加速器始動開始!」 「要塞奪取時に発射テストを行って以来だ。入念にチェックをしろよ」 「了解」 「アレックスは二度と発射することはないだろうと言っていたが、こんな形で実行 することになるとはな」 「軸線上にある艦艇を下げます」
     
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