難病(特定疾患)と生活保護・社会保障を考える【携帯/モバイル版】

この場を借りて、難病(特定疾患)と生活保護などの社会保障制度について考えてみたいと思います。

線維筋痛症

代替治療薬剤治療その他の疾病

線維筋痛症とは?

線維筋痛症とは、全身的慢性疼痛疾患であり、全身に激しい痛みが起こる病気です。


症状
全身や広範囲が痛み、またある部分だけが痛むことがあります。
その痛みは軽度のものから激痛まであり、耐え難い痛みであることが多いです。痛みの部位が移動したり、天候によって痛みの強さが変わったりすることもあります。
痛みが強いと日常生活に支障をきたすことが多く、重症化すると、軽微の刺激(爪や髪への刺激、温度・湿度の変化、音など)で激痛がはしり、自力での生活は困難になります。
随伴症状として、こわばり感、倦怠感、疲労感、睡眠障害、抑うつ、自律神経失調、頭痛、過敏性腸炎、微熱、ドライアイ、記憶障害、集中力欠如、レストレスレッグス症候群などが伴う事もあり、症状は個人差があります。
中には、リウマチや他の膠原病を併発している場合もあります。
痛みによって不眠となりストレスが溜まり、それがまた痛みを増強させる場合もあると考えられております。
死に至る病ではありません。
線維筋痛症は男性よりも女性に多く、中高年の方に多い病気です。そのため自律神経失調症や更年期障害、不定愁訴などど他の病気と診断されることも少なくありません。
現在人口の1.66%、約200万人いるのではないかと疫学的に発表されております。

診断方法
明確な診断基準はなく、現段階では1990年に発表されたアメリカリウマチ学会の分類基準を参考にしています。
全身に18箇所の圧痛点があり、4kgの力で押し11箇所以上痛く、また広範囲の痛みが3ヶ月続いていることが条件。11箇所以上でなくても専門医の判断で線維筋痛症と診断されることもあります。他の病気があっても線維筋痛症の診断は妨げられません。
また、検査をしても異常がないのが特徴です。
血液、レントゲン、CRPという炎症反応、筋電図、筋肉の酵素、CT、MRIを検査しても異常がなく、線維筋痛症と診断できる検査がありません。
そのため患者の多くは診断されるまで、何箇所もの医療機関を何年にもわたってまわり続けることになってしまうのです。

病因
原因はまだ未解明です。
アメリカでは、中枢神経の異常によって痛みの回路が変わり痛みを増幅させているのではないかと考えられているようです。が、はっきりはしておりません。
また、肉体的・精神的ストレスや事故、手術等が引き金となって発症するのではないかとも言われおります。

治療薬
薬は特効薬はまだなく、普通の痛み止めが効かない場合が多く、脳内の痛みをコントロールする作用がある向精神薬を服用することが主流となっております。
患者は精神的な病になっているのではなく、薬の痛みをコントロールする作用を期待して服用しています。

その他
線維筋痛症は日本において社会保険診療報酬制度に入っていないため、保険適用外となっております。医者が随伴症状で保険を適用させているのが現状です。
また、検査しても異常がないことから、多くの患者は「詐病」「怠け病」と見られ辛い思いをしてます。が、線維筋痛症は「怠けることができる人はならない」と言われてます。
なお、篠ノ井総合病院の浦野房三先生が、医学的にも懇切丁寧なホームページを作っておられます。


中日新聞ニュースより引用

2008年11月7日 中日新聞

 全身に原因不明の激しい痛みが生じる線維筋痛症の患者が増えている。痛みのほか検査で異常が見つからないのが特徴。専門医が少ないため正確な診断がつきにくいなど課題も多い。五年前に発足した厚生労働省の研究班の調査で患者が全国で二百万人にのぼる実態などが少しずつ明らかになっている。 (福沢英里)

 津市で先月開かれた線維筋痛症研究会の市民公開講座。「医者からそんな症状あるわけがないと言われた」「症状を言ったら診察を打ち切られた」。医師の認識が低いために診断がつかず、病院を転々とした患者の声が相次いだ。

 主な症状は体全体の慢性的な痛み▽疲労感や倦怠(けんたい)感▽関節のこわばり▽精神的な抑うつ症状−など。痛みの強さは個人差があるが、激痛で自力で生活するのが困難になる場合も多い。男女比は一対四で女性が多く、五十代前後に集中。十代での発症例もある。

 診断は米国リウマチ学会の基準に基づく。後頭部や頸椎(けいつい)、肋骨(ろっこつ)、ひざなど圧痛点と呼ばれる十八カ所を、爪(つめ)が白くなる程度の約四キロの力で触診。十一カ所以上に痛みがあり、さらに広範囲に三カ月以上痛みが続くときに線維筋痛症と診断する。

 血液、エックス線、CTなど通常検査では異常は見つからない。リウマチと違って関節の腫れや変形などもなく、死の危険がある疾患でもない。原因は明らかになっておらず、根本的な治療法がないため、症状に応じた対症療法と生活指導が行われる。

 薬物療法には痛み止めや抗うつ薬があるが、必ずしも効果的とは限らない。軽い運動やマッサージが有効な場合もある。十分な休息やストレスの軽減など生活習慣の見直しも有効だ。

 線維筋痛症の名は米国リウマチ学会が一九九〇年に定めた。それまでは心因性リウマチや筋肉リウマチなどと呼ばれていた。慢性疲労症候群やシックハウス症候群などの症状と区別がつかない場合もあり、関節リウマチや筋疾患などの疑診断も多い。

 厚労省の研究班の調査では、日本リウマチ財団のリウマチ登録医三千九百八十七人のうち、線維筋痛症を「知っている」は31・7%。名古屋や東京などの開業医三千人では「知っている」が38・4%、「知らない」は28・4%だった。

 調査した藤田保健衛生大・七栗サナトリウムの松本美富士(よしふじ)教授(内科)は「専門医の育成に加え、看護師、臨床心理士、保健師などによるチーム医療体制を整える必要がある」と指摘。診療の指針(マニュアル)を本年度中にまとめる方針だ。

 冒頭の講座では、患者らでつくるNPO法人線維筋痛症友の会(横浜市)の橋本裕子理事長が、会員九百六十六人を対象に昨年十月行ったアンケート結果を発表。回答があった患者三百九十三人のうち、66%が同症のため「全く働けない」状態で、83%が「経済的に困っている」ことが浮き彫りになった。

 「生活保護を受けている」は4%、「ヘルパーを利用している」は10%とわずかで、橋本理事長は「障害者認定されにくいため、生活保護やヘルパーを利用したくてもできない」現状と問題点を訴えた。

 友の会が同症に対する医師の認知度を高める働きかけをしてきたこともあって、来年度以降の医師国家試験の出題基準項目となった。会は「行政にも働きかけ、患者の経済的支援につなげたい」としている。

◆相談するには

 厚労省研究班の線維筋痛症医療情報センター(神奈川県の聖マリアンナ医科大難病治療研究センター内)が郵便(〒216 8512 住所不要)とファクス=044(975)7386=で受け付けている。友の会=電045(845)0597=も可。難病治療研究センターが事務局となり、来年1月にもNPO法人リウマチ・線維筋痛症ケアネットワークが新設される。患者への情報提供や相談、医療従事者の教育が目的。


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