難病(特定疾患)と生活保護・社会保障を考える【携帯/モバイル版】

この場を借りて、難病(特定疾患)と生活保護などの社会保障制度について考えてみたいと思います。

広範脊柱管狭窄症/特定疾患情報(公費負担)

認定基準診断・治療指針

1. 広範脊柱管狭窄症とは
広範脊柱管狭窄症とは頚椎、胸椎、腰椎の広範囲にわたり脊柱管が狭くなり、脊髄神経の障害を引き起こす病気を言います。頚椎部、胸椎部または腰椎部のうち、いずれか2カ所以上の部において脊柱管狭小化が存在しなければなりません。頚椎と胸椎の移行部または胸椎と腰椎の移行部のいずれか一カ所のみの狭小化は除かれます。

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか
3. この病気はどのような人に多いのですか
4. この病気の原因はわかっているのですか
平成2年度の全国調査では報告された患者さんの数は1,274人で年間で約2,300人と推計されています。男女比は2:1で男性に多く、中年以降特に60歳代に多く認められています。2カ所以上の狭窄部位は頚椎部と腰椎部の合併が7割を占めています。病気の原因として先天性のものもありますが、加齢とともに椎間板や椎間関節の変性が伴って狭窄を生じてくることが考えられています。

5. この病気は遺伝するのですか
先天性の狭窄症は遺伝性が認められています。それ以外は年齢的な要素が強く、遺伝性疾患ではありません。

6. この病気ではどのような症状がおきますか
主に手足やからだにしびれや痛み、脱力感等を認めます。手足に力が入らなくなると介助を必要とする状態になります。また歩行時に少し休んでは歩くといった間歇性跛行にもなります。排尿や排便の障害も伴うことがあります。軽微な外力、たとえば転倒等で症状が急に悪くなることもあります。

7. この病気にはどのような治療法がありますか
治療として局所の安静を必要とします。そのため頚椎牽引や腰椎牽引さらには固定装具等が用いられます。消炎鎮痛剤やビタミンB12等の薬も使われますが、痛みが強い場合には神経ブロックが行われます。保存的に治療しても効果がないときは入院して頚椎や腰椎の持続牽引を行います。また神経ブロックも併用することがあります。脊髄の麻痺症状が明らかな場合や、保存治療でも効果がみられない場合は手術療法を行います。頚椎部では狭窄部位に対して前方から除圧して自家骨をいれて固定する前方除圧固定術や後方から除圧する椎弓切除術や脊柱管拡大術などがあります。最近の傾向として狭窄部位が頚椎に数カ所ある場合は脊柱管拡大術が行われますます。胸椎部では後方から椎弓切除術が行われます。腰椎部では後方から椎弓切除術や拡大開窓術などが行われます。除圧した部位(図)が不安定になる恐れがある場合は固定術を行います。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか
脊髄麻痺の状態で手術を行っても回復はあまり良くありません。また外傷で麻痺になった方も同様です。時期を失うとたとえ手術を行っても十分な改善が得られないことがあります。一般に手や足に痛みあるいはしびれが存在する場合、症状は良くなったり悪くなったり反復しますので保存的治療を受けながら経過観察します。しかし手足の力が落ちたりする場合、また排尿、排便障害がある場合、手術療法を行わないと症状の軽減は難しくなってきます。

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