海上を進むミネルバ。
補給を終えて、次の作戦地であるリスキー開発区へと向かっていた。
艦橋において艦の指揮を執っているフランソワ。
「艦長。指示された合流地点に近づきました」
航海長が報告する。
「よろしい。減速、三分の二。パッシブレーダーで周囲を探索」
「了解。減速三分の二。パッシブレーダーで周囲を探索」
副長が復唱し、
「減速三分の二」
「パッシブレーダーで周囲を探索します」
各オペレーターが呼応する。
「しかし、いかがなものでしょうかねえ」
副長がフランソワに話しかける。
「何がですか?」
「合同作戦のことですよ。ここは敵の真っ只中です。情報が漏れてしまっていたら」
「待ち伏せを受けて殲滅される危険がある……ですか?」
「可能性はあります」
「ウィング大佐のことですから、その辺のところは抜かりはないでしょう。情報漏れとかがないように万全を期していると思います。例えば指令の伝達に無線を使用せずに補給艦の艦長に伝令を任せていましたしね」
「そうですかね」
ウィング大佐と面識のない副長が懐疑心を抱くのも当然かもしれない。
フランソワとて、ほんのひと時しか会ったことがなく、その人となりを理解できていないのである。
ミネルバの乗員にとって、すべては噂の人でしかなかったが、所属するメビウス部隊の司令官であり、上官として命令を受けたからには、その指示に従うよりなかった。
「右舷後方、五時の方向に艦影。味方です」
レーダー手が二人の会話を遮るように伝えた。
「おいでなさったようですね」
「通信士、艦名は判りますか?」
「戦艦ポセイドン、巡洋艦ネプチューン、巡洋艦ユニコーン、空母サンタフェ、空母サンダーバード以上五隻の僚艦です」
「副長、知ってますか」
「はい、メビウス部隊として数々の作戦を一緒に戦ったことがあります。各艦長とは面識もあります」
「それはよかった」
共同作戦を行うに当たっては、見知らぬ相手より見知った仲間がいた方が良いに決まっている。
「各艦長にこちらに来るように伝えてください。作戦会議を行います」
第一作戦会議室。
フランソワ以下、各艦の艦長・副長や航海長などが集まって、作戦会議がはじめられた。
まずは、各艦の艦長の自己紹介である。
「ポセイドンのアイザック・カニンガル大尉だ」
「ネプチューン、オスカル・ハミング中尉」
「空母ユニコーン艦長、ミランダ・ノイマン少尉です」
「サンタフェのコニカ・バカラック大尉です」
「サンダーバード、ニック・スタブロス大尉」
男性三人、女性二人のそれぞれの艦長である。
さすがに女性艦長がいるのは、ランドール提督配下の艦であることを象徴している。
そしてフランソワが名乗った。
「フランソワ・クレール上級大尉です」
艦長の中では唯一の戦術用兵士官であり、それを示す胸の徽章がひときわ目立っていた。
「上級大尉殿、早速今回の任務を聞かせていただけますか?」
艦長の中でも最古参であるカニンガル大尉が尋ねた。
集合場所は指定されても、作戦内容までは知らされていなかったようである。
秘密情報の漏洩を極力避けるためであろう。