機動戦艦ミネルバ 第一章

W ミネルバ発進!  直ちに発進を開始するミネルバ。 「係留解除」 「浮上開始」 「ミネルバ、発進する」 「ヒペリオン、発射準備完了」 「上空に軌道爆雷多数!」  すかさずフランソワは下礼する。 「待避運動、面舵二十度転進」 「面舵二十度コースターン」 「ヒペリオン、一斉発射して弾幕を張れ」 「敵の揚陸艦を確認」 「戦闘機がこちらへ飛来してきます」 「対空戦闘用意」  次々と命令を続けるフランソワ。  オペレーター達も黙々とそれに答えて命令を実行していた。  スクリーンに明るく明滅する光点が現れた。 「後方に戦艦クラスの揚陸母艦を多数確認」  ふと考えてから、 「敵の揚陸母艦を攻撃します。アーレス発射準備」  と、ミネルバ主砲の発射体制に入った。  アーレスとは、原子レーザー砲のことである。  減衰率の大きい大気圏内において、最も効率的なエネルギー効果を達せられるよう に改良が加えられ、なおかつ連続発射タイミングも通常の三分の一までに短縮されて いる。 「アーレス発射準備」 「超伝導コイルに電力供給開始」 「BEC回路に燃料ペレット充填」 「原子レーザー発振回路限界点に達しました」 「射線軸を合わせる。取り舵、五度回して」 「取り舵、五度」 「軸線、合いました。撃てます」 「アーレス発射!」 「アーレス、発射します」  ミネルバの艦首から、空気を切り裂く凄まじい音響と共に、敵揚陸母艦に一直線に 突き進む原子レーザーのエネルギー。  そして見事に命中して、敵揚陸母艦を撃沈させた。  さらに連続発射で次々と撃沈させていく。  しかし、次から次に現れてはミネルバに向かってくる。 「執拗に向かってくるわね」  ふとため息交じりに漏らすフランソワ。 「向こうも味方が撃沈されて、激怒しているのでしょう。仇討ちのために逃がすもの かと迫ってくるのです」 「でしょうね」  戦闘機群が飛来してくる。 「エネルギーゲージダウン。最充填が必要です」 「面舵一杯、最大戦速で逃げます」 「面舵一杯」 「最大戦速」 「機関出力最大、全速前進」  迫り来る揚陸母艦に対して背を向けるミネルバ。 「艦長。ヒペリオン弾丸が切れかけています」  まだ試験運用段階のために燃料や弾薬などを満載にしてはいなかった。本来弾切れ を起こすことのないヒペリオンも同様である。 「これまでのようですね。戦線の離脱を計ります。高度を下げて海上に着水してくだ さい」 「高度を下げます」 「着水準備」 「これより、水中潜航モードに移行します。潜航士官は交代準備にかかってくださ い」 「潜航士官、交代準備」  水しぶきをあげて海上に着水するミネルバ。 「着水完了」 「潜航準備。総員、潜航士官に交代せよ」  この機動戦艦ミネルバには、士官学校卒業したばかり、もしくは卒業見込みの繰り 上げ者が多数乗艦している。なので未熟者が多く、航空士官と潜航士官とに分かれて それぞれ訓練を続けていた。
     
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