第三章
Ⅷ 中央突破  帝国艦隊の援軍が到着して、状況は混とんとしてきた。  公国艦隊旗艦、戦艦デヴォンシャー艦橋。 「やっと現れたか」  公王アレックスが笑みを浮かばせて呟いた。 「嬉しそうですね」  艦隊参謀長のタスカー大将が尋ねる。 「まとめて敵艦隊を潰す好機だからな」 「なるほど、そういうことですか」  タスカーは気づいていた。  八千隻の艦隊など、いくら後退していようとも、本気で掛かれば撃滅できたはず。  つまり双方の艦隊が帝国の援軍到着を待っていたということだ。 「敵艦隊の戦力は?」  公王アレックスが尋ねる。 「およそ三万隻かと」  レーダー手のグレゴリー・クロンプトン少佐が答える。 「よく搔き集めたな。相手に不足はない」  直近惑星グロベンラーデにはワープゲートがあるので、帝国全域から集めることが できる。とは行っても全艦隊を派遣することは不可能である。艦隊を動かすには金が 掛かる、しかも中継基地とも言うべき惑星ケムニッツに大軍を送り込むことは無意味 であろう。ワープゲートのある惑星ならともかくだ。  しかしグロベンラーデも占領させる訳にはいかないから、援軍の第二陣が派遣され るのは必定だろう。 「いかがなされますか?」  タスカー大将が尋ねる。 「中央突破で行こう。装甲の厚い戦艦で外側を固める」 「かしこまりました」  タスカー大将が応えて、 「戦艦で囲むようにして紡錘陣形を取れ!」  全艦に指令を伝えた。  艦が動き出して、紡錘陣形へと隊列を変えてゆく。 「体制整いました」  タスカー大将が報告する。 「よし、全艦突撃だ! 中央突破を図る」 「全艦突撃!」  タスカー大将の復唱を受けて動き出す公国艦隊。  帝国艦隊の中央に攻撃を集中させて穴を開けてゆく。  拍子抜けするような勢いで、ザクザクと中央突破が進んでゆく。 「敵さん、なんだか脆いですね」 「そりゃそうだよ。寄せ集めだからな」 「なるほど。中央突破作戦を選んだのもそのためなんですね」  援軍の帝国艦隊はあちこちからの寄せ集めである。なので各部隊の連携が悪い。作 戦指揮に問題がありすぎて指揮系統がバラバラである。  ただ数が多いだけの統一の取れていない艦隊など、恐れるに足りない。 「まもなく中央突破が完了します」 「よし、右方向に展開して側面攻撃を仕掛ける。包囲戦だ」  これまでの戦闘で、右側の艦隊の戦闘能力が低いことが分かっている。弱い方から 潰すのは理にかなった方法である。  右側の艦艇数一万五千隻に対して、二万四千隻で戦うことで圧倒的有利となるわけ だ。  包囲戦となったことで、ウォーズリー少将の分艦隊と合流となった。 「ウォーズリー少将、よく頑張ってくれた」 『いえ、お役に立てて良かったです』  分艦隊ともども激烈な攻撃が開始される。  一万五千隻の艦隊がみるみるうちに数を減らしていく。  左側にあった一万五千隻の艦隊は、味方が邪魔して攻撃できないでいた。  やがて右側の艦隊が崩壊するにつけて、左側の艦隊にも攻撃が当たって切る。
   
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