第七章
Ⅷ 囚人解放  宇宙空間を高速航行するアムレス号と並走するフォルミダビーレ号。  アムレス号にはアレックスとエダが乗り込み、残り全員はフォルミダビーレ号 に乗船している。  アムレス号には、超高性能のAI光量子コンピュータが搭載されており、行き 先を指定すれば完全自動航行もできる。なので、アレックスとエダそしてロボッ トのロビーだけでも運用できるのだ。  フォルミダビーレ号の会議室に、アレックスと幹部が集まって協議を行ってい た。 「このフォルミダビーレ号の乗員が、収容所星に護送されようとしている。それ を助け出したいのだが」  最初に口を開いたのは、アーデッジ船長だった。  アムレス号と違ってフォルミダビーレ号は、機関部・砲術部やらの乗員が揃っ ていないとまともに運用できない。 「いいでしょう。救出作戦を行いましょう」 「そうか、助かるよ」  アムレス号に連絡して、フォルミダビーレ号の乗員が護送されている船の位置 を確認するアレックス。  折り返し連絡があった。 『護送船ハ、ブザンソン収容所星ニ向カッテイマス。現在地は』 「よし、収容所星に向かってください。その情報をフォルミダビーレ号にも送っ てください」 『了解』  二隻が並んで速度を上げ、亜空間に消えた。  再び、アムレス号とフォルミダビーレ号が姿を現した宇宙空間。  並んで航行する二隻だが、その大きさを比較するとアムレス号はフォルミダ ビーレ号の三倍はあった。  それは縮退炉を搭載しているので、炉心隔離のための容積を必要としているか らだ。 『マモナク護送船団ニ追イツキマス』 「フォルミダビーレ号に連絡を」  連絡を取り、二隻は共同作戦を発動した。  数時間後、護送船団の後方三十二光秒の距離に配置した。 「アーデッジ船長を」  スクリーンにアーデッジが映し出される。 「まもなく戦闘領域に入ります。護衛艦隊は、こちらが殲滅します。船長は、護 送船に乗り込む準備をしてください」 『了解した』  アーデッジ船長は、エルネスト・マルキオンニ白兵部隊隊長とブルーノ・ホー ケンに白兵戦の用意をするように下令した。 『敵艦隊トノ距離、二十二光秒マデ接近シマシタ』 「全砲塔発射準備! 目標、護送船周囲の護衛艦隊。護送船には当てるな!」 『了解シマシタ』  戦術コンピューターの射撃管制装置が動き出し、護衛艦隊を捕捉し目標ロック オンしていく。 『発射準備完了シマシタ』 「よし、発射!」 『発射シマス』  アムレス号から一斉に発射された砲弾やミサイルが敵艦隊に襲い掛かる。 「突撃だ!」  アーデッジがフォルミダビーレ号に下令する。  護送船に向かって突進するフォルミダビーレ号。  そして護送船の乗船口に横付けする。 「乗り込め!」  エルネスト・マルキオンニ白兵部隊長が、乗船口を開いて突撃を命令した。  護送船の乗員は戦闘未経験な者がほとんどだったので、マルキオンニ達は楽々 と進撃できた。  牢にたどり着いた。  船内に響き渡る騒音に、何事かと鉄格子に顔を擦り付けるように、外の気配を 探ろうとしている仲間達。  そこへ足跡が近づいてくる。 「待たせたな」  マルキオンニが声を掛けた。  聞き覚えのある声に歓声を上げる仲間。 「その声は隊長!」  姿を現すマルキオンニ。 「助かったのですね」 「話は後だ。今出してやる」  錠前を銃で破壊して牢を開けて仲間を解放した。 「よし、船に戻るぞ!」 「分かりました」  乗船口へと急ぐ一行。  数時間後、囚われていた仲間を全員救出してフォルミダビーレ号に戻ってきた。 「増援部隊が向かってきているはずだ。一刻も早くここを離脱する。総員配置に 着け!」 「了解!」  総員、自分の部署へと駆け出した。  数分後。 「総員。配置に着きました」  フィオレンツォ・リナルディ副長が報告する。 「よろしい。アムレス号に繋いでくれ」  スクリーンにアレックスが映し出される。 「こちらはすべて完了した。指示を出してくれ」 「分かりました。こちらから目標座標とコース設定を送ります」  さらに数分後。 「コース設定完了。発進準備OKです」  ウルデリコ・ジェネラーリ航海長が伝える。 「こちらは発進準備完了した」  アレックスに連絡する。 「分かりました。では、行きましょうか」 「分かった」  ゆっくりと動き出すアムレス号とフォルミダビーレ号。  やがて亜空間にワープして消え去った。
     
11