メイドカフェレストラン物語〜キャッスルへようこそ!〜
 (2)制服?

 食事を終えてのひととき。
 里美はレストランで着用する真新しい制服を渡された。
「サイズは合っていると思うが、一度袖を通して確認してくれ」
 仁美に言われてケースに入ったソレを取り出してみて驚く里美。
「で、ちょっと聞きたいんだけど……」
「なに?」
「渡されたこの制服なんだけど……」
 いかにも疑心暗鬼といった口調の里美。
「見ての通りの、うちのレストランの制服だが……」
「それはわかるけど……」
 里美は納得がいかなかった。
 いや納得できるものでもなかった。
 袖を通してみてくれと言われても、素直に従えるものではなかった。
 躊躇している里美を見て仁美が尋ねる。
「なにが言いたい?」
 里美は制服を突き出すように差し出して尋ねるのだった。
「どうして、メイド服なのかな?」
 そうなのだ。
 里美が渡されたのは、レストランのウエイトレスが着ることになっているメイド服のようなユニフォームだった。
 親が経営するのは、メイドカフェレストランであった。
 今流行となっているウエイトレスのユニフォームにメイド服を取り入れていた。
 上流家庭での使用人として着用され、上質の生地、たっぷりのフレアーやレース飾りの施されたもの。
 その業界においては、一種ステータスシンボル的アイテムとなっている。
 来店した客に対して「お帰りなさいませ! ご主人様」とか呼称して、客と店員という関係から主人と使用人という、一種のイメクラ的存在の店舗も存在すると言う。
 そのメイド服を何ゆえに男の子である里美が着なければならないのか?
 里美の問いかけに、仁美は事もなげに答えるのだ。
「似合うと思うぞ」

 

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