プリンセスドール/自覚して(3)

「ごめん。やっぱり我慢できないよ。君の美しい身体を汚すようで、ずっと見ているだけ にしようと思ったけど……」  ベッドが軋む音がした。  そして次の瞬間、私の身体の上に重いものが覆いかぶさったのである。  え? まさかだろ。  両足を大きく見開かされた。  やめてくれ!  この身体はまだ誰にも犯されていない潔白な処女なんだから。 「ごめんね。痛いかも知れないけど……ごめんね」  私のもっとも大切な部分に固いものが当たった。  い、いやだよ。  こんな形でバージンを失うなんて。  次の瞬間、下腹部に激痛が走る。  助手の熱く固くなったものが、私の中へ押し入ってきた。  私が精巧に作り上げたそれは、助手のそれを見事に飲み込んだ。 「ああ……。これで僕と君は一緒になれたんだね」  といいながら私の頬をやさしく撫でていた。 「実は、君を一目見たときから、ずっとこうなることを願っていたんだ」  私の作り上げた膣には、精緻な感覚神経も備わっていた。  そうでなければ意味がないからである。  助手が、やがて腰を動かしはじめ、それに従って痛みも強弱を繰り返していた。 「あ、ああ……。もうだめだ。逝くからね」  熱いものが膣の中に勢いよくほとばしるのを感じた。  そして覆いかぶさるように果てる助手。 「実はね。僕は、女の人とこんなことするの。はじめてだったんだ。ごめん、君もバージ ン失ったね。大丈夫だよ、君の面倒は僕が一生みてあげる。結婚もしないよ。君以上の人 間はいないよ」  当たり前だ!  私の最高傑作を踏みにじっておいて、はいさよならはさせるものか。  この私を捨てたら、死んで化けて出てやる。  その日から、助手は毎日私を抱くようになった。  というよりも毎夜同じベッドで寝るようになっていた。  そして私の知覚もさらに発達していく。  最初は痛いだけだった。  しかし毎日抱かれているうちに、感じるようになったのである。  言い知れぬ感覚に対して身体も反応するようになっていた。  それに助手も気が付き始めていた。 「理奈、感じているの?」  助手は、私を理奈と呼ぶようになっていたのだが……。  言葉には出さないが、微妙な身体の反応は隠せない。 「やっぱりだね。感じているんだね」  歓喜の声で私を力強く抱きしめる助手だった。  そうだろう。  抱いていて何の反応を示さなければ、まさしくセックスドールである。  しかし、刺激に対して反応すれば、さらに愛情が湧いてくるし、生きた男と女の関係が 生じてくる。自分だけが満足するだけでなく、私がより感じるようにやさしく抱いてくれ るようにもなっていた。
     
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