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特定疾患治療研究事業


概要 この制度のしくみ 申請手続きの方法 医療費の患者一部負担の概要 その他

特定疾患治療研究事業は、難病患者の医療費の助成制度です。保険診療では治療費の自己負担分は3割相当(サラリーマンは3割)ですが、その自己負担分の一部を国と都道府県が公費負担として助成しています。現在は、45疾患がこの制度の対象です。

疾患毎に認定基準があり、主治医の診断に基づき都道府県に申請し認定されると、「特定疾患医療受給者証」が交付されます。

制度の概要、手続き方法を参照し、申請については最寄りの保健所にご相談ください。

特定疾患治療研究事業対象疾患(56疾患)一覧

■概要
特定疾患治療研究事業は、「原因不明、治療方法未確立であり、かつ後遺症を残すおそれが少なくない疾病」として調査研究を進めている疾患のうち、診断基準が一応確立し、かつ難治度、重症度が高く患者数が比較的少ないため、公費負担の方法をとらないと原因の究明、治療方法の開発等に困難をきたすおそれのある疾患を対象としています。具体的には、厚生労働省健康局長の私的諮問機関である特定疾患対策懇談会の意見をもとに決定されます。

本事業は、昭和47年度にベーチェット病などの4疾患を対象に発足し、それ以降対象疾患は徐々に拡大され、平成18年現在、45疾患となっています。

■この制度のしくみ
1. 治療を行う医療機関
都道府県知事が、本事業を行うに適当と認められる医療機関を選定し委託しています。

2. 治療研究期間
原則として1年間です(有効期間:10月1日〜翌年9月30日)。
(但し、難治性肝炎のうち劇症肝炎及び重症急性膵炎は、原則として6ヶ月です)

3. 対象者
対象者は、特定疾患治療研究事業対象疾患(45疾患)に罹患し、医療を受けており、保険診療の際に自己負担がある者です。

保険診療とは、国民健康保険の規定による被保険者及び健康保険法、船員保険法、国家公務員等共済組合法、地方公務員等共済組合若しくは私立学校職員共済組合法の規定による被保険者及び被扶養者並びに老人保健法の規定による医療のことです。

ただし、他の法令により国又は地方公共団体の負担による医療に関する給付が行われている者は除かれます。

なお、本事業に関する具体的な内容については、最寄りの保健所に、お問い合わせください。

■対象患者に関する手続きの方法
1. 医療費公費負担受給の申請
(1) 申請者:対象患者又はその保護者等
(2) 必要書類:特定疾患医療受給者証交付申請書、臨床調査個人票(医師の診断書)、住民票及び患者の生計中心者の所得に関する状況を確認することができる書類
(3) 提出先:申請者の住所等を管轄する保健所

なお、重症患者の認定基準及び手続きは、申請者の住所地を管轄する保健所にお問い合わせください。

2. 受給者証の交付
都道府県知事は、申請受理後、内容の審査を行い、対象患者であると決定したときは「特定疾患医療受給者証」を管轄の保健所を経由して申請者に交付します。

なお、健康保険の種類や医療機関などを変更したときは、その都度変更届けを都道府県知事に提出しなければなりません。また、受給者が治癒、死亡などで受給資格が無くなったときや他の都道府県に転出したときは、遅滞なく受給者証を都道府県知事に返還しなければなりません。

3. 軽快者
特定疾患医療受給者証の有効期間は1年間(10月1日〜翌年9月30日)であり、有効期間終了時には、更新申請の手続きが必要です。

更新申請の審査において、次のような場合には「軽快者(対象24疾患)」となり、医療受給者証に替わって「登録者証」が交付され、公費負担医療の対象外となります。しかし、病状が悪化した場合には、医師が悪化を確認した日に遡って対象となります。

軽快者基準 厚生労働省通知

特定疾患治療研究事業における軽快者の基準について
軽快者基準の対象疾患一覧表

■特定疾患治療研究事業における医療受給者証交付申請手続きの流れ
この図は、本事業の申請から認定までの基本的な流れを示したものです。
本事業の実施主体は都道府県であり、申請手続きの詳細は都道府県によって異なりますので、詳しくは最寄りの保健所にお問い合わせ下さい。

図1

■特定疾患治療研究事業による医療費の患者一部負担の概要
特定疾患治療研究事業の医療費の公費負担制度は、平成15年10月1日から取り扱いが変更されました。

1. 都道府県から特定疾患医療受給者証の交付を受けている場合は、従来どおり全額公費負担が継続されます。新たに低所得者(市町村民税非課税)は全額公費負担となります。

(1) 難病のために日常生活に著しい支障のある重症患者
(2) スモン、プリオン病、難治性の肝炎のうち劇症肝炎、重症急性膵炎の患者

2. 都道府県から特定疾患医療受給者証の交付を受けており、上記1.の該当者以外は、各医療保険又は老人保健の患者負担の一部について、医療機関窓口で自己負担が必要です。

自己負担限度額表

階層区分対象者別の一部自己負担の月額限度額
入院外来等生計中心者が患者本人の場合
A生計中心者の市町村民税が非課税の場合0円0円0円
B生計中心者の前年の所得税が非課税の場合4,500円2,250円対象患者が、生計中心者であるときは、左欄により算出した額の1/2に該当する額をもって自己負担限度額とする。
C生計中心者の前年の所得税課税年額が5,000円以下の場合6,900円3,450円
D生計中心者の前年の所得税課税年額が5,001円以上15,000円以下の場合8,500円4,250円
E生計中心者の前年の所得税課税年額が15,001円以上40,000円以下の場合11,000円5,500円
F生計中心者の前年の所得税課税年額が40,001円以上70,000円以下の場合18,700円9,350円
G生計中心者の前年の所得税課税年額が70,001円以上の場合23,100円11,550円
平成20年7月1日改正

※1医療機関につき生じる自己負担限度額です。
※訪問看護、院外処方による調剤薬局での薬剤費については一部負担は生じません。

■その他
各都道府県では、それぞれの実状に応じて医療費等の公費負担を行っています。
詳細は、最寄りの保健所にお問い合わせください。

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