難病(特定疾患)と生活保護・社会保障を考える【携帯/モバイル版】

この場を借りて、難病(特定疾患)と生活保護などの社会保障制度について考えてみたいと思います。

肝内結石症/特定疾患情報

診断・治療指針

1. 肝内結石症とは
肝臓の重要な機能のひとつに胆汁という消化液の産生があります。胆汁は胆管の中を流れて、十二指腸に流入します。これらの胆管のうち肝臓内に存在する胆管に結石ができる病気、すなわち肝内結石症は他の胆嚢結石症や総胆管結石症と異なり、治療が難しくまた治療後の再発率が高いことが知られています。肝内結石の多くはビリルビンカルシウムと呼ばれる茶褐色の石ですが、コレステロール石という黄色の石ができることがあります。

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか
平成11年度の調査では、日本全国で5,900人の患者さんが病院にかかったと推定されました。 しかしながら、新たに肝内結石症を発症することは少なく、年間新規症例は1000例程度と推定されています。
肝内結石症は日本では減少傾向にあります。衛生環境がよくなり食べ物が大きく変化したことが関係しているものと思われますが、具体的に何が関係したかは不明です。

3. この病気はどのような人に多いのですか
今までの調査では、特にこういう人に多いということはありません。肝内結石症の患者さんの男女比は男1:女1.2で、平均年齢は男性63歳、女性64歳という調査結果はあります。 肝内結石症は地域によりその発症頻度が大きく異なることが明らかとなっています。都市生活者では発症頻度が少ないと考えられています。

4. この病気の原因はわかっているのですか
肝臓の中の胆管は、植物の葉の葉脈のようにスムーズに走行し合流しています。肝内結石症の患者さんでは、胆管が膨らんでいたり狭くなっていたりしていることが多く、このために胆汁が澱みその結果結石ができるのではないかと考えられています。ただし、なぜ胆管の形が変化するのかはわかっていません。 肝内コレステロール結石症の原因も明らかではありません。血清コレステロールとの関連は少ないものと考えられています。酒やたばことの因果関係や、職業との関連は否定的です。

5. この病気は遺伝するのですか
先天性あるいは遺伝性因子の関与はたいへん少ないと考えられています。家族の中や兄弟で肝内結石症がふたり以上みつかることはまれです。

6. この病気ではどのような症状がおきますか
特徴的な症状はありません。腹痛や発熱といった症状がほとんどです。黄疸が見られることもあります。これらは結石が胆汁の流れをさまたげるためと考えられています。

7.肝内結石症の診断にはどのような検査が必要ですか
腹部のCT検査、超音波検査で肝内結石症は診断されます。また腹部MRI検査も最近では用いられるようになってきました。

8. この病気にはどのような治療法がありますか
治療は、手術的なものと手術を行わずに結石を取ったりする方法に分かれます。

全国的に見ると、結石の存在する部分を切除する肝切除術がもっとも多い手術的治療法です。手術を行わずに結石を取る方法としては、経皮経肝胆道鏡(PTCS)による治療が普及しています。

9. この病気はどういう経過をたどるのですか
一回の治療でなおってしまう人は半分以下で、多くの人で数年のうちに再発を認めます。難病といわれる由縁です。再発した場合には、PTCSなどの非手術的な治療法が行われます。

再発をくりかえすと、胆管の炎症が重症になったり、肝機能が低下したりして、死亡に至ることもあります。また、肝内結石症の患者さんに肝内胆管癌が発生してくることもありますので、見落とさないように注意深く経過観察する必要があります。


情報提供者
研究班名 消化器系疾患調査研究班(難治性の肝・胆道疾患)
情報見直し日 平成20年4月25日

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