難病(特定疾患)と生活保護・社会保障を考える【携帯/モバイル版】

この場を借りて、難病(特定疾患)と生活保護などの社会保障制度について考えてみたいと思います。

難治性ネフローゼ症候群/特定疾患情報

診断・治療指針

1. 難治性ネフローゼ症候群とは
 ネフローゼ症候群(尿中に大量の蛋白が漏れて、血液中の蛋白が減少してむくみの出る病気)のなかで治療に抵抗して、ネフローゼ状態が治らなかったり、腎臓の働きが徐々に低下するものです。

 腎臓そのものの病気が原因でネフローゼ症候群になる一次性と、全身的な病気から腎障害を引き起こす二次性に分けられますが、一次性では、ネフローゼ症候群の治療薬とされるステロイド薬が効かないステロイド抵抗性と同じ意味に解釈されます。また、二次性では、糖尿病による糖尿病性腎症、全身性エリテマトーデスによるループス腎炎などが代表的な原因疾患ですが、そのほかにたくさんの疾患が原因となります。

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか
 正確な数は不明です。しかし、一次性の場合、ネフローゼ症候群の約10%が難治性といわれます。

3. この病気はどのような人に多いのですか
 小児から高齢者まで広い年齢層で見られ、また男がやや多い(男女比1.3〜1.5) ようですが、原因疾患により違いが見られます。

4. この病気の原因はわかっているのですか
 すでに述べたように、ネフローゼ症候群には、さまざまな原因疾患がありますが、それぞれの病因が十分解明されているとはいえません。ただ、免疫異常や代謝性異常が関与している場合が多いことが知られている。

5. この病気は遺伝するのですか
 小児の先天的ネフローゼ症候群や遺伝性腎炎を原因とする以外については、遺伝的異常との関連性は不明です。しかし、他の疾患と同様、遺伝的素因が関与している可能性が考えられますので、現在その解明研究が行われています。

6. この病気ではどのような症状がおきますか
 まぶたの腫れが目立つ顔面のむくみや、手足のむくみがみられます。とくに前脛骨部(いわゆるむこうずねや弁慶の泣き所といわれる)を押すと、くぼみが生じます。体重が体内の水分貯留により急速に増加することもあります。ただ、このような症状はネフローゼ症候群に共通ですので、難治性かどうかは腎生検による診断と治療の効果で判定する必要があります。また、ネフローゼ症候群が持続するので、栄養状態の悪化、高脂血症による動脈硬化、動脈や静脈の血栓、感染症などにも注意が必要です。

7. この病気にはどのような治療法がありますか
 浮腫を減らすためには利尿薬を使用しますが、根本的な治療とはなりません。免疫異常が関与している場合には、副腎皮質ステロイド薬や免疫抑制薬の使用が不可欠ですが、難治性ではその効果が十分でありませんので、ねばり強い治療が必要です。二次性では原因疾患に対する治療が重要です。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか
 治療により尿蛋白が1日1g以下に減少するようなら腎機能が低下することはないと考えられますが、ネフローゼ症候群が持続する場合には腎機能が徐々に低下する危険がありますので、専門医に御相談されることが大切です。


情報提供者
研究班名 腎・泌尿器系疾患調査研究班(進行性腎障害)
情報見直し日 平成19年6月9日

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