難病(特定疾患)と生活保護・社会保障を考える【携帯/モバイル版】

この場を借りて、難病(特定疾患)と生活保護などの社会保障制度について考えてみたいと思います。

自己免疫性溶血性貧血/特定疾患情報

診断・治療指針

1. 自己免疫性溶血性貧血とは
 赤血球に反応する自己抗体ができて、赤血球が異常に早く破壊されておこる貧血です。いろいろな病型があり、原因もさまざまです。体温付近(37度)で抗体の反応が強いものを温式、4度で反応が強いものを冷式と呼びます。

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか
 患者数は全国で1,300〜1,700 人、1 年間の新発生は数百人程度と推定されています。(昭和49年度、平成10年度調査)。

3. この病気はどのような人に多いのですか
 子供から高齢者までおこりますが、病型によって年齢・性に特徴があります。温式自己免疫性溶血性貧血は小児期のピークを除いては二峰性に分布し、若年層(10〜30歳で女性が優位) と老年層(50歳以後に増加し70歳代がピークで性差はない)に多く見られます。

4. この病気の原因はわかっているのですか
 自分の赤血球と反応してしまう自己抗体ができることによるのですが、なぜそうなるのかはまだ明らかでありません。

  図1


5. この病気は遺伝するのですか
 病因と遺伝性:遺伝性はありません。自分の赤血球と反応してしまう自己抗体ができることによるのですが、なぜそうなるのかはまだ明らかでありません。

6. この病気ではどのような症状がおきますか
 主な症状は貧血によるもので、倦怠感、動悸、息切れ、めまい、頭痛などです。軽い黄疸がみられることもあり、脾臓が腫大することもあります。慢性に経過すると胆石症を合併することも知られています。

7. この病気にはどのような治療法がありますか
 副腎皮質ステロイドホルモン薬を主とする薬物治療が有効です。脾臓の摘出も補助手段として行われます。貧血が強いときは輸血を行うこともあります。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか
 この病気の一部は自然経過で治癒することがあります。多くの症例は中〜長期間の薬物治療が必要となります。治療によって病気の活動性が抑えられれば、 正常な日常生活が送れます。
 なお、他の自己免疫疾患やリンパ腫などの病気を合併していない温式の場合は、診断から5年後の生存率は約80%、10年後は約70%です。


情報提供者
研究班名 血液系疾患調査研究班(特発性造血障害)
情報見直し日 平成20年5月26日

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