あっと! ヴィーナス!!第二部
第三章 part-6  天上界にあるゼウスの妻、ヘラの神殿。  イライラと玉座の前を、行ったり来たりしているヘラがいる。 「アポロンはまだか?」  弘美を捕らえたという報告を受けていた。 「まだのようです」 「今度また人違いだったら、ただじゃおかないからね」  この目でしっかりと確認しないと安心できない。  ファイルーZの存在を知って以来、是が非でも邪魔しようと思っている。  そのリストにあったかつての女性たち。  ヘレネー(スパルタ王テュンダレオースの娘・実父ゼウス)から始まって、 クレオパトラ7世(古代エジプト・プトレマイオス朝最後のファラオ) 虞美人(楚の将軍項羽の愛妾) 則天武后(唐の皇宗の皇后から中国唯一の女帝となる) 楊貴妃(唐玄宗の皇妃) 小野小町(平安時代前期の歌人) エリザベス1世(英国女王) エカテリーナ2世(ロシア女帝) ジャンヌダルク(英仏百年戦争の英雄) インディラ・ガンジー(インド初の女性首相) クララ・バートン(米国赤十字の創始者) マリリンモンロー(米国超有名な歌手) マーガレット・サッチャー(鉄の女と称された英国首相) などなど……。  なおリスト上の女性について当局は一切関知しない。保存ディスクは当人の死亡と同 時に自動的に消滅した。  そして、相川弘美だ。 「アポロン様がお見えになりました」  神子の声に振り返り、駆け寄るヘラ。 「首尾は?」  頭上左右に浮遊させた状態で、弘美と愛を運んできたアポロン。 「ご覧のごとく」  ヘラの視線が弘美に集中する。 「確かに、ファイルーZの娘じゃ」 「というわけで、この娘たちは貰い受けた」 「ふん。好きにするがよい」  言いながら玉座に腰を下ろすヘラ。  ファイルーZの娘が、ゼウスにさえ渡らなければ、アポロンの妻になろうが下僕になろ うが、どうでもよいことなのである。  改めて許可を貰ったので、弘美と愛を連れて自分の居城へと向かおうとする。  そこへ、ヴィーナスとディアナが登場する。 「待ってください!」 「なんだ?お前たちは呼んでおらんぞ」 「アポロン様に用があります」 「ならばアポロンと話し合え。わたしは忙しいのだ」  手を振って、シッシッと追い払うような仕草する。 「わたしの城で話そう」 「わかった」  ということで、アポロンの城へと向かった。
     
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