第十章・漁夫の利
Ⅳ 軽巡洋艦スヴェトラーナ  精神感応(テレパス)=隊長ドミトリー・シェコチヒン(♂)  遠隔視(リモートビューイング)=ニーナ・ペトリーシェヴァ(♀)  念動力(サイコキネシス)=ローベルト・ポルーニン(♂)  遠隔念動力(テレキネシス)=チムール・オサトチフ(♂)  瞬間移動(テレポート)=エヴゲニー・ドラガノフ(♂)  催眠効果(ヒュプノシス)=ナターリヤ・グルカロヴァ(♀)  予知能力(プレコグニション)=ヴァレンチナ・グロムイコ(♀)  精神治癒(サイコセラピー)=アンナ・ネムツォヴァ(♀)  電算操作(ロジック・マスター)=ヴァレリヤン・ロバーノフ(♂)  宇宙を航行するミュー族ESP艦隊の旗艦、軽巡洋艦スヴェトラーナの艦橋。 「銀河人が天の川人と接触したようです」 『ほう……。両国が共闘して我々と交えようという魂胆か?』  と答えるミュー族の族長ドミトリー・シェコチヒン。  彼は、目が見えず耳も聞こえない、そして話すことも出来ない障碍者だった。  しかし、それがゆえにというか、それを補うように精神感応という能力を会得していた。  人の心を読むというテレパス能力で、相手の脳に直接語り掛けるようにして会話をすることができる。 「通信傍受していたところ、天の川人の三隻が離脱してどこかへ向かったとのことです」 『軍事機密漏洩するような相手じゃなさそうだが』 「それが、銀河人の方から暗号化されていない通信が発せられたのです」 『どういうことだ? まさか……我々に傍受させようとしたのか?』 「もしかしたら、我々と天の川人を戦わせようというのでは?」 『そして双方が疲弊したところを、漁夫の利よろしく横から搔っ攫う(かっさらう)つもりなのかもな。離脱した艦はどいつだ? 例の艦なら好都合なのだが』 「どうやらそいつみたいですよ」 『ふむ……』  しばし考え込んでいた隊長ドミトリー・シェコチヒンだったが、 『よし、そいつの後を追うぞ! ロバーノフ頼む』  精神エネルギーを電気エネルギーに変換したのち、コンピューターを自在に操ることのできる『ロジック・マスター』の能力を持つヴァレリアン・ロバーノフに命令するシェコチヒン。 「了解」  ロバーノフは目を閉じて精神統一する。  機関室、誰もいないのに自動的にエンジンが始動し、静かに艦が動き出す。 「微速前進!」  さらに速度を上げてゆく旗艦スヴェトラーナと随伴の艦隊。 「目標艦の推定移動コースを特定しました」  予知能力を持つヴァレンチナ・グロムイコが予測コースを割り出した。 「コースの先に大型艦がいます。どうやら合流する模様です」  遠隔透視能力で艦の位置を特定するニーナ・ペトリーシェヴァ。 『そうか、合流する前に敵を襲うぞ。亜空間ジャンプ用意!』  ジャンプ制御装置にベクトル座標を入力するニーナ。 「ジャンプ到達点入力しました。いつでも行けます」  ニーナの遠隔視で移動する位置を策定し、ローベルト・ポルーニン及びチムール・オサトチフの念動力を使って、艦をジャンプさせることができる。 『よろしい。ジャンプだ!』
     
↓ 1日1回、クリックして頂ければ励みになります(*^^)v
小説・詩ランキング 11