銀河戦記/鳴動編 第二部 第四章・皇位継承の証 Ⅱ
2021.06.20

第四章 皇位継承の証




 宮廷楽団の奏でる音楽の旋律が変わって、パーティーのはじまりを告げていた。
 正面壇上にパーティー主催者であるウェセックス公国ロベスピエール公爵が立った。そばには小さな子供、嫡男であり皇太子候補のロベール王子。
「パーティーにご列席の皆様、ようこそおいで下さいました。ご存知の通りに、帝国に対して謀反を引き起こしていましたマーガレット皇女様が逮捕され、内乱は鎮圧されました。このパーティーは、それを祝いまして開催いたしました。と同時に、我が息子のロベール王子が正式に皇太子として認められたことになる記念日でもあります」
 場内に拍手が沸き起こった。
 皇室議会においてロベール王子が皇太子に推されたことは事実ではあるが、皇女の一人が意義を唱えて内乱を引き起こしたことによって、一時棚上げとされたのである。しかし首謀者のマーガレット皇女が捕らえられたことによって、ロベール王子擁立に反対する者がいなくなって、皇太子として正式に認知されたということである。
 会場に、アレックスとパトリシアが遅れて入場した。
「おお! 今宵の主賓の登場でありますぞ」
 と、アレックスの方に向かって、大きなジェスチャーで紹介するロベスピエール公爵だった。
「この度の電撃作戦によって、見事マーガレット皇女様を逮捕された功労者であります。銀河帝国客員中将となられたアレックス・ランドール提督です」
 ざわめきが起こった。
「何とお若い……」
「あの若さで中将とは」
「それにほら、あの瞳。エメラルド・アイではございませんこと」
「すると皇室ゆかりの方でいらっしゃられる?」
「でも、お見受けしたこともございませんわ」
 会場に参列した貴族達に、アレックスの第一印象はおおむね良好のようであった。
「さあさあ、飲み物も食べ物もふんだんにご用意しております。どうぞ、心ゆくまでご堪能下さいませ」
 アレックスのことは簡単に紹介を済ましてしまったロベスピエール公爵。
 その本当の身分が共和国同盟解放戦線最高司令官であることは伏せておくつもりのようだ。パーティー主催の真の目的がロベール王子の紹介であることは明白の事実であった。貴族達の間を回って、自慢の嫡男を紹介していた。
 参列者達の間でも、それぞれに挨拶を交し合い、自分の子供の自慢話で盛り上がる。
 やがてそれらが一段落となり、見知らぬ女性の存在を気にかけるようになる。
「何でしょうねえ……。提督のご同伴の女性」
 パトリシアである。
 中将提督と共に入場してきた場違いの雰囲気を持つ女性に注目が集まっていた。
「何か、みすぼらしいと思いませんか?」
「ドレスだって、借り物じゃございませんこと?」
 蔑むような視線を投げかけ、卑屈な笑いを扇子で隠している。
「それにほら、あの首飾りです。エメラルドじゃありません?」
「あらまあ、ご存じないのかしら。エメラルドは皇家の者しか身につけてはならな
いこと」
「でもどうせイミテーションでしょ」
「噂をすれば、ほら侍従長が気が付かれたようですわ」
「あらら、どうなることやら……。ほほほ」
 侍従長がパトリシアに近づいていく。


 パトリシアの前に立ち、神妙な表情で話しかける。
「ちょっとよろしいですかな?」
「何か?」
「その首飾りを見せて頂けませんか?」
「え? ……ええ、どうぞ」
 パトリシアの首に掛けたまま、首飾りを手にとって念入りに調べていたが、警備兵を呼び寄せて、
「あなた様は、この首飾りをどこで手にお入れなさりましたか?」
 と、不審そうな目つきで尋ねる。
「ランドール提督から、婚約指輪の代わりに頂きました」
「婚約指輪ですか?」
 今度はきびしい目つきとなり、アレックスを睨むようにしている。
「申し訳ございませんが、お二人には別室においで頂けませんか?」
 警備兵が銃を構えて、抵抗できない状況であった。
「判りました。行きましょう」
 承諾せざるを得ないアレックスだった。
 ほとんど連行されるようにして別室へと向かう。
 首飾りも詳しい調査をするとして取り上げられてしまった。
 案内されたのは、元の貴賓室であった。犯罪性を疑われているようだが、帝国の恩人で摂政から客員提督として叙された者を、無碍にもできないというところであった。それでも警備兵の監視の下軟禁状態にあった。
 しばらくして、首飾りを持って侍従長が戻ってきた。
「さてと……。改めて質問しますが、提督にはこの首飾りをどちらでお手に入れられましたか?」
 という侍従長の目つきは、連行する時の厳しいものから、穏やかな目つきに変わっていた。
「どちらで……と言われましても、私は孤児でして、拾われた時に首に掛けられていたそうです。親の形見として今日まで大事に持っていたものです」
「親の形見ですか……。提督のお名前はどなたが付けられたのですか」
「それも拾われた時にしていた、よだれ掛けに刺繍されていたイニシャルから取ったものだそうです」
「よだれ掛けの刺繍ですね」
「はい、その通りです」
「なるほど、良く判りました。それでは念のために提督の血液を採取させて頂いてもよろしいですか?」
「血液検査ですね」
「はい、その通りです」
「判りました。結構ですよ」
 早速、看護婦が呼ばれてきて、アレックスの血液を採取して出て行った。
「結果が判るまでの二三日、この部屋でお待ち下さいませ。それからこの首飾りは提督の物のようですから、一応お返ししておきます。大切にしまっておいて下さい」
「イミテーションではないのですか?」
「とんでもございません! 正真正銘の価値ある宝石です」
「これが本物?」
 言葉にならないショックを覚えるアレックスだった。
 これまで偽造品だと信じきっていて、親の形見だと思って大切にはしてきたが……。まさかという気持ちであった。
「そう……。銀河帝国皇家の至宝【皇位継承の証】です」
 重大な言葉を残して、侍従長は微笑みながら部屋を出て行った。


 【皇位継承の証】が出てきたという報は、皇家・貴族達の間はもちろんの事、全国津々浦々にまで広がった。これほどまでの重大事に対して、他人の口に戸は立てられぬのごとく、血液検査を担当した研究者によって外部に漏れてしまったのである。しかもそれを携えていたのが、内乱を鎮圧したランドール提督であり、共和国同盟の英雄と讃えられる若き指導者であることも知られることとなった。
 気の早いニュース誌などは、「行方不明の皇太子現る」のスクープを報じていた。
 エリザベス皇女もまた謁見の間において、侍従長の報告を聞いて絶句した。
「間違いないのですか?」
「間違いはございません。【皇位継承の証】は正真正銘の物であり、血液鑑定の結果も行方不明であられたアレクサンダー皇子の血液と一致いたしました。提督のエメラルド・アイが、それを証明してくださるでしょう。拾われた時に御身に付けられていたと言う、よだれ掛けのイニシャルの刺繍もアレックス、皇子の幼名であらせられます」
「そうですか、アレックスが……」
「もう一度申し上げます。アレックス・ランドール提督は、銀河帝国における皇位継承第一順位であらせられる、アレクサンダー皇子に相違ありません」
 事実を突きつけられ、アレックスが行方不明となっていたアレクサンダー皇子であることは明白なこととなった。本来なら大歓迎を受けるはずであったが、行方不明を受けてロベール王子が皇太子として擁立され、皇室議会で承認されている。
 二人の皇太子候補が並び立ったのである。
 新たなる騒動の予感が沸き起こった。

 緊急の皇室議会が召集されることとなった。
 議題はもちろん皇太子の件であるが、開会と同時に議場は紛糾した。
 ウェセックス公国ロベスピエール公爵の息のかかった、いわゆる摂政派と呼ばれる議員が頑なに主張を続けた。
 ロベール王子の皇太子擁立はすでに決定されたことであり、それをいとも簡単に覆して新たに皇太子を論ずるなど皇室議会の沽券に関わる。
 というものであった。
 一方、
 【皇位継承の証】を拠り所として、帝国至宝の絶対的権威をないがしろにするのか?
 という、正統派の意見も半数近くまで占めていた。
 議会は完全に真っ二つに分かれ、険悪ムードとなっていた。
 このままでは、再び内乱の火種となりそうな勢いとなりつつあった。
 しかし、内乱となることだけは、絶対に避けなければならない。
 そこで中立派ともいうべき議員達から折衷案が提出された。
 次期皇太子、皇帝は議会決定通りにロベール王子が継ぐこととし、さらなる次世代にはアレクサンダー皇子もしくはその子孫が皇帝を継承する。ロベール王子は一代限りの皇帝として、アレクサンダー皇子が世襲する。
 というものであった。
 議会の決定を尊重し、かつ【皇位継承の証】の権威を守る唯一の解決策であった。
 とにもかくにも、アレクサンダー皇子の皇室への復籍と、皇位継承権第一位を意味する第一皇子という称号授与が確認された。
 これを中間報告として、皇太子問題は継続審議とされることが決定された。
 謹慎処分を受け、軟禁状態に置かれていたマーガレット皇女は、アレクサンダー第一皇子復籍の報告を受けてもさほど驚きもせず、改めて謁見の許可を求めたという。
 それは認められて、アレクサンダー第一皇子とマーガレット皇女との対面が実現した。
 行方不明だった皇子が現れ、【皇位継承の証】も戻ってきた。
 マーガレットが反乱の拠り所としたものが、目の前に立っていた。その主張が正しかったことを証明する結果となった。

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2021.06.20 08:17 | 固定リンク | 第二部 | コメント (0)
銀河戦記/鳴動編 第二部 第十三章 カーター男爵 Ⅲ
2021.06.19

第十三章 カーター男爵




 捕えられたカーター男爵は、ペラペラと摂政派の内情を話し続けた。
 海賊や本拠の基地の所在や、公爵とドレーク提督の関係まで、聞きもしないことを吐き続けた。
 そのほとんどが既にこちらでも手に入れていた情報であった。
 男爵は、そうとは知りつつも自らは情報提供者という演出をしたかったのあろう。

「男爵をどう思われますか?」
「所信をコロコロと変える人物は信用なりませんね」
「ではどうなさりますか?」
「言質はとってあるし、公爵のところに返してあげましょう。ここに置いておいても役に立つとは思えません。かえって、こちらの情報が洩れる可能性もありますから」
「そうですね。ああいう輩は、自分の都合で簡単に仲間を裏切るものです」

 数時間後、男爵は解放された。

 自分の艦に戻った男爵。
「公爵の元に帰るぞ!」
 敵の捕虜になったことは知られているだろうから、普通の神経を持っていたら、いけしゃしゃあと戻る気にはなれないだろうが。
 しかし腰巾着を長年続けてきた男爵の意識には、遠慮というものは存在しないのだろう。
 公爵邸に舞い戻った男爵は、平然と報告をする。
「海賊基地は崩壊し、ドレーク提督は殉職されました」
「そうか……。海賊の末期だな」
 意外と冷淡な返答をする公爵。
「それで、捕虜になった時に喋らなかっただろうな?」
 突然追及してくる。
 しどろもどろになりながらも言い訳を繰り交ぜて報告する男爵。
「まあいい。捕虜になった以上、解放されるためにはあらゆる努力をするのは同然だ。」

 自らが率いる摂政派は戦争経験のない貴族ばかりで、いざ戦いとなるとへっぴり腰になるのは目に見えている。
 一方の皇太子派は戦争経験も豊富で、何より共和国同盟の英雄が指揮する精鋭部隊ばかっりだ。
 戦いに持ち込むことなく、政争で勝ちにいくしか手段はない。
 となると公爵としても、一人でも多くの賛同者が欲しいはずだ。
 たとえスチャラカ男爵だとしても、無碍には放り出すことはできないのだろう。

「ともかくドレーク提督が逝ってしまった以上、体制を立て直さなくてはならない。お主にも協力してもらうからな」
「もちろん喜んで協力させて頂きます」
「第一艦隊の司令官も選任しなければなるまいが……。それにしても、海賊との関係を知られた以上、これまで以上に慎重な行動を取るしかない」
「奴らが、未だにその件を公表していないのは何故でしょうか? スキャンダルの何ものでもなく、奴らにとっては好材料のはずだと思うのですが……」

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2021.06.19 08:20 | 固定リンク | 第二部 | コメント (0)
銀河戦記/鳴動編 第二部 第四章 皇位継承の証 Ⅰ
2021.06.18

第四章 皇位継承の証




 首都星アルデランのアルタミラ宮殿。
 謁見の間に居並ぶ大臣・将軍達の表情は一様に重苦しい。
 マーガレット皇女が、摂政であるエリザベス皇女の裁定を受けていた。
「マーガレットよ。我が帝国の治安を乱し、テロなどの破壊行為なども誘発したことは悪しき重罪である。事の次第は皇室議会において処遇を決定することになる。追って裁定が下るまで、自室にて謹慎を命じる」
 うやうやしく頭を下げて処分を承諾するマーガレット皇女。
 そしてくるりと翻り姿勢を正して自室へと向かい始め、その後を侍女が従った。警備兵が二人その後ろから付いてくるが、連行するというようなことはしない。皇女としての誇りに委ねられた一幕であった。
 マーガレットが退室し、続いてアレックスに対する労いの言葉が、エリザベスより発せられた。
「今回の任務。よくぞ無事にマーガレットを連れてこられた。感謝の言葉もないくらいである。その功績を讃えて、中将待遇で銀河帝国特別客員提督の地位を与え、この謁見の間における列席を許し、貴下の二千隻の艦船に対して、帝国内での自由行動を認める」
 ほうっ。
 という感嘆の声が、将軍達の間から沸き起こった。

 貴賓室。
 謁見を終えたアレックスが、応接セットに腰掛けてパトリシアと会談している。
 アレックスがマーガレット保護作戦に出撃している間、パトリシアはこの部屋に留め置かれていた。
 いわゆる人質というやつで、大臣達からの要望であったと言われる。それでも世話係として侍女が二人付けられたのは皇女の計らいらしい。
「艦隊の帝国内自由行動が認められたので、スザンナ達には軍事ステーションから、最寄の惑星タランでの半舷休息を与えることにした」
「休暇と言っても先立つものが必要でしょう?」
「ははは、それなら心配はいらない。帝国軍から一人ひとりに【おこづかい】が支給されたよ。内乱を鎮圧した感謝の気持ちらしいが……。本来なら彼らが成すべき事だったからな」
「至れり尽くせりですね」
「しかし、これからが正念場だ。帝国側との交渉の席がやっと設置されたというところだな。まだまだ先は遠いよ」
「そうですね」
 事態は好転したとはいえ、解放戦線との協定に結び付けるには、多くの障害を乗り越えなければならない。特に問題なのは、あの頭の固い大臣達である。あれほど保守的に凝り固まった役人達を説得するのは、並大抵の苦労では済まないだろう。
「ジュリエッタ皇女様がお見えになりました」
 侍女が来訪者を告げた。
「お通ししてください」
 アレックスが答えると、侍女は重厚な扉を大きく開いて、ジュリエッタ皇女を迎え入れた。
「宮殿の住み心地は、いかがですか?」
「はい。侍女の方も付けて頂いて、至れり尽くせりで感謝致しております。十二分に満足しております」
「それは結構です。何か必要なものがございましたら、何なりと侍女にお申し付けください」
「ありがとうございます」
「ところで明晩に戦勝祝賀のパーティーが開催されることが決まりました。つきましては提督にもぜひ参加されますよう、お誘いに参りました」
「戦勝祝賀ですか……」
「内乱が鎮圧されたことを受けて、ウェセックス公が主催されます。その功労者であるランドール提督にもお誘いがかかったのです」
「しかし、私のような門外漢が参加してよろしいのでしょうか?」
「大丈夫です。パーティーには高級軍人も招待されておりまして、客員中将に召されたのですから、参加の資格はあります」
「そうですか……。判りました、慎んでお受けいたします」
 断る理由はなかった。


 祝賀パーティーには、皇族・貴族が数多く参加するだろうから、印象を良くし解放戦線との交渉に道を開く好機会となるはずである。
「しかし、わたしはパーティーに着る服がありません」
 パーティーともなれば、女性同伴が原則である。アレックスの同伴として参加するにはそれなりの衣装も必要である。参加者達は着飾ってくるだろうし、まさか軍服でというわけにもいくまい。
「それなら心配要りません」
 皇女が侍女に合図を送ると、部屋の片隅の扉を開け放った。
 そこはクローゼットであった。ただ広い空間に豪華なドレスがずらりと並んでいた。
 すごい!
 パトリシアの目が輝いていた。まるでウエディングドレスのような衣装を目の前にして、軍人からごく普通の女性に戻っていた。
「これは貴賓室にお招き入りした方々のためにご用意しているものです。お気に入りになられたドレスがございましたら、ご自由にお召しになされて結構です。着付けには侍女がお手伝いします」
「本当によろしいのでしょうか?」
 念押しの確認をするパトリシア。
 どのドレスを取っても、パトリシアの年収をはるかに越えていそうなものばかりなのである。さすがに遠慮がちになるのも当然であろう。
「どうぞご遠慮なく」
 微笑みながら促すジュリエッタ皇女。
 というわけで、パトリシアがドレスを選んでいる間、ジュリエッタと相談するアレックスであった。
「マーガレット皇女様はどうなるのでしょうか?」
「帝国に対して反乱を引き起こしたことは重大で、死刑を持って処遇されることもありえます。皇室議会の決定に不服を訴え、あまつさえ反乱を企てたのですから、皇室議会の印象が非常に悪いのです。少なくとも皇家の地位と権利を剥奪されるのは避けられないでしょう」
「皇家の家系から抹消ですか……」
「致し方のないことです」
「そうですか……」
 深いため息をもらすアレックスだった。

 戦勝祝賀パーティーの夜がやってきた。
 宮廷には、貴族や高級軍人が婦人を伴って、次々と馳せ参じていた。
 大広間にはすでに多くの参列者が集まり、宮廷楽団がつまびやかな音楽を奏でていた。
 貴賓室の中にも、その音楽が届いていた。
 儀礼用軍服に身を包んだアレックスは、客員中将提督として頂いた勲章を胸に飾り準備は整っていた。しかしパトリシアの方は、そう簡単には済まない。豪華なドレスを着込むには一人では不可能で、侍女が二人掛かりで着付けを手伝っていた。そして高級な香水をたっぷりと振り掛けて支度は整った。
「いかがですか?」
 アレックスの前に姿を現わしたパトリシアは、さながらお姫様のようであった。
「うん。きれいだよ」
「ありがとうございます」
 うやうやしく頭を下げるパトリシア。ドレスを着込んだだけで、立ち居振る舞いも貴族のように変身していた。
「しかし……、何か物足りないな」
 アレックスが感じたのは、ドレスにふさわしい装飾品が全くないことであった。パーティーに参列する女性達は、ネックレスやイヤリングなどドレスに見合った高価な装飾品を身に纏うのが普通だった。
「宝石類がないと貧弱というか、やっぱり見映えがねえ……」
 パトリシアも気になっていたらしく、紫色の箱を持ち出して言った。
「実は、これを持ってきていたんです」
 蓋を開けると、深緑色の大粒エメラルドを中心にダイヤモンドを配したあの首飾りだった。それはアレックスが婚約指輪の代わりに譲ったものだった。
「そんなイミテーションで大丈夫か?」
「ないよりはましかと思いますけど……」
「まあ、仕方がないか……。僕達にはそれが精一杯だからな」
「ええ……」
 パトリシアにしてみれば、イミテーションだろうと大切な首飾りには違いなかった。夫婦関係を約束する記念の品であったから。

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2021.06.18 08:35 | 固定リンク | 第二部 | コメント (0)
銀河戦記/鳴動編 第二部 第三章 第三皇女 Ⅶ
2021.06.17

第三章 第三皇女




「敵艦隊旗艦、アークロイヤル発見!」
 ついに待ちに待った情報が届いた。
「ようし、遊びは終わりだ。全艦ワープ準備! 敵旗艦空母の周辺に座標設定」
「了解! ワープ準備に入ります。座標設定、敵空母周辺」
 操舵手が復唱する。まさに楽しそうな表情で、ピクニックにでも行くようだ。それもそのはずで、あのミッドウェイにおいても操舵手を務めていたのである。空母攻略のための小ワープは、その時と状況がほとんど似通っており経験済みの余裕であった。
「白兵戦の要員は、ただちに発着場に集合せよ」
 ミッドウェイでは総攻撃を敢行したが、今回はアークロイヤルに接舷し、白兵戦で艦内に侵入する。そしてマーガレット皇女を保護する作戦である。
「艦長、後は任せる。作戦通りに動いてくれ」
 立ち上がって指揮官席を譲るアレックス。
「おまかせ下さい」
 作戦を参謀達に伝えた時、提督自らが敵艦に乗り込むことに、反対の声も少なくなかった。しかし、作戦が困難であればあるほど、部下にだけに苦労させたくないというアレックスの心情と性格は、誰しもが知っていることである。カラカス基地攻略戦、タルシエン要塞攻略戦など、生還帰しがたい作戦だからこそ自ら率先してきたのでる。
「内乱を引き起こしたとはいえ、相手は皇女様だ。私が行かなければ失礼にあたるだろう」
 そう言われてしまうと誰も反論することができなかった。

 その頃。旗艦空母アークロイヤル艦橋では、マーガレット皇女が、戦闘機編隊の不甲斐なさに憤慨していた。
「たかが駆逐艦に戦闘機が手をこまねいているとは……」
「いいえ、よくご覧下さい。そのたかが駆逐艦の動きです。さながら戦闘機のようではありませんか。まるで曲芸飛行をのようです」
 そう答えるのは、艦隊司令のトーマス・グレイブス少将である。
「こちらは三万機もの戦闘機で迎え撃っているのですよ。相手はたった二百隻ではありませんか」
 戦闘機がたかが駆逐艦に負けるわけがない。
 そうでなければ、自軍の艦隊編成を見直さなければならない。戦闘機の攻撃力と機動性を信じたからこそ、アークロイヤルはじめ数多くの航空母艦を主体とした空母艦隊を組織したのである。戦闘機がこうもあっさりと惨敗し、しかも敵艦はほとんど無傷となれば、まさしく空母無用論を唱えたくなる。
「とにかく、このままでは……。一旦退却して体勢を整えさせましょう」
 その時だった。
 敵艦隊が突如として消えてしまったのである。
「消えた?」
「どういうことですか?」
「わかりません」
 次の瞬間、目前に敵艦隊が再出現したのである。
 突然の出来事に目を丸くして驚愕する一同。
 空母は、戦闘機の発着を円滑に行うために、艦同士の距離をとってスペースを開けておかなければならない。そのスペースを埋め尽くすように敵艦隊が、アークロイヤルの周囲を取り囲んでしまったのである。これでは味方艦隊は攻撃をできない。まかり間違えば、アークロイヤルに被害を及ぼしてしまうからである。
「完全に包囲されています」
「何とかしなさい」
「無駄です。我々は人質にされてしまいました。味方は攻撃することができません」


 やがて一隻の艦が接舷してきた。
「乗り込んでくるもようです」
「排除しなさい」
「判りました」
 答えて艦内放送で発令するグレイブス提督。
「艦内の者に告げる。接舷した敵艦より進入してくる敵兵を排除せよ。銃を持てる者はすべて迎撃に回れ」
 次々と乗り込んでくるサラマンダー艦隊の白兵部隊。
 だがいかんせん、戦闘のプロの集団に、白兵など未経験の素人が太刀打ちできる相手ではなかった。
 白兵部隊は艦橋のすぐそばまで迫っていた。
 ロックして開かないはずの扉が開いてゆく。投げ込まれる煙幕弾が白煙を上げて視界が閉ざされていく。そしてなだれ込んでくる白兵部隊。次々と倒されていく味方兵士達。
 やがて煙幕が晴れたとき無事でいたのは、マーガレット皇女と侍女、そしてグレイブス提督他数名のオペレーターだけであった。
 やがて敵兵士によって確保された扉を通って、警護の兵士に見守られながら一人の青年が入ってきた。
 どうやら敵白兵部隊の指揮官のようであった。
「ご心配なく。倒れているのは麻酔銃で眠っているだけです。十分もすれば目を覚まします」
 言われて改めて周囲を見渡すマーガレット皇女。確かに死んでいない証拠に、微かに動いているようだ。麻酔があまり効かなかったのか、目を覚まし始めている者もちらほらといる。
「このようなことをして、何が目的ですか?」
「銀河帝国摂政エリザベス皇女様の命により、あなた様を保護し帝国首都星へお連れ致します」
「わたしを逮捕し、連行すると?」
「言葉の表現の違いですね」
 麻酔が切れて次々と目を覚まし始めるオペレーターや兵士達。
 敵兵の姿を見て銃を構えようとするが、
「おやめなさい! 銃を収めるのです。わたしの目の前で血を流そうというのですか?」
 皇女に一喝されて銃を収める兵士達。
 マーガレット皇女の旗艦アークロイヤルは、敵艦隊の包囲の中にあり、接舷した艦が発砲すれば確実に撃沈するのは、誰の目にも明らかであった。
 いわゆる人質にされてしまった状況では、戦うのは無駄死にというものである。将兵の命を大切にする皇女にできることは一つだけである。
「提督。全艦に戦闘中止命令を出して下さい」
「判りました。全艦に戦闘中止命令を出します」
 提督の指令で、アークロイヤルから停戦の意思表示である白色弾三発が打ち上げられた。
 ここに銀河帝国を二分した内乱が終結したことになる。
「首都星へ行くのは、わたしだけでよろしいでしょう? バーナード星系連邦の脅威ある限り、この地から艦隊を動かすことはできません。罪を問われるのはわたし一人だけで十分です」
「皇女様の思いのままにどうぞ」
 皇女の気高さと自尊心を傷つけるわけにもいくまい。
「ありがとう」
 そう言って改めて、その若き指揮官を見つめるマーガレット皇女。
 常に笑顔で対応するその指揮官の瞳は、透き通った深緑色に輝いていた。
「あ、あなたは……?」
 言葉に詰まるマーガレット皇女。ジュリエッタ皇女が初対面の時に見せた表情とまったく同じであった。
「共和国同盟解放戦線最高司令官、アレックス・ランドール少将です」
 指揮官が名乗ると、艦内に感嘆のため息が起こった。
 ここでも、アレックス・ランドールの名を知らぬものはいないようであった。
「なるほど……。共和国同盟の英雄と称えられるあの名将でしたか」
「巡洋戦艦インヴィンシブルが近づいてきます」
「ジュリエッタが来ていたのね」
「インヴィンシブルで首都星アルデランにお連れ致します」
「参りましょう。提督、艀を用意してください」
 グレーブス提督に指示を与える。
「かしこまりました」
「提督には残って艦隊の指揮を執って頂きます。引き続き連邦への警戒を怠らないようにお願いします」
「はっ! 誓って連邦は近づけさせません」
「ランドール殿、それでは参りましょうか」
 こうしてアレックスに連れられて、インヴィンシブルへと移乗するマーガレット皇女だった。


 インヴィンシブルの艦載機発着場。
 アークロイヤルの皇女専用艀が停船しており、その周囲を将兵が整然と取り囲んでいた。真紅のビロードの絨毯が敷かれて、ジュリエッタ皇女が出迎えていた。
 やがてドアが開いて、中からマーガレット皇女が姿を現わす。その背後にはアレックスが控えている。
 タラップが掛けられて、兵士達が一斉に銃を構えなおし、VIPを出迎える動作を行った。内乱の首謀者といえども、皇女という身分を剥奪されてはいないからだ。
「お姉さま!」
 ゆっくりと歩み寄るジュリエッタ皇女。
「ジュリエッタ……」
 互いに手を取り合って再会を喜ぶ二人。政治の舞台では反目しあっていても、姉妹の愛情は失われていなかった。
 首都星へ向かうインヴィンシブルの貴賓室で、姉妹水入らずで歓談する二人。アレックスは席を外しており、別の部屋で待機をしていると思われる。
「そういうわけだったのね」
 ジュリエッタは、共和国同盟の英雄との出会いを説明していた。
「噂には聞いておりましたが、あれほどの戦闘指揮を見せつけられますと……」
「何? 何が言いたいわけ?」
 言い淀んでしまったジュリエッタの言葉の続きを聞きだそうとするマーガレット。
「マーガレットお姉さまも気づいていますよね?」
「エメラルド・アイでしょ……」
「その通りです。軍事的才能をもって帝国を築いたソートガイヤー大公様の面影がよぎってしかたがないのです」
「そうね……。もしかしたら大公様の血統を色濃く受け継いでいるのかもしれません」
「だったら……」
 身を乗り出すジュリエッタ皇女。
「待ちなさいよ。結論を急ぐのは良くないことよ。わたし達はランドール提督のことを、まだ何も知らないのよ。例えば連邦にもエメラルド・アイを持つ名将がいるとの噂もあることですし」
「ええと……。確かスティール・メイスン提督」
「連邦においてはメイスン提督、同盟ではランドール提督。この二人とも常勝の将軍として名を馳せており、奇抜な作戦を考え出して艦隊を勝利に導いているとのこと」
「そして異例のスピードで昇進して将軍にまで駆け上ってきた。もしかしたら……このどちらかが、アレクサンダー皇子と言うこともありえます」
「ええ。何につけても『皇位継承の証』が出てくれば、すべて氷解するでしょう」
「そうですね……。とにもかくにも、今は身近にいるランドール提督のことを調べてみるつもりです」
「事が事だけに、慎重に行うことね。何せ、命の恩人なのですから」
「はい」

第三章 了

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2021.06.17 08:18 | 固定リンク | 第二部 | コメント (0)
銀河戦記/鳴動編 第二部 第三章 第三皇女 Ⅵ
2021.06.16

第三章 第三皇女




 物語に戻ることにする。
 インヴィンシブルの艦橋。
 貴賓席に腰を降ろしているジュリエッタ皇女と、その両脇に直立不動の姿勢で立っているネルソン提督とアレックス。
 艦橋オペレーターは、アレックスの方をチラチラと訝しげに垣間見ている。
「まもなく、アルビエール候国領内に入ります」
「ここから先は、自治領を侵犯してゆくことになります」
 オペレーターの報告に対して説明するネルソン提督。
「いつ、どこから攻撃を受けるか判らないということですね」
「はい、その通りです。マーガレット様の艦隊は航空母艦を主体とした艦隊編成ですので、まずは戦闘機の大編隊が襲い掛かってきます」
 ジュリエッタの質問に詳しい解説を加えるネルソン提督。
「マーガレット皇女様の旗艦は、攻撃空母アークロイヤルでしたね?」
 確認を求めるアレックスにネルソン提督が答える。
「はい。舷側に皇家の紋章が配色されているので、すぐに判ります」
「ありがとう」
 頷きながら正面スクリーンに敵編隊を探し求めるような表情を見せるアレックスだった。
「ランドール提督宛て、ヘルハウンドより入電しています」
 艦内の緊迫感を一気に高める声だった。
 アレックスは冷静に対応する。
「繋いでください」
 正面スクリーンにポップアップ画面でヘルハウンド艦長が映し出された。
「Pー300VXが敵艦隊を捉えました」
「よし。索敵を続行。マーガレット皇女の旗艦空母アークロイヤルを探せ! それとドルフィン号をこちらに回してくれ。今からそちらへ行く」
「了解!」
 艦長の映像が途切れて、元の深遠の宇宙空間が広がる映像に戻った。
 アレックスはジュリエッタに向き直って、先程の交信内容を実行することを伝えた。
「これより我がサラマンダー艦隊は、マーガレット皇女様を保護するために、皇女艦隊への突撃を敢行いたします」
「たった二百隻で大丈夫ですか?」
 心配そうに尋ねるジュリエッタに微笑みながら答えるアレックスだった。
「六十万隻を相手にするのではなく、目標のアークロイヤル一隻のみですので大丈夫ですよ。ジュリエッタ様は、作戦通り援護射撃に専念してください」

 ヘルハウンドに戻ったアレックスは、早速サラマンダー艦隊に進撃を命じた。
「機関出力三分の二、加速三十パーセント。マーガレット皇女艦隊に向けて進撃開始」
 速度を上げてジュリエッタ艦隊を引き離すように先行してゆくサラマンダー艦隊。
「まさか、このヘルハウンドで、たて続けに戦闘をするなどとは思わなかったな」
 愚痴ともとれる言葉に、艦長が笑いながら答えた。
「いいじゃありませんか。我が艦隊の乗員達も提督を指揮官に迎えて、みんな張り切っているのですから」
 艦長に呼応するかのように、オペレーター達が立ち上がって答える。
「艦長のおっしゃるとおりです」
「かつての独立遊撃艦隊の復活です」
「提督となら地獄の果てまでもご一緒しますよ」
「おいおい。地獄はないだろう。天国にしてくれ」
 笑いの渦が沸き起こった。
 本来なら笑っていられる状態ではなかった。六十万隻もの大艦隊がひしめく中に飛び込んで、皇女艦に取り付いて、白兵戦でマーガレット皇女を保護しようというのだから。まさしく命がけの戦いで、地獄の果てまでという言葉が出たのもそのせいなのだ。
 しかし、サラマンダー艦隊に集う士官達に迷いはない。提督と共になら、火中に栗を拾いに行くこともいとわないのである。
 まさしくミッドウェイ宙域会戦の再来ともいうべき作戦が開始されようとしていた。


 それはアレックスが昇進し大艦隊を指揮統制できるようになっても独立遊撃艦隊として、二百隻をそのまま自分の直属として配下に置き続けたきたからである。
 幾度となく死線を乗り越えてきた勇者の余裕ともいうべき雰囲気に満ちていた。
「Pー300VXより入電! 敵空母より艦載機が発進しました。その数およそ三万機」
 オペレーターの声によって、艦橋は一気に緊迫ムードに包まれた。
「おいでなすったぞ。全艦、対艦ミサイル迎撃準備。CIWS{近接防御武器システム}を自動追尾セット。各砲台は射手の判断において各個撃破に専念せよ」
 戦闘機は接近戦に入る前に、遠距離からのミサイル攻撃を仕掛けるのが常套である。そこでまず最初に、そのミサイルに対する防御処置を取ったのである。とはいえ、各機がミサイルを一発ずつ放ったとしても、総数三万発のものが襲い掛かってくることになる。まともに相手などしていられない。
「ミサイル接近中!」
「全艦急速ターン用意」
 ここはミサイルの欠点を突くしかない。宇宙空間では、ミサイルは急速ターンができず、ホーミングによって追尾しようとしても旋回半径が非常に大きい。そこでタイミングよく急速移動すれば、何とか交わすことが可能である。
「よし、今だ! 急速ターン!」
 ミサイルと違って、ヘルハウンド以下の艦艇には、舷側や甲板・艦底などに噴射ジェットが備えられており、急速ターンや平行移動ができる。ミサイルを目前にまで近づけておいて、一気に移動を掛けるのである。
 目標を失ったミサイルは頭上を素通りしていった。そこをCIWSが一斉に掃射されて破壊してゆくのである。
 こうしてミサイル群を見事に交わしきってしまったサラマンダー艦隊は、さらに前進を続ける。
「敵艦載機、急速接近!」
 ミサイルよりはるかに手ごわい相手の登場である。
「提督。ちょっと遊んでもいいですか?」
 操舵手が許可を求めてきた。
 余裕綽々の表情である。
 三万隻を相手にして遊んでやろうという自信のほどが窺える。
「ほどほどにしてくれよ」
「判ってますよ」
 わざとらしく腕まくりをして、操作盤に向き直った。
「全艦に伝達。戦闘機のコクピットは狙わずに、後部エンジンに限定して攻撃せよ。パイロットが緊急脱出できるようにしておけ」
 今回の作戦は、敵艦隊を殲滅させることではなく、空母アークロイヤルに座乗しているマーガレット皇女を保護し、反乱を終結させ和平に結びつけることにある。その他の将兵達には極力手出ししないようにしたかったのである。
 仮に目的のためには手段を選ばずで、手当たり次第に殺戮を行えば、後々まで遺恨を残して、和平にはほど遠くなってしまうだろう。
 とにもかくにも、サラマンダー艦隊と戦闘機との壮絶な戦いが繰り広げられていた。
 ランドール戦法、すなわち究極の艦隊ドッグファイトを見せつけられて、目を丸くしている戦闘機パイロット達がいた。
 何せ機動力では、はるかに戦闘機の動きを凌駕していたのである。
 舷側などにある噴射ジェットを駆使して、まるで曲芸飛行を見せつけてられているようだった。その場旋回やドリフト旋回など、戦闘機には不可能な動きで、簡単に背後に回ってロックオン・攻撃。もちろんCIWSなどの対空砲火も半端なものではなかった。次々と撃墜されてゆく戦闘機編隊。戦闘開始十分後には一万機が撃ち落されていた。
 パイロット達は、すっかり戦闘意欲を喪失しまっていたのである。

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2021.06.16 08:27 | 固定リンク | 第二部 | コメント (0)

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