冗談ドラゴンクエスト
冒険の書・4
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partー4 無駄な抵抗
「しようがないでしょ。10000Gの貸しがあるんだから」
「ところで今夜はどうするの? 泊まるところあるの?」
「うーん……。どうしようか考えていたところよ」
「泊まるとこ決めてなかったら、うちに泊まりなさいよ」
「そう言ってくれるとありがたいけどね」
「遠慮はいらないわよ」
「助かるわ」
というわけで、その夜は道具屋の家に泊まることになったナタリー。
ベッドに眠るナタリー。
と窓が開いて、外から誰かが侵入してくる。
侵入者は、大胆不敵にもベッドに這い上がって、布団の中にもぐりこむ。
昼間の疲れでぐっすり眠っていたナタリーも、そこまで大胆にやられると気づか
ないはずがない。
「だれ!?」
「静かに。俺だよ」
「あ、あんた! 牢屋に入れられたんじゃないの?」
「いやなに、ちょっと脱獄してきた」
「脱獄?」
目を丸くするナタリーだった。
「牢破りは得意なんだ。これまで抜け出せなかった牢屋はない!」
「自慢してる場合じゃないでしょ。今頃、牢屋にいないってんで、探し回っているわ」
「それなら心配ないぞ」
「どういうことよ」
「身代わりを置いてきたからな」
「身代わり?」
「牢屋番の一人に催眠術をかけて、牢屋の寝床に転がしておいた」
「催眠術?」
「おうよ。女を口説くときに役に立つぞ」
「まったく……。あんたの特殊能力って、みんな女がらみじゃない」
「自慢じゃないが、遊び人の必須科目は一通り習得しているぞ」
「自慢することじゃないでしょ!」
「さてと……。朝までにまだたっぷり時間があるな」
というと、ナタリーにおいかぶさってくる。
「な、なにをするのよ!」
「男と女がすることといったら一つ」
というと、ナタリーのパジャマをいきなり脱がしてしまう。
「きゃあ!」
「遊び人の俺に不可能の文字はない」
いつの間にやら、ナタリーのブラジャーをはずしていた。
ナタリーの豊かな胸が露になって揺れる。
「な、なにをするのよ」
「無駄な抵抗はやめることだよ」
ナタリーのショーツの手が掛かったかと思うと……。
とうとう、すっぽんぽんになってしまうナタリーだった。
「うん。なかなか良い眺めじゃ」
「きゃあ! きゃあ!」
必死に抵抗を見せるが、遊び人の術中に完全にはまっていた。
「いただきます!」
それからね……。
戦いすんで夜が明ける。
目を覚ます勇者。
「今朝の太陽は黄色い……」
「何を抜かしているのよ」
「おお、そこにいたか、ジュリエッタ」
「なにをお気楽なこと言ってるのよ。出発するわよ」
「もう少し、休んでいかないか。このベッドの上で」
「あんたには、20000Gの貸しがあるのよ。さっさと稼いでもらって、返してもら
うんだから」
「ちょっと待て! いつから20000Gに増えたんじゃ」
「身に覚えがないとは言わせないわよ」
「なるほど……。納得した」
「納得したなら、早く身支度しなさい」
「へい、へい」
身支度を整えた二人。
「いってらっしゃい。お気をつけて」
という道具屋に見送られながら、オリコレ村を後にしたのである。
「ほら、素早さを上げるアイテムよ。身に着けておいて」
「ほいよ」
受け取って身に着ける。
と突然、モンスターが襲ってきた。
「ほいよ。逃げるんだろ?」
「待って! この程度の雑魚はわたしが片付けるから見ていて」
「なんでだよ」
「話はこいつを倒してから」
というと果敢にモンスターに切りかかった。
モンスターを倒した。経験値5と5Gが手に入った。
「お!」
引き続いてモンスターが襲ってきた。
ナタリーの攻撃! モンスターを倒した。
チャラリラリン♪
どこからともなく聞こえる音。
「なんだ? この音は?」
「気にしないでいいわ。レベルアップすると神様が祝福してくれているのよ」
「レベルアップ?」
勇者がレベルアップした。
素早さが1、攻撃力が1、防御力1……。それぞれアップした。
「ほう……。ステータスが全部1こずつ上昇しているみたいだ。」
「1こずつ? せこいわねえ。これじゃあ、まともなステータスになるのに、どれ
だけレベルアップを続けなきゃならないの?」
「そうか、わかったぞ。逃げないで戦うのは、レベルアップが目的なのか」
「今頃気づいたわけ? Gも手に入るからアイテム購入資金になるしね」
「なるほど……。納得した」
「納得したなら、オリコレ村周辺で経験値稼ぎするわよ」
「経験値稼ぎ?」
「これからはあなたも戦いに参加してもらうからね」
「モンスターに、当たりも触りもしないのにかい?」
「まぐれ当たりということもあるじゃない。それに戦っていると、ステータスの上
昇率も増えるはずだから」
「そういうことか……。まあ、いいや。やってやるよ」
というわけで、オリコレ村周辺での経験値稼ぎをはじめる二人だった。
モンスターが三匹現れた!
「げっ! 三匹かよ」
といいつつ、モンスターの一匹をたこなぐりにした。
「なによ、たこって?」
「しようがねえだろ。持ってた短剣を売ってしまって、素手で戦うしかないんだから」
「あら、そうだったわね。せめて道端にでも落ちている木の棒でも拾ったら?」
「そんな都合の良い棒なんか落ちてるわきゃないだろ」
「はい、樫の棍棒。そこに落ちてわよ」
「まあ、そんなことも……たまにはあるかもな」
「攻撃補正値が10ね。拾ったにしては、なかなかいいじゃない」
「なんだ? 短剣の5よりも攻撃力があるじゃないか」
「その分重いから、素早さが下がってるわ。ー5ポイント」