銀河戦記/鳴動編 第二部 第七章 反抗作戦始動 V
2020.05.16

第七章 反抗作戦始動




 戦闘が開始されていた。
 敵艦隊からの攻撃は熾烈で、後退しつつも少しずつ戦力を削り落とされていく。
 次々と味方艦隊が撃墜されていく。


 アークロイヤル艦橋。
 オペレーター達が小声で囁き合っている。
「どういうことだ? 決戦を前にして後退とは……」
「まさか、恐れをなしたというわけではあるまい」
「がっかりだよ。共和国同盟の英雄と言うからどんな素晴らしい作戦を用意しているのか
とおもっていたのに」
「二百五十万隻対百五十万隻。圧倒的な戦力差に、いまさらにして無謀な戦いだと悟った
のか」
「いずれにしても、このままでは負けるのは必死だぜ」
 同盟軍の将兵はともかくも、銀河帝国の将兵達には、アレックスの人となりをまだ十分
に理解していない。
 不安に駆られるのも当然であろう。
 マーガレット皇女がそれらの会話を聞きつけて咎めるように言った。
「そこのあなた達。言いたいことがあるのなら、ちゃんと意見具申しなさい」
 と言われたのを機に、一人が立ち上がって意見具申を申し述べた。
「それでは申し上げます」
「申し述べてみよ」
「はい。中立地帯を越えて共和国同盟くんだりまで来て、いざ決戦という時に後退とは、
殿下は何をお考えになられているのでしょうか? 二百五十万隻対百五十万隻。圧倒的な
戦力差に我が艦隊はなし崩しに崩壊の危機にあります」
 もう一人が立ち上がった。
「その通りです。このまま無策のまま後退を続けていては、全滅は必死です。完全撤退な
らともかく、ただ後退するだけではいかがなるものかと」
 そしてまた一人。
「いっそのこと帝国領まで撤退して、帝国艦隊全軍五百万隻を持って対峙すれば勝てま
す」
 いずれも正論だと思われた。
「あなた方が心配する気持ちも良く判ります。しかしながら、殿下がジュリエッタを従え
て、アルビエール侯国へ反乱勢力討伐のために出撃し、自らが僅かな手勢を率いてこの
アークロイヤルを捕獲し、私を捉えてしまったことを忘れたのですか?」


 一方の第三皇女艦隊旗艦インヴィンシブルの艦橋でも同様な事態になっていた。
 ジュリエッタ皇女が叱咤激励していた。
「この艦隊が海賊に襲われた時のことを思い出しなさい。あなた達は見たはずです。殿下
の率いる艦隊の勇猛果敢な戦いぶりを。僅か二千隻という艦艇数で、数万隻の敵艦隊と戦
った殿下のこと、何の策もなくただ後退しているはずはありません」
 ジュリエッタに言われて、オペレーター達は思い起こしていた。
 サラマンダー艦隊が援軍に現れた時、それはまるで曲芸師のような見事な動きを見せて、
数に勝る敵艦隊を翻弄して撤退に追い込んでしまった。
 まさしく脳裏にくっきりと焼きついていた。
 そんな勇猛果敢な戦士が、ただ無策に後退しているはずがない。


 皇女艦隊において、そんな成り行きとなっていることなど、アレックスの耳元には届い
ていない。
 正面スクリーンに投影されたベクトル座標に映し出された艦隊の戦況をじっと見つめて
いた。
「現在の戦況をご報告します。我が方の損害は二百五十隻、第二皇女艦隊において二千五
百隻の大破及び轟沈。同じく第三皇女艦隊では、三千二百五十隻に及びます。対して敵艦
隊の推定損害はおよそ三千隻かと思われます」
 アレックス直下の旗艦艦隊の損害が小さいのは、艦の絶対数が少ないのと戦場慣れして
いるせいであろう。
 オペレーターの報告に対してパトリシアが語りかける。
「我が方の六千隻に対して敵艦隊は三千隻の損害で済んでいます」
「二対一ということだ」
「その通りです。このままでは敗退は必至の情勢といえるでしょう」
「多少の損害は覚悟の上だ……」
 両手を組んで顎を乗せる格好で厳しい表情を見せるアレックス。
 事情を飲み込めないパトリシアは首を傾げるだけであった。


 そう。
 アレックスは待っていたのだ。
 静かな湖に、白鳥が再び舞い降りるのを……。

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銀河戦記/鳴動編 第二部 第七章 反抗作戦始動 IV
2020.05.09

第七章 反抗作戦始動


IV


 マック・カーサー率いる帝国侵攻軍、旗艦ザンジバル艦橋。
 さらに事態は最悪に向かっていく。
「トランターのワープゲートが襲われています」
「まずい! ワープゲートを奪われたら、首都星へ直接艦隊を送り込まれる」
「どうやら、首都防衛の艦隊を暴動鎮圧や艦隊迎撃に向かわせ、手薄になったところを襲
撃する算段だったようです」
「何ということだ……。我々が出撃して留守にしている間に、これ幸いと決起したという
わけか」
 やがて絶望的な報告がもたらされた。
「トランターとの通信が途絶えました」
「トランターが占領されてしまったのでしょうか?」
「いや、そんなことはない。首都星の防衛力は絶大なはずだ。そう簡単に墜ちるはずがな
い。おそらく通信設備が破壊されたか乗っ取られたか、もしくは通信システムをハッキン
グされてしまったかのどちらかだ」
「だといいんですが……」
 ワープゲートが奪われれば、タルシエン要塞側にあるワープゲートから、いとも簡単に
艦隊を送り込むことができる。しかも防衛艦隊は情報操作によって全艦出撃して、首都星
は丸裸である。トランターが占領されるのは時間の問題といえた。
 もしそうなれば……。
「なあに、仮にトランターが墜とされたとしても、共和国同盟全体までが奴らの手中に墜
ちたわけではない。銀河帝国艦隊との決戦に勝利して帝国を手中に治めてからでも、引き
返してトランターを取り戻すことも容易だ」
 自信に溢れるカーサー提督の表情であった。
 二百五十万隻対百五十万隻なのだ。
 しかも銀河帝国軍は戦闘の経験が少なく、赤子の手を捻るに等しいだろう。
 戦力差にしても、数の上で圧倒して勝利は確実と言ってもよい。
 何を心配する必要があるものか。
「よおし、先鋒艦隊を下げろ! 全軍で総攻撃だ」
 相手の力量を測る小手先の戦いは止めて総力戦に突入する決断をするカーサー提督だっ
た。


 その模様はサラマンダーに伝わっていた。
「敵の先鋒艦隊が後退します」
「どうやら総攻撃を開始するつもりらしい」
「いよいよですね」
「さて、こちらはどう打って出るかだが……。ともかくマリアンヌを下げさせろ。このま
までは集中砲火を浴びる」
「判りました。第六皇女艦隊を下げます」
 後退する双方の先鋒艦隊。
 マリアンヌが後方に下がったところで、敵艦隊が前進をはじめた。
「いよいよ、おいでなすったぞ」
「どうなさいますか? こちらも前進して迎え撃ちますか」
「いや、まだ早いな……」
 と考え込むアレックス。
 戦乱急を要する状態を呈している。
「全艦に伝達。敵の動きに合わせて、こちらは後退する」
 その指令を聞いて驚くパトリシア。
 他の乗員たちも同様の表情だった。
「後退するのですか?」
「そうだ。後退だ。機はまだ熟していない。時期相応。繰り返す、全艦後退せよ」
 アレックスの言動に拍子抜けの乗員達。
 二百五十万隻対百五十万隻という圧倒的な数の差に、今になって怖気づいたのか?
 とはいえ、これまでにも幾度となく共に生死を掛けた戦いをくぐり抜けてきた同士であ
る。アレックスに対する信頼は絶大なものがあり、少しも動揺を見せていない。
 指揮官と将兵の間には厚い信頼関係が築かれていたのである。

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冗談ドラゴンクエストⅢ 冒険の書・10
2020.05.04

冗談ドラゴンクエストⅢ 冒険の書・10


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勇者、女王になる

ナレ「ロマリア城に戻ってきた」
国王「おお!勇者よ!よくぞ、きんのかんむりを取りもどしてきてくれた!そなたこそ、
まことの勇者!一国の国王としてもふさわしい人物じゃ!というわけでどうじゃ?わしに
かわって、この国をおさめてみる気はないか?そなたが、はいと答えるだけで、すぐにで
も王位をゆずろうぞ!どうじゃ?」
勇者「いやだよ!」
国王「そうか、いやと申すか……。しかし、なにごとも経験じゃぞ。あとになって思いな
おしても、わしは知らぬぞ。王になれるチャンスは今だけじゃぞ。というわけで、どうじ
ゃ?わしにかわって、この国をおさめてみるきはないか?」
勇者「断固断る!!」
国王「そうか……。そなたもがんこじゃのう。しかし、がんこさではわしも負けんぞ!と
いうわけで、以下略」
勇者「しつこいな、いやだ!」
国王「なんと!まだ、はいとは答えぬのかっ!じゃが、そのようにどこまでも、自分の信
念をつらぬくとは、ますます王にふさわしい人物じゃ!というわけで、以下略」
勇者「こうなりゃ、根比べだ!い・や・だ!」
国王「なんと!まだ、だめか……。そのように、ことわり続けると、わしもだんだん言う
ことがなくなってくるではないか。というわけで、以下略」
勇者「だめ!」
国王「ふーむ……あい、わかった!そこまでイヤと申すのなら、わしもあきらめよう」
勇者「ふう……。やっと諦めたか」
国王「わしは、勇者にこの国をゆずりたかったのに……。まあ、しかたがあるまい」
ナレ「参考までに、この国王のところで冒険の書に記録してもらうたびに」
国王「ところで、どうじゃ?今いちど聞くが、この国の王になってみぬか?」
ナレ「と、誘われます。もし、はいと答えてしまったら……」
勇者「ちょっと待て!勝手なことをするなあ!」
国王「おお!やってくれるか!よろしい!では、これより勇者が、この城の…と、思った
が、そなたよく見れば女ではないか。これはおどろきじゃ!ここ、ロマリアの歴史に女性
が王になった前例はないのだが…」
勇者「だから、これはナレーションが勝手に言ったことで……」
国王「いや、しかし女のかよわきウデでカンダタをたおしたその実力は王としてふさわし
いものじゃ。よろしい!今こそ、この国はじめての女王の誕生じゃ!!」
勇者「聞いちゃいないな……」
ナレ「その後、豪華なアクセサリーの沢山ついた雅かなドレスをお召しになられ、玉座に
鎮座ましまされ、勇者さまはロマリアの女王におなりになられたのでございます」
勇者「おい、言葉使いが変わっているぞ」
ナレ「女王さまには敬語でお答えするのが当然でございます」
大臣「この国はじめての女王さまの誕生じゃ!勇者女王ばんざい!」
王妃「ごりっぱですわ、勇者さま!わたくしの夫、つまりまえの王も、よくやってはいた
のですけれど…やはり、男性では気がつかない、こまやかな仕事もございますの。期待し
ていますわ。勇者さま」
勇者「なんで、隣に前国王妃が、そのまま座ってるんだ?」
ナレ「どうせ空いている席でございますから」
勇者「それでいいのか?」
詩人「ロマリアは、美しい国。勇者さまのような方こそ、この国の女王に、ふさわしいの
です。ラララ…ロマリアの地に立つー美しき姿よーわれらをすくわんとー神が与えし女王
よーラララ」
近衛「勇者女王さまに、けいれい!」
衛兵「話は聞いております。勇者さまはすでに、この国の女王。あまり気ままにお城を出
ぬようにおねがいいたします」
兵士「勇者女王さまにけいれい!女王さまは私の…いえ、みんなの太陽でございます」
ナレ「地下室に降りられる女王さま」
勇者「おお、宝箱がある。扉を開けてと」
ナレ「女王さまは宝箱を調べた!女王さまにひつようなものは、入っていないようだ」
勇者「ちょっと待て!女王さまに必要がないってなんだよ!?」
ナレ「それは、女王になられたからには、もはや冒険に出ることはありえないからです。
当然宝物など必要がないからでございます」
勇者「なにを!!あ、道具類も全部なくなっているじゃないか!没収されたのか?しかし
魔法の扉は開いたよな。鍵は?持ってないよな」
ナレ「ですから、女王さまには必要がございませんので……鍵はたぶん、すでにフラグが
立っているのでしょう」
勇者「フラグって何だよ?ちくしょう、こうなるんじゃないかと、王さまになるのを断っ
ていたのに」
ナレ「まあまあ、せっかくですから、城内をご散策になられてはいかがでしょうか」
勇者「ふん!ああ、ここは兵士詰め所だったな」
兵A「あ~あ、家ではカミさんのシリにしかれて、仕事でまで女王さまにつかえるとはな
あ……は!これは、勇者女王さま!いえ、なんでもありません!」
兵B「勇者さまが、カンダタをこらしめた武勇伝。しかと聞いています。あなたこそ、こ
の国の女王にふさわしいおかたでございます」
商人「やや、これは勇者さま!りっぱになられましたなあ。その姿はまるで、この国の女
王さまみたいですよ」
勇者「みたいじゃなくて、女王にされたんだよ!……この階段の上は東の尖塔だったな」
老人「なんと!女王さまにされたのか……。やれやれ、あいつはまだ、悪いクセがなおら
んらしいのう」
ナレ「城郭通路に降りる女王さま」
勇者「まほうのカギのこの扉の中は?」
剣士「うん?まるで女王のような姿をして、お前はなに者だっ!?この私は、だまされな
いぞ!へ?王位をゆずられた?こ、この国の女王に?これは、ご無礼いたしました。とこ
ろで女王さま。はるか西の国ポルトガには、船というものがあるそうです。いちどでいい
から、船に乗って大海を冒険したいですなあ」
勇者「ふむ、やはりこの国の西に行けということか……西の尖塔に昇るか」
囚人「へー、あんたがウワサの女王か。まさか、女が国を治めるとはな。けどよ、カンダ
タを逃がしてやったんだって?これだから女はあまくてダメだよ」
勇者「なにお!おまえ、死ぬまでここに幽閉な!」

ナレ「城内の散策を終えて、城下町へとおいでになられる女王」
老人「おお!女王さまじゃ!しかも、そのように強く美しい女性だぞい!ふむ!これでこ
の国も、もっとはなやかになるはずじゃ!めでたいのう」
少年「わーい、女王さまだ!きれいだなあ」
ナレ「教会に入る」
信者「女王さま、お願いでございます!はるか北の村ノアニールをお救いくださいまし!
え?もう村の呪いはとけているですって?さすが女王さまですわ!」
牧師「おお!あなたさまが、この国の新しい女王でございますか。わが国ロマリアと、勇
者女王に神のごかごがありますように」
ナレ「北西の家」
老婆「まあまあ、女王さまがこんなばあさまの所に……ありがたやありがたや。ありがた
いついでに女王さま。このばあさまのねがいを聞いてはくださりませぬか?」
ナレ「はい、いいえ、でお答えくださいませ」
勇者「しようがねなあ。なんだよ?」
老婆「じつは、お城の中庭の花畑を手入れする男が、最近仕事をさぼってばかりおります
のじゃ。あの花畑は、先代の王妃の思い出の場所…。なのに、このままでは雑草におおわ
れてしまいまする。どうか、中庭の花畑にいる男に、草むしりをするよう女王さまからい
いつけてくださいまし」
勇者「そいつって……犬を探していた老人だよな。俺を美しいだのめでたいだの、ってほ
めるばかりだった……。ありゃ、だめだな」
宿屋「やや、女王さま、おさんぽですか?わかります、わかります。こんないい天気だ。
お城の外に出て、草花や木をながめるほうが楽しいですよね」
宿人「まあ!わたしのような旅の者にまでお声を。かんげきですわ、女王さま!」
男 「(宿裏)げっ!女王さま!どうしてこんな所へ……。そうだ!せっかくですから、いいこと
を教えましょう。なんでもノアニールの村では、みかわしのふく、を売っていたそうでご
ざいますよ。もっとも女王さまには、今のお姿のほうがずっとお似合いですがね。わっ
はっはっ」
少年「ところで女王さま、アリアハンの勇者は、まだ来ませんか?おかしいなあ……」
勇者「もうすでに……と言っても、この姿じゃ信じないだろうな。ん?城門か……出てみ
るか」
ナレ「勇者女王が門の外に出ようとすると、すかさず門兵が立ちふさがった」
門兵「(A)女王さま、お城から出ては危険でございます。(B)女王さま、なにとぞ城
内にもどられますように」
ナレ「なんの装備もしていないうえに、女王はこの国の大切な宝。門兵が道を開けるはず
もない」
勇者「くそったれ!」
ナレ「そのような下品なお言葉は、仰られませんように」
勇者「いいよもう。ルーラで逃げちゃうもんね(*^^)v」
ナレ「女王さまは、呪文をつかえない。残念でした」
勇者「なんだよ、そこまでやるのか?」
ナレ「すべては女王さまのためでございます。女王さまは、この国を治めになられるので
すからね」
勇者「ふん!勝手に言ってろ。しようがねえ、散策を続けるか……」
武具「へい、いらっしゃい!あ~びっくりした。だれかと思ったら女王さまじゃありませ
んか!へい、おかげさんでこうして毎日商売させてもらってます。ありがてえこってす」
道具「新しい王さま…女王さまですよね?だったらおねがいします!税金をもっと安くし
てください」
剣士「やや、これは女王さま、ごきげんうるわしゅうございます。ところで、ついさきほ
ど前の王がうれしそうに地下におりていったようですが……」
勇者「そうか!?地下はモンスター闘技場だったな。ともかく会ってみよう」
案内「やや、女王さま!どうしてこんなところへ?」
店主「ここは、女王さまが来るような所ではございません。どうかおひきとりを……」
剣士「わっ、勇者女王さま!と、とにかくけいれいっ!」
女性「まあ、女王さま。どうしてこのようないかがわしい所へ……。まあっ、後学のため
に?私もですのよ。おほほほほ」
商人「わかりますよ。女王さまだって、人の子だし!いけないっていわれたら、よけいに
やりたくなることってありますもんね。ようガス!オレはかよわき女性のヒミツを他人に
話すようなヤボな男じゃございません。ここで女王さまを見たってことは、ナイショにし
ておきましょう!わっはっはっ」
老人「ふがふが……」
男 「女王さまだ!どひゃー!」
バニー「あ~ら、リッチなそうなお客さま。どんどんお金を使っていってね」
店主「かけごと?めっそうもねえ!オレたちは、ただ試合を見せて、楽しんでもらってる
だけでさあ」
前王「わっはっはっ、わしじゃよ。前の王さまじゃ。しかし、しょみんはええのう。かけ
ごとが、こんなに面白いとは思わんかったわい!そなた、がんばってこの国をおさめてく
れよ」
ナレ「はい、いいえ、でお答えくださいませ」
勇者「ここで会ったが百年目!いいえに決まっているだろがあ!!」
前王「なんと、女王さまになっているのは、もういやじゃと申すのか?」
ナレ「はい、いいえ、でお答えくださいませ」
勇者「もちろんだ!」
前王「そうか……。いやなものを続けさすわけにもゆくまい。わしも、しばらくであるが
息ぬきができたしな。あいわかった!勇者よ!そなたはやはり旅を続けるがよかろう!」
ナレ「謁見の間に戻ります」
国王「ふむ……。わしは、あまり見ておらなかったが、勇者の女王ぶりはみごとだったよ
うじゃの。まあ、なにごとも経験じゃ。このさきも、さまざまな出来事がそなたらをまっ
ておるであろう。そなたらのさらなるかつやくを期待してるぞよ。では、ゆくがよい」
王妃「あなたのような女性がおさめる国を見てみたかったですわ。でも、しかたがありま
せんわね。あなたには、やらなくてはいけないことがあるのですものね」
大臣「ここだけの話だが、じつは私も5回ほど王さまにされたことがあるのだ。そなたも
また王さまをやりたくなったら、いつでもこの城に立ちよってくれよ」
勇者「だれがくるか!二度と来ねえよ!!」
詩人「また、風のささやきが聞こえたんです。あなたも聞きますか?」
勇者「聞かせろ」
詩人「シャンパーニの塔がしずかになったよ、ありがとうありがとう……」
近衛「これからの旅のご武運をおいのりしています」
ナレ「こうして仲間と再会し、再び冒険へと旅立つのであった」
勇者「ふう……肩が凝ったぜ」
ナタリー「よっ!久しぶりね」
リリア 「お待たせ!」
コンラト「ルイーダの酒場で噂は聞いていましたよ」
勇者「ああ……忘れずに地下室の宝箱、アサシンダガーとふうじんのたてを取っておいた
ぜ」

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冗談ドラゴンクエストⅢ 冒険の書・9
2020.05.03

冗談ドラゴンクエストⅢ 冒険の書・9


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夜のイシス

勇者「さて、夜のイシスを探検だ!魔法の扉を開けまくるぞ。まずは、4個の宝箱のある
左側の部屋」
兵士「お城のたからは、すべて女王さまのもの。へんな気をおこさぬようにな」
勇者「と言われても、頂く物は頂いちゃうもんね(*^^)v。72G、かしこさのたね、ルビー
のゆでわ、きぬのローブか」
側近「私の兄うえもこうして、きよき水をながめるのが、好きだった。だが、東の国へい
くと、アッサラームの町に向かったまま、まだ帰らぬのだ」
勇者「ふむ……?アッサラームには、それらしき人物はいなかったようだが……次は、右
側の4個の宝箱だな」
兵士「女王さまのたからものをまもるのも、われわれ兵士の役目だ」
勇者「そいじゃ、さっそく頂きます。おうごんのティアラ、80G、いのちのきのみ、そ
して小さなメダル見っけ(*^^)v」
三人「見なかったことにします……」
勇者「さて、後は謁見の間の扉だな……二階に上がろう」
ナレ「ここは、女王の寝室です」
侍女「なに用かは知りませぬが、お引きとりくださいませ。あらぬうわさが立ちますわ」
勇者「大丈夫じゃないの?俺、女の子なんだから」
女王「ひと目をしのんで、私に会いに来てくれたことうれしく思いますわ。なにもしてあげら
れませんが、あなたにささやかなおくりものを、さし上げましょう。私のベッドのまわり
をしらべてごらんなさい」
勇者「ベッドの北側の床に、いのりのゆびわが落ちていたぞ」
ナタリー「ありがたいわ。これで魔力の回復ができるわね」
勇者「しかし、直接手渡してくれりゃいいものを……。それに北枕だろ?縁起が悪くない
のかな?」
リリア 「縁起をかつぐのは東洋のものでは?」
勇者「そうか?ま、いいか。イシスはこんくらいかな。アッサラームのまほうの扉を開け
に行こう」

夜のアッサラーム

ナレ「ということで、アッサラームに戻ってきた」
勇者「まずは劇場だな」
ナレ「劇場奥の扉を開けて、舞台裏に入る」
女 「なんでも、岩山に東の国へ通じる洞くつがあるって。その話を聞いて、あたしたち
も東にいこうとしたことがあるわ。つぎは、東の国にも、げきじょうをひらこうって。で
も洞くつはとちゅうでふさがっていて、ノルドというホビットに会えただけなの」
勇者「ああ、知っているぞ。追い払われたよな」
座長「そんなわけで、私が東にいけなかった、ここの座長です」
勇者「ところで、壁に鏡が並んでいるな」
ナレ「勇者は、カガミをのぞきこんだ」
勇者「私って、やっぱりきれいよね」
ナレ「勇者はちょっぴり安心した」
勇者「ちょ、ちょっと待て!俺は、鏡を覗き込んだだけで、『私って、やっぱりきれいよ
ね』なんて、一言も喋ってないぞ!」
ナタリー「魔法の鏡なんじゃない?」
コンラト「鏡に閉じ込まれし男よ、この世で一番美しい女はだーれ?という奴ですか」
リリア 「白雪姫ですね。まほうのカギで入った部屋なんですから、魔法アイテムがあっても
不思議ではありませんね」
ナタリー「あんたの潜在意識を投影して、鏡が答えたんじゃないの?」
勇者「ま、まさか……と、とにかく、他を当たるぞ」
ナレ「そそくさと部屋を退散する勇者だった」
勇者「次は、北の方の魔法の扉だな」
男 「おや、旅のひとですな。私も、いつか東へいってみたいと、思っているのだが……
東の国へゆくには、ホビットだけが知っているという、ぬけ道を通るしかない。しかし、
ホビットのノルドはとぼけているのか、ぬけ道を教えてくれないのだ。やはり、ノルドの
ともだちのポルトガの王にたのむしかないのであろう……」
勇者「ポルトガ?どこだ??…はともかく、本棚にユーモアのほんを見つけたぞ(*^^)v」
ナタリー「どうやら、次の目的はポルトガみたいね」
勇者「で、それはどこにあるんだ?」
コンラト「それより、左の部屋に蠢(うごめ)いているのは魔物では?」
勇者「聞いてみよう。おい、魔物!ポルトガを知っているか?」
魔物「にゃ~ん。………???うげ!化けそこなったか!えーい!どうせ同じことよ!」
ナレ「ベビーサタンが現れた!」
勇者「ほいさ!」
ナレ「いとも簡単に魔物を倒した」
勇者「今の奴は、なんだったんだ?何の情報も教えず、ゲーム上の単なるお遊びか?」
コンラト「そうですね。ポルトガとかいう場所のヒントでも教えてくれれば……」
リリア 「行き詰った時は、原点に戻れって言いますけど……」
ナタリー「原点ね……。ちょっと地図を開いてみたら?まだ、訪れていない場所は、色塗りさ
れてないはずよね。そこから判断したら?」
勇者「それは、いいんだけど……」
コンラト「考え込んで、何か思い当たることでも?」
勇者「ポルトガという名前だよ。どう考えても、これは『ポルトガル』だよな。ロマリア
は『イタリアのローマ』だったから……」
ナレ「と、町の外に出て地図を開いて確認すると……」
勇者「そうだよ。ロマリアの西側の地図が、まだ塗られていないだろ?」
ナタリー「そういえば、そうね」
コンラト「ロマリア周辺で、見落とした場所があるのでは?」
勇者「よし、ロマリアに戻ろう!」
ナタリー「そういえば……。ロマリアの王さまに、カンダタから取り返した、『きんのかんむ
り』返してないわよね」
勇者「そうだった……。わずかだけど、守備力アップするから、そのまま被ってたよ。あ
はは(≧◇≦)」
コンラト「横領はいけませんね」
勇者「返せばいいんだろ、返せば……」
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銀河戦記/鳴動編 第二部 第七章 反抗作戦始動 Ⅲ
2020.05.02

第七章 反抗作戦始動




 ザンジバル艦橋。
「何だと! もう一度確認しろ!」
 突然、通信班長が部下の通信士に向かって怒鳴るように言った。
「間違いありません。何度も確認しましたから」
 通信士は汗を拭いながら答える。
「そんな馬鹿なことがあってたまるか……」
 彼自身も信じられないという表情がありありだった。
「事実です」
 そんなやり取りを耳にして、マック・カーサー大将が尋ねた。
「どうした? 何を騒いでおる」
「はあ……。共和国同盟の各地で暴動が起きました」
「暴動だと?」
「首都星に駐留していた防衛艦隊の半数が暴動鎮圧のために各地へ出動したもようです」
「暴動鎮圧に向かっただと? 誰がそんな命令を出したのだ」
「共和国同盟総督府マック・カーサー総督の名において出動命令が出されています」
「馬鹿な。儂は命令など出してないぞ」
「ですが、間違いなく総督の認証コードで発せられています。何者かが認証コードをハッ
キングして、艦隊に指令を出したものと思われます」
「う……一体誰なんだ」
 言いながら、端末を操作していたが、
「だめだ!」
 ドンと両手の平で端末を叩き付けるカーサー提督。
「どうなさいましたか」
「儂の認証コード用の暗号コードが変更されている。トランターの統帥本部コンピュー
ターにアクセスできない」
「それじゃあ、暗号による指令が出せないということではないですか」
「とにかく、まだ半数の艦隊が残っているのだな」
「そ、それが……つい先程、反乱軍と思われる多数の艦隊が接近中とのことで、残存艦隊
も迎撃に出撃したもようです」
「馬鹿な! それでは首都星は丸裸ということではないか。呼び戻せ!」
「だめです。先の鎮圧部隊ともども、連絡がつきません」
「何ということだ……。こんな大事な時に……」
 頭を抱えるカーサー提督。

 報告は続く。
「大変です! 首都星トランターに二千隻の艦隊が出現し、首都防衛地上部隊と交戦
中!」
「二千隻だと?」
「ランドール配下の第八占領機甲部隊『メビウス』です」
「各地の軍事施設を急襲してこれを無力化。さらに機動戦艦『ミネルバ』を主力とした艦
隊が、総督府を包囲せんと展開中です」
「こちら側の勢力は?」
「防衛地上部隊が四千隻に水上艦艇が六千隻です」
「なら問題はあるまい。こちらには新造の機動戦艦もあるしな」
「現在、ミネルバ級同型三番艦『アルキメデス』が迎撃に出ました」
「それにしても、一体どこに隠れていたんだ?」
「報告によりますと、メビウス部隊は第十七艦隊新設の際に分離独立されて、軍事演習目
的でトランターに残ったとありますが、その後消息を断って完全に沈黙してしまいました。
いずこかに秘密基地を建設して隠れていると噂されています。配下の工兵部隊なら秘密基
地の建設も容易でしょう」
「司令官は誰だ?」
「ランドール提督の腹心で、レイチェル・ウィング大佐です」
「どんな奴だ」
「ランドール提督が最初の独立遊撃艦隊を新設した時に副官として任官し、最初の参謀役
として情報参謀を務めていたようです。共和国同盟開国以来最初の女性佐官です」
「女なのか?」
「はい。提督が作戦立案を練るときには、彼女の情報力が大いに寄与していたと言われま
す。かのタルシエン要塞攻略の作戦立案にも参画した功績で大佐に昇進したもよう」
「情報参謀か……」
「認証コードをハッキングしたのも彼女らではないですか?」
「ありうるな……」
「ともかく、今日あることを予想しての第八占領機甲部隊の配置。ランドール提督の先見
性は神がかりものですね」
「敵将を賛美してどうするか。士気に関わるぞ」
「あ、申し訳ありません」
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