銀河戦記/機動戦艦ミネルバ 第六章 新造戦艦サーフェイス Ⅲ
2020.02.09

 機動戦艦ミネルバ/第六章 新造戦艦サーフェイス




 艦内放送があって、アイクとジャンが呼び出された。
 艦載機発着場に急行した二人に出撃命令が下された。
「おまえら二人に出撃命令が出たぞ」
 サブリナ中尉が指令を伝達する。
「待ってたぜ!ただの訓練じゃ腕が鈍っていたんだ」
「生意気を言うんじゃない。油断をすれば死ぬんだからな」
 ナイジェル中尉がたしなめる。
「へいへい」
 生返事をするアイク。
「前に乗れ、パイロットだ。わたしらは、ナビゲーターとして後ろに乗る。搭乗しろ!」
 と機体を指差すサブリナ。
「パイロットとは……。ふふん、腕が鳴るぜ」
 言いながら新型機の操縦席に乗り込むアイク。
 傍らのナイジェルの方も搭乗が完了した。
「起動してみろ」
 後部座席のサブリナからの指示がでる。
「へいよ。起動!」
 スイッチを入れるが反応がなかった。
「あれ?」
「馬鹿もん!起動ディスクが入ってない」
「あ、そうか」
 旧式モビルスーツは、起動ディスクというものはなく、本体内ROMにシステムのすべてが内臓されていた。
 有体に言えば、一般の自動車に乗る時キーを入れてエンジンをかけハンドルを握れば、誰でも自動車を乗りこなすことができる、それと同じである。
 新型は起動システムと行動学習記憶をディスクに記録するようになっている。戦闘における行動パターンを記憶学習して、今後の戦闘に活かせるようになっている。パイロットの成長と共に、新型も成長することができるというわけだ。
「ほれ、ディスクだ」
 起動ディスクをアイクに手渡すサブリナ。
「はいよ……ってか、試したのか?」
 ディスクがないのを承知で、起動してみろと指示したのだから。
「気にするな。早く起動しろ!」
「ちぇっ」
 ぶつぶつ言いながらも、ディスクを挿入してシステムを起動する。
 画面が次々と切り替わって、起動画面が表示される。
「正面スクリーン、右・左スクリーン、後方すべて正常にクリアー!」
 アイクが戦闘用の機器の確認を続けると、
「超伝導磁気浮上システム正常に作動中!」
 機関要員にしてナビゲーター役のサブリナも対応する。
「出撃準備完了!」
 すぐさま艦橋に伝えられる。
「総員出撃体制整いました」
 オペレーターが報告する。
「よろしい。順次出撃させてください」
 まずは戦闘機編隊が、先に発着艦口から出撃してゆく。
 一方のミサイルサイト側からも戦闘機が迎撃に出てきた。
 本来なら密かにじっとしているのが本筋だろうが、存在を知られて破壊工作に出られては、動くしかないだろう。
 砂漠の各所に発着口が開いて、戦闘機が出てくる。
 ミサイルサイト上空での空中戦が始まる。
「サブリナ機、ナイジェル機、出撃してください」
 新型モビルスーツにも出撃命令が出される。
「出撃だ!」
 サブリナが叫ぶ。
「アイク、行きまーす!」
 アイクが呼応する。
 飛翔型の新型がふわりと空中に浮かびながら、ゆっくりと下降してゆく。
 浮上システムを運用・監視しているのはサブリナである。
「着地する」
「はいよ」
 と、足を踏ん張るようにして、地面に着地した。
「さてと、出入り口は?」
 アイクの質問に、
「右方向十二度、六十メートルだ。砂に埋もれている。ブラスター砲で砂を吹き飛ばせ」
 レーダー手を兼ねるサブリナが答える。
「了解」
 ブラスター砲を構えて、ぶっ放す。
 砂塵を巻き上げて、入り口が姿を現す。
 遅れてナイジェル達が到着する。
「遅かったじゃないか」
 アイクが訊ねると、
「出た途端、強風にあおられたんだよ」
 ジャンが言い訳ともとれる返事をした。
「そういうことにしておくさ」

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銀河戦記/鳴動編 第二部 第五章 アル・サフリエニ Ⅲ
2020.02.08

第五章 アル・サフリエニ




 ところが、総督軍にくみしたくないとある一国が差し迫って救援を求めてきて、それに呼
応してゴードンが配下の艦隊を向かわせた。
 それが事の始まりだった。
 次々と救援要請を求める国が続出し、ゴードン率いるウィンディーネ艦隊が出動してき
た。
「奴は独断先行が過ぎる」
 ゴードン率いるウィンディーネ艦隊は、独立艦隊で自由な行動がある程度許されていた。
命令できる者は直属の上官であるアレックスだけであるが、本人は帝国へ行ってしまって
いる。よって、自由気ままに行動しているわけである。
 フランクは、指揮下の第五師団を当初予定通りの防衛陣から動かさなかった。また、チ
ェスター准将の第十七艦隊以下の第八師団もそれに従った。ゴードンだけが突出して単独
行動を続けていたのである。
 以前、ゴードンは冗談めいて言った事がある。
「遠征が失敗したら、いっそのことアル・サフリエニ共和国でも作って、細々とでもいい
から生き残りを図った方がいいかも知れないね」
 当時は笑って済まされたが、
「もしかしたら……、本気でアル・サフリエニ共和国を興すつもりかもしれない」
 救援要請を受けているのは、そのための地盤固めかもしれない。住民達の心象を良くし、
一念発起の際には協力を取り付ける所存なのだろう。
 銀河帝国からの放映は続いている。
 総督軍二百五十万隻に及ぶ侵略軍のことを報じており、アレクサンダー元帥が、これを
百二十万隻で迎え撃つことを表明したと発表して終了した。
「百二十万隻対二百五十万隻か……。それなりに策を練ってはいると思うが、自分が育て
上げた第十七艦隊とは違う。どこまでやれるのか見物だな」

 その頃、カルバキア共和国へ向かっているウィンディーネ艦隊。
「まもなくカルバキア共和国です」
「オードリー少佐を呼んでくれ」
 正面スクリーンにポップアップでオードリー少佐が現れた。彼はつい最近までゴードン
の作戦参謀をやっていたが、配置転換で二千隻を従えた部隊司令官となっていた。
「敵艦隊の背後に先回りして退路を遮断してくれ」
「判りました。逃がしはしませんよ」
 ポップアップの映像が消えて、カルバキア共和国の首都星ニーチェが近づきつつあった。
 カルバキアは五十ほどの恒星・惑星からなる国家で、人が住めるのはニーチェだけだが、
他惑星には鉄・ニッケル・タングステンといった鉱物資源が豊富に埋蔵されていて、鉱物資
源大国となっていた。他惑星には軌道上に宇宙コロニーを建設して移り住み、資源開発を
行っていた。
「敵艦隊発見!」
「ようし攻撃開始だ。一隻も逃がすなよ」
 ニーチェの軌道上に展開していた連邦艦隊、はるかに勝るウィンディーネ艦隊の来襲を
受けて、あわてて撤退をはじめた。
「敵艦隊、撤退します」
「逃がすな。追撃しろ」
 アレックスの場合は、撤退する艦隊は追撃しないという方針を貫いていたが、ゴードン
の場合は追撃して全滅させるのが方針のようだ。
 猛攻を受けて次々と撃沈していく連邦艦隊。退路に新たに出現した別働隊によって退路
を絶たれ、観念した連邦艦隊は投降信号を打ち上げて停船した。
「白信号三つ。投降信号です」
「構わん。攻撃を続けろ。一隻も残さず殲滅するんだ」
 この頃のゴードン率いる艦隊は、皆殺しのウィンディーネと恐れられ、連邦軍にとって
は恐怖の代名詞となりつつあった。ウィンディーネ艦隊とそうした連邦軍はことごとく全
滅させられ、救命艇で脱出しようとする者までも容赦なく攻撃、一兵卒に至るまで残らず
殺戮を繰り返していた。

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冗談ドラゴンクエストII 冒険の書・10
2020.02.07

冗談ドラゴンクエスト II 冒険の書・10


勇者「ふう、やっとこたどり着いたぜ」
王子「これからが正念場ですよ」
勇者「おまえが、リレミト覚えてくれていれば楽だったのだが……ま、死ぬ気で行くっき
ゃないな」
王女「死ぬ気なんていやですよ」
勇者「塔を登っていくうちに、リレミト覚えるだろうさ」
王子「急かさないでくださいよ」
勇者「とにかく入るぞ!」
王女「はい!」
ナレ「こうして序盤の最難関というべき、風の塔攻略に上り始めたのであった」
勇者「お、早速NPCの登場だぞ」
衛兵「塔のがいへきの通路を歩く時は、足元に気をつけろよ。」
勇者「いいえ、と答えたら?」
衛兵「なんと、足を踏みはずして落ちてもいいのか!?そんなにむてっぽうではこの先の
旅が思いやられるぞ。」
王子「はい、と答えると?」
衛兵「なかなか素直なヤツだな。さてはもう足をふみはずして落ちたことがあるのだろ
う。」
王女「何を遊んでいるのですか!」
勇者「王女はまじめだなあ」
王女「これが普通です!」
王子「ところで勇者さん」
勇者「ん?」
王子「片手に何を持ってらっしゃるのですか?冊子のようですが」
勇者「あ、これね。攻略本だよ、塔内のマップを見てるんだ」
王子「そんなズルしていいんですか?私たち、冒険しているんですよね……?」
勇者「何を言うか!こんな入り組んだマップじゃ直ぐに迷子になるぞ。攻略本なしではお
目当てにたどり着けるか!!」
王女「いい加減なんですね」
勇者「いい加減、結構じゃないか」
ナレ「こうして、勇気と知性ならぬ、攻略本のおかげで無事に『風のマント』を入手した
のであった」
勇者「ようし、この調子で最上階にある『いのりのゆびわ』も手に入れるぞ!」
ナレ「レベルアップも兼ねて、塔の宝箱アイテム集めを続ける」
勇者「いのりのゆびわGET!まあこんなもんだろう。塔を出るとしよう」
ナレ「作戦会議?のために、一旦サンペタに戻ってきた」
勇者「さて、これからどこへ向かうべきか?情報はどうなっているか」
王子「済みません……。サンペタの後については、メモがないです」
勇者「そうか……。行き当たりばったりで行くしかないか」
王女「攻略本を見ないのですか?」
勇者「そうそう、攻略本ばかり見ていてはつまらんだろ」
王子「そうですよね。王女ならどうしますか?自国領土内ですよね」
王女「サンペタから西の方角へ道なりに進んでいくよりないでしょう」
勇者「そうだな。そちら方面はまだ行っていなかったな」
王子「装備を整えてから出発しましょう」

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冗談ドラゴンクエストII 冒険の書・9
2020.02.06

冗談ドラゴンクエスト II 冒険の書・9


勇者「仲間が増えたのは良いが、これからどこへ行けばいいんだ?」
王子「ヒントなら情報集めの時、禿頭の町人が言ってたじゃないですか」
禿頭「どこかの塔の中に、空を飛べるマントがあるらしいぜっ。そのマントをつけている
と高い所から落ちた時、少しだけ空を飛べるんだとよ。この話はぜったいおぼえておいた
ほうがいいぜ!」
王子「ってね。塔を探しましょう」
勇者「おまえ、記憶力いいな。迷探偵コナンか?」
王子「いやだなあ……。町人から聞いたことを、全部メモしていただけです。冒険の基本
じゃないですか」
勇者「そうか……。俺は、行き当たりばったりでやってきたからなあ」
王女「塔……っていえば、この町から北西へ行き、橋を渡った南の方にありますよ」
勇者「行ったことあるのか?」
王女「ええ、幼い頃によく遊びに行きました。でも、今はハーゴンに襲われて、モンス
ターの巣窟に」
勇者「そこへ行くとするか」
王子「行きましょう!」
勇者「すぐは無理だな」
王子「どうして?」
勇者「どうせ、王女はレベル1だし装備もある程度整えてからでないとな」
王子「王女の装備って……せいなるナイフくらいしかありませんよね」
勇者「とにかく、しばらくレベルアップに励むとするか。せめてこいつ(王子)がリレミ
トを覚えるまでな」
王女「お世話かけます。道のりは遠いですから、出発の際にはキメラの翼を買っておいた
ほうがいいです」
勇者「王子がルーラを覚えたが、まあ念のために買っておくか。戦闘に夢中になってMP
使い果たしたってこともあるしな」
王子「そうですね。何事も慎重勇者さんのように」
ナレ「こうして、サンペタ周辺でレベルアップし、頃合いをみて塔へと向かうのだった」
王女「森を抜けて二つ目の橋を渡ったら、海岸線に出ますよ」
勇者「海岸線ったって……何だよこの道は。ジグザグしていて歩きづらいぞ」
王子「しかも、やたらマンドリルが出ますね」
王女「塔にたどり着く前に、MPが底を付きそうです」
王子「毒攻撃してくるモンスターがほとんど出ないのが救いですね」
勇者「キアリー担当だからな」
ナレ「塔への道のりは遠く、モンスターも強力だ。途中何度もサンペタに戻って宿に泊ま
り回復してまた出発することを繰り返した」
勇者「森を抜け、海岸線に苦労して、山岳地帯も抜けて、また橋かよ。どんだけ橋を渡れ
ば到達するんだ?」
王女「全部で六つだったと思います」
ナレ「そしてついに風の塔にたどり着いたのである」

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あっと!ヴィーナス!!第二部 第二章 part-11(終章)
2020.02.05

あっと! ヴィーナス!!第二部


第二章 part-11(終章)

「大団円ということだ」
 ゼウスが手打ちにする。
「さてと……ディアナ!」
「はっ!」
 ディアナが傅く。
「天駆ける戦車で、二人を地上に送り届けよ」
「御意にございます」
 ということで、神殿に天駆ける戦車が呼び寄せられる。
 清々したといった表情で、戦車に乗る弘美と愛。
「ヴィーナス、こっちへ」
 と手招きして耳打ちする。
「いいな、ヴィーナス。弘美のことは任せる。あのじゃじゃ馬っ気の気性を直して、清楚
な乙女になるように仕向けるのだ」
「判りました。そして……」
 言いかけるヴィーナスの口を封じて、
「言わずもがなだ」
 頷くヴィーナス。
「行くぞ、ヴィーナス!」
 ディアナが急かせる。
「今行く(返事をして)では、ゼウス様。行って参ります」
「よろしくな」
 一同戦車に乗り込む。
「振り落とされないように、気をつけろよ」
「分かった」
 確認してから、手綱を打つディアナ。
「はいよー!シルバー!!」
「ローン・レンジャーはもういいよ!」
 弘美と愛、端麗なる女神二神を乗せた天駆ける戦車は地上へと舞い降りていく。


 二人を見届けたゼウス。
 傍らに石像にされた黒服の石化を解いて、
「黒服よ」
 しばし呆然としていた黒服は、気を取り直して、
「はっ!」
「おまえには、下界に下りて弘美の身辺警護の役を命ずる」
「御意!」
「行け!」
 黒服は、羽をはばたかせて飛び上がり、弘美のいる下界へと降りていった。


 その頃。
 石像にされたアポロン。
「ちくしょう!石化が解けたら、必ず復讐してやるからなあ。ハーデスと共謀して地の底
へと追いやってやる」
 と呪い続けていたとさ。

あっと!ヴィーナス 第二部 了

第三部 ハーデス/地の世界編、につづく……かもしれない(*^^)v
第四部 ポセイドン/海の世界編?(`・ω・´)ゞ

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