銀河戦記/鳴動編 第二部 第四章 皇位継承の証 XⅣ
2020.01.11

第四章 皇位継承の証


                 XⅣ

 その時一人の従者が駆け込んできた。
「大変です。共和国同盟との国境を守るマリアンヌ皇女さまの艦隊が攻撃を受けていま
す」
「なんですって!」
 共和国同盟との国境にあるエセックス候国の守備艦隊として、ジュリエッタの第三艦隊
と、マリアンヌの第六艦隊が交代で任務に当たっていた。現在はマリアンヌが、その旗艦
マジェスティックにて指揮を執っていたのである。
 一同は驚愕し、アレックスを見つめた。
「連邦の先遣隊でしょう。本隊が進軍する前に偵察をかねて先遣隊を出すことはありえま
す。それがたまたま皇女艦隊と鉢合わせてして、交戦状態に入ったのでしょう」
「エリザベスさま。早速、救援を向かわせましょう」
 しかし、アレックスはそれを制止した。
「言ったはずです。国境を越えられてから行動を起こしても遅いとね。現場まで何時間か
かるとお思いですか。救援隊が到着した時には、とっくに全滅しています」
「しかし、マリアンヌ皇女さまが襲われているのを、黙って手をこまねいているわけには
いかない」
「敵が攻め寄せて来ているというのに、体裁を気にしてばかりで行動に移さなかったあな
た方の責任でしょう。私の忠告を無視せずに、あの時点で艦隊を派遣していれば十分間に
合ったのです」
「そ、それは……」
 パトリシアが入室してきた。
「提督……」
「どうだった?」
「はい。マリアンヌ皇女さまは、ご無事です」
 おお!
 という感嘆の声と、何があったのかという疑問の声が交錯した。
「国境付近に待機させておいた提督の配下の者が救援に間に合ったようです。旗艦マジェ
スティックは大破するも、マリアンヌ皇女さまはかすり傷一つなくノームにご移乗なされ
てご安泰です」

「皆の者よ。良く聞きなさい」
 それまで静かに聞き役にあまんじていたエリザベスが口を開いた。
「摂政の権限としての決定を言い渡します」
 と言い出して、皆の様子を伺いながら言葉を続けていく。
「共和国総督軍が、帝国への侵略のために艦隊を差し向けたことは、もはや疑いのない事
実です。不可侵にして絶対的である我等が聖域に、侵略者達に一歩足りとも足を踏み入れ
させることなど、断じて許してはなりません。一刻も早く対処せねばなりません。ここに
至っては摂政の権限として、このアレクサンダー皇子を宇宙艦隊司令長官に任じ、銀河帝
国宇宙艦隊全軍の指揮を任せます」
 謁見室にいる全員が感嘆の声をあげた。
 宇宙艦隊司令長官に任じたことは、アレックスを皇太子として公式的に認めることを意
味するからである。
 不可侵にして絶対的なる聖域である帝国領土を、敵の侵略から守るために、共和国同盟
軍の英雄として采配を奮った常勝の将軍を、宇宙艦隊司令長官に任ずるという決定は即座
に全艦隊に伝えられた。
 もちろん皇太子であることには一切触れられてはいなかったのであるが、皇太子殿下ご
帰還の報はすでに非公式ながら全国に流されていたので、皇室が皇太子殿下を正式に認知
したものとして、民衆はアレックスの宇宙艦隊司令長官就任の報に大いに歓喜したのであ
る。

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冗談ドラゴンクエストII 冒険の書・5
2020.01.10

冗談ドラゴンクエスト II 冒険の書・5



ナレ「北西の湖の洞窟に入るには、王子のレベルが5以上となって、キアリーを覚えるま
では、とレベルアップに励む二人だった」
勇者「これでどうだ!」
ナレ「モンスターを倒した。チャリラリラン♪王子はレベルアップした、キアリーを覚え
た」
勇者「よっしゃあ!これで毒攻撃にも安心だな」
王子「恐縮です」
勇者「洞窟に再チャレンジするぞ」
ナレ「北西の湖の洞窟に再び挑戦し、ついに『ぎんのカギ』を手に入れたのだった」
勇者「よおし、銀の扉を片っ端から開けるぞ」
王子「ルリザに一つありましたね」
勇者「ルーラシアにもあったな」
ナレ「ルリザの武具屋の横の銀の扉を開けると、福引所だった……あ、ちなみにこの辺か
らFC版ドラクエじゃなくて、スマホやWii版のドラクエに変わっています」
勇者「そうだよな。FC版は復活の呪文が面倒だからな。画面の文字の読み間違いすると、
復活できない」
王子「それに、イベントも増えていますし」
ナレ「というわけで続きます」
福引「ここは福引き所です。福引きをいたしますか?」
勇者「ふくびきけんが三枚あるな。三回引くぞ」
王子「結局三回とも外れでしたしたね」
勇者「次の扉に行くぞ」
ナレ「ルーラシア城の銀扉は、サンペタとまもりのすずの情報と、地下牢はろうやのカギ
が必要か……ちなみにルーラシア城南の祠を尋ねてみると」
祠主「……へ?もう、ぎんのカギは手に入れたですと?いや、さすが勇者さま。おそれい
ったわい」
勇者「ふむ、この地方では銀の扉は、情報しか手に入らないのか」
王子「次の地方というと、サンペタですね」
勇者「おうともよ。姫のいる地方だ」
王子「自分、心もとないので、もう少しレベルアップさせてくれませんか?」
勇者「しようがないな」
ナレ「レベルアップを兼ねて、各洞窟内の取りこぼした宝箱探しに出かけることにしたの
だった」
勇者「そろそろ、行くか?」
王子「行きましょう」
ナレ「ルリザ西方の海岸沿いにある祠に入り、衛兵が守るローラの門を開けてもらって対
岸の祠に渡る。そこから出たところが、サンブルグ地方である」
勇者「まずはサンペタの町で情報収集だな」
王子「気をつけてください。この辺には、ギラという全体呪文唱える奴が現れますから」
勇者「よく知ってるな」
王子「子供の頃、父王に連れられてサンブルグに行く途中で見かけたんです」
勇者「そうか。気をつけよう」

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あっと!ヴィーナス!!第二部 第一章 part-6
2020.01.09

あっと! ヴィーナス!!第二部


第一章 part-6

 愛が連れ去られた!
 しかも羽根が生えた黒服の天使?によって空の彼方へと。
 天使、天使、天使……。
 天使といえば天上界。
 天上界といえば、ヴィーナス!?
「まさか、ヴィーナスの差し金か?」
 大急ぎで、自宅へと駆け出す弘美。
 息咳切りながらたどり着いた自宅に駆け上がり、台所に飛び込む。
 そこには、相も変わらず酒びたりのヴィーナスがいた。
「ヴィーナス!愛ちゃんをどこへ連れて行った!!」
「なんのことらろ?」
 呂律の回らない口調で問い返すヴィーナス。
「愛ちゃんが連れ去られたんだよ!」
「つれはられた?」
「羽根の生えた天使のような黒服に空の上に連れ去られたんだよ!」
「なんらろ?」
「天使は、おまえの仲間だろうが。おまえが指示したんだろ?」
「なんのことらあ?」
 へべれけに酔っていて、意思の疎通ができない。
「まったく肝心な時に役に立たない奴だなあ」
 どうするべきかと悩む弘美。
 こうしている間にも、愛が何をされているか……。
「なんで、愛ちゃんがさらわれなきゃならないんだよ」
 憤りいきどおりを収めきれない。

 その時だった。
「お困りのようだな」
 どこからともなく声がした。

 その声は母ではなく、もちろんヴィーナスでもなかった。
 ヴィーナスの方を見ると、すでに昏睡状態のようで話しかけることはできないだろう。
 あたりを見回したが、自分とヴィーナス以外は、ここにはいなかった。
 では、誰の声だ?
「うふふふ……」
 まただ。
 姿は見えないが、確かに誰かがいて話しかけている。
「もしかして、ディアナですか?」
 姿が消せるということは、神の部類以外に無い。
 ヴィーナスに初めて会った時に、天空の女神ディアナのことを、口を滑らしていた。
「ほほう……。記憶力は良い方だな」
 と言いながら、スーーと姿を現した。
「ヴィーナスが話していましたからね。女神は他にはいない」
「なるほど。改めて、天空の女神ディアナだ」

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あっと!ヴィーナス!!第二部 第一章 part-5
2020.01.08

あっと! ヴィーナス!!第二部


第一章 part-5

 数日後。
 ファミレスのバイトを始めた二人。
「ありがとうございました」
 バイトの仕事にも慣れて、そつなくこなしている。

「いらっしゃいませ!」
 客が入店してくる。
 その客の姿を見て、ヒソヒソと店員たちが耳打ちしている。
 それもそのはずで、来店客は黒眼鏡に頭から足まで黒ずくめの衣服を着ていたからだ。
「なにあれ。少年探偵コナンのコスプレ?」
 客が席に着いて、テーブル担当の店員が注文を取りにいく。
「これとこれと、それからこれ」
 と注文した品は、調理に時間のかかるものばかりだった。
「これとこれと、それからこれ、でよろしいですね」
「ああ、たのむ」
「かしこまりました」
 一礼して、オーダーを出しに厨房へ伝えに行く店員。
「オーダー入りました!これとこれと、それからこれ、です!」
 客は、お冷を一口飲むと、ポケットから何かを取り出した。
 写真のようだった。
 それをジッと見つめたかと思うと、店員と見比べている。
「何、あの客。うちらのこと見つめたりして、気色悪いわあ」
「もしかしたら、興信所の人?」
「ええ?じゃあ、誰かを調べているの?」
「よく観ると、新人の方を見ているみたいよ」
 確かに客は、新人である弘美と愛の動きを追っていた。
 やがて注文した料理が届くと、一口入れては観察、一口入れては観察。
 咀嚼の間中は二人を交互に観察していた。

 そうこうする内に、二人の勤務時間の終了となる。
「お疲れ様でした!」
 更衣室で制服から、自分の服に着替えて、店を出る二人。
「ふうっ!疲れたあ」
 大きく伸びをする愛。
「それにしても……あの人、なんだろうね」
「例の客?まだ食べているのかな」
「ううん……どうかな。もう食べ終わってるんじゃない?」
 談笑しながら帰り道を歩く二人。

 その時、一陣の風が吹いた。
 スカートの裾が舞い上がり、慌てて両手で抑える。
「酷い風ねえ」
 砂が目に入ったのか、目を擦っている弘美。
「きゃあ!」
 悲鳴を上げる愛。
 目を開けると、愛を抱えて走り去る黒尽くめの男。
「ああ、あの変な客だ!」
 なんて言ってる暇は無い。
 黒尽くめを追いかける弘美。
「待ちなさい!愛をどこへ連れていくの!!」
 人一人抱えて走りづらいはずなのに、黒服は軽々と走り続ける。
 じりじりと差を詰めていく弘美。
 あと一歩!
 手を伸ばした瞬間だった。
 ふわりと黒服が宙に浮かんだのだった。
 見ると黒服の背中から真っ白な羽根が生えている。
 その羽根をバサバサと羽ばたかせて、空高く舞い上がってゆく。
「天使!?」
 羽根の生えた黒服は、すでに空の彼方に消え去っていた。

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あっと!ヴィーナス!!第二部 第一章 part-4
2020.01.07

あっと! ヴィーナス!!第二部


第一章 part-4

 それから数日後。
 愛と一緒にファミレスの面接を受けている。
 勤務希望日時とか尋ねられて、
「やっぱり土日の午前中かな……」
「あのねえ、夏休みなのよ。もう少し働かないと雇ってもらえないでしょ。ねえマネージ
ャー」
「そうですね。最低でも三日間のフルタイムか、五日以上のハーフタイムは働いて頂かな
いとね。シフトが組めませんから」
「ほらね」

「うーん……。どうしようかな」
 頭を抱えている弘美。
「取りあえず四日以上のフルタイムを働いて頂けるなら、採用決定なんですけどね」
「へ? 採用決定?」
「新店舗が出来たせいでかなりの従業員がそちらに振り分けられて、こちらの人員が足り
なくて、急ぎ募集する必要があるんですよ。今なら無条件採用です。いかがですか?」
「念のためにお聞きしますけど、時給はいくらくらいですか?」
「採用条件に合えば、時間七百五十円をお支払い致します」
「七百五十円? それって平均的?」
「そうですね。高校生の時給としては妥当なはずですが」
「フルタイムって何時から何時ですか?」
「あなた達は、女子高校生ということで、就業規則により午前十時から午後六時までとな
っております。それ以降の勤務時間は、学校側や父兄から帰宅に問題が生ずるとクレーム
がくるからです。大切なお嬢様をお預かりするわけですから当然の配慮です」
「ふうん……お嬢様ねえ」
 そっかあ……。
 一応あたしはお嬢様なんだ。
 そう言われると悪い気はしなかった。
 あれ?
 女の子として扱われることに抵抗してたんじゃなかったっけ?
 うーん……いつの間にか、女の子としての生活に慣れ親しんでいるってことか。
 そりゃそうだ。
 実際にしても、誰が見ても正真正銘の女の子だものな。
「ねえ。どうするの? 早いところ決めておかないと他の子に仕事取られちゃうよ。ここ
のアルバイト、結構人気があるんだから」
「そうなんだ」
「どうしますか?」
「決めちゃいなよ」
「マネージャーさんも忙しい中を時間を作って、相手してくださっているんだから。今更
断りきれないわよ」
「あ、あのねえ……」
 それじゃあ、脅迫みたいじゃない。
「わかったわ。取り合えず、四日のフルタイムということでお願いします。ただ曜日はも
う少し考えさせていただけませんか?」
「結構ですよ。四日のフルタイムですね。曜日に関してはある程度融通が利きますから大
丈夫です」
「それじゃあ、そういうことでお願いします」
「判りました。一応採用ということで、こちらこそ今後ともよろしくお願いします」
「やったね」

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