銀河戦記/機動戦艦ミネルバ 第五章 ターラント基地攻略戦 V
2019.12.08


 機動戦艦ミネルバ/第五章 ターラント基地攻略戦


                 V

 ミネルバ以下の戦艦がカッシーニの森に隠れるように着陸している。
 恒久修理班が損傷した外壁を修理している。
 その間に、パイロット候補生達の訓練が再開された。
 発着格納庫に集められた訓練生に、サブリナとナイジェルが訓示を述べる。
「パイロットになるための訓練はきびしいが、十分な訓練を重ねて立派な戦士になって
もらいたい。幸いにも先の作戦で多くのモビルスーツが手に入ったので、各自に一機ず
つあてがう事ができるようになった」
「いいか。正規パイロットの先輩達のご好意で、これらの機体を訓練に使わせてもらう
のだ。ようく感謝することだ」
「訓練用の模擬弾を装填しているとはいえ、実戦用の機体は訓練機に比べてパワーが違
う。心して掛かれよ」
「これよりA班からD班までの四チームに分かれてもらう。チームリーダーとして、A
班にはオーガス曹長、B班にはナイジェル中尉、C班にはハイネ上級曹長、そしてD班
は私が担当する。A班は戦艦ポセイドン、B班は空母サンタフェ、C班は空母サンダー
バードに、それぞれ移乗してもらう」
 搾取したモビルスーツは、ミネルバに随行する各艦にそれぞれ配分されていた。
 戦闘訓練も、各艦から出発するという方式ではじめられる。
「おい。おまえは、B班か?」
「おうよ。おまえと一緒でなくて助かったぜ」
「仲間の足を引っ張るなよ」
「おまえこそ、戦闘でちびるなよ」
 というわけで、A班からC班の三チームは輸送トラックに分乗して、それぞれの艦へ
と移動する。
「中尉殿、もうしわけありませんが勝たせてもらいますよ」
「何を言うか。おまえが戦うわけでもあるまいし」
「作戦ですよ、作戦」
「作戦だと?」
「ランドール提督だって、どんな不利な情勢でも、作戦によって勝利に導きましたから
ね」
 ナイジェル中尉とオーガス曹長が言い争っている間にも、訓練生の出発準備が整った。
「中尉殿。B班全員搭乗しました」
 輸送トラックに全員が乗り込み、ナイジェル中尉の合図待ちである。
「おう。それじゃあ、出発するぞ」
 傍らに待たせておいたジープに乗り込むナイジェル中尉。
「オーガス。おまえの作戦とやらをじっくりと見せてもらうぜ」
「たんまはなしですからね」
「抜かせ! おい、出発させろ」
 ジープを発進させるナイジェル中尉。
 地上用発着場からジープが出てゆく。
 それを見送りながら、オーガス曹長はある物が到着するのを待っていた。
「曹長! 手に入れてきましたよ」
「おう、でかした」
 部下が持ってきたのは、訓練の戦場となるカッシーニの森の見取り図だった。
「これで作戦が立てられるぞ」
 見取り図を握り締めてジープに乗り込むオーガス曹長。
 その視線にはハイネ上級曹長があった。
 黙りこんだままジープに乗り込んで出発していった。
「無口なハイネ上級曹長にはチームリーダーとしてやれるのかねえ」
「心配ですか?」
「んなわけないだろ」
「そろそろ出発しましょう。中尉殿が睨んでいますよ」
 サブリナ中尉がこちらをじっと見つめていた。
「おっと。後でお目玉貰いそうだ」
 慌ててヘルメットを被りながら、
「ようし! 乗り込め!」
 出発準備を開始した。


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銀河戦記/鳴動編 第二部 第四章 皇位継承の証 IX
2019.12.07


第四章 皇位継承の証


                 IX

 軍部統制官という官職に就いたことで、宮廷の一角に執務室を与えられたアレックス。
 まず最初に行ったことは、艦隊の予算配分状況を調べさせたことである。今は、想定さ
れる総督軍・連邦軍との戦闘が避けられない中で、現在予算をどれだけ消費しどれだけ残
っているかを把握しておかなければ、いざ戦争という時に予算不足で艦隊を動かすことも
できないという事態にもなりかねない。
 その作業は、次官として配属された新任の武官に当たらせた。
 やがて報告書を見たアレックスは驚きのあまり言葉を失ったくらいである。
 一艦隊あたりの予算がべらぼうな額だったのである。
 アレックスも共和国同盟軍や解放軍を統率しているから、軍政部長のルーミス・コール
大佐の報告を受けて、どれくらいの予算が掛かっているかを知っている。
 ところが銀河帝国軍のそれは、共和国の三倍から四倍もあったのである。
 これはどういうことかと次官に尋ねるアレックス。
 委任統治領や荘園領以下城主に至るまでの何がしかの土地を与えられている高級貴族の
子弟や、土地を持たない下級貴族まで、爵位を持つ者のほとんどが、将軍として任官され
ているという。しかも同じ階級ながら貴族というだけで、破格の給与が支払われていると
も。
「貴族による、軍部予算の食い潰しじゃないか」
 階級に見合った仕事をしてくれるならまだ許せる。しかし戦闘訓練も行ったことすらな
い将軍が、艦隊を統率などできるはずがない。いざ戦争となれば、艦隊を放り出して一番
に逃げ出すだろう。
 役に立たない金食い虫となっている貴族を軍部から放逐する事が、アレックスの最初の
大仕事となった。
 人事を握っている軍令部評議会に対し、来年度から貴族を徴用することを禁じ、現在任
官している貴族将軍の給与も段階的に引き下げるように勧告した。軍部統制官の権限であ
る予算配分をカットすればそうせざるを得ないであろう。
 当然として貴族達の反感を買うことは目に見えているが、誰かが決断して戦争のための
予算を作り出し確保しなければ、銀河帝国は滅んでしまうことになる。
 まさか帝国は戦争が起これば、戦時特別徴収令などを発して、国民から税金を徴収する
つもりだったのか? それでは民衆の反感を買い、やがては暴動となってしまうじゃない
か。
 アレックスは、あえて憎まれ役を買って出ることにしたのである。
 続いて、統合軍作戦参謀本部に対して、大規模な軍事演習を継続して行うように勧告し
て、演習のための予算を新たに与えた。予算の無駄使いのないように監察官も派遣した。
 そして、統合軍宇宙艦隊司令部に対しては、新造戦艦の建造を奨励して、老朽艦の廃棄
を促進させた。工廟省には武器・弾薬の大増産を命じた。
 軍人なら艦を動かし、大砲をぶっ放したいと思うはずである。しかし、これまでは貴族
達の予算食い潰しによって演習もままならず、大砲を撃ちたくても肝心の弾薬がないとい
う悲惨な状態だったのである。まともに動けるのは、辺境警備の任にあって優先的に予算
を回されていたマーガレットとジュリエッタの艦隊だけであった。
 すべては起こりうる戦争に向けての大改革である。
 後に【統制管大号令】と呼ばれることになる一連の行動は、貴族達の大反感を買うこと
になったが、一般の将兵達からは概ね良好にとらえられた。


11
あっと!ヴィーナス!!第三章 part-1
2019.12.07


あっと!ヴィーナス!!


第三章 part-1

 夜が明けた。
 これからの将来を案じてほとんど眠れなかった。
「弘美ちゃん。朝ですよ」
 朝はいつも低血圧だった。
 だから誰かに起こされる。ほとんどが武司兄さんだが……。
 あれ? 何で母さんが起こしにくるの?
 何せ六人分の朝食の支度やその他もろもろ、主婦の朝は忙しいから、起こしにこれる状
況ではないはずなのに。
「早く朝食を食べないと、学校に遅れますよ」
 と、やんわりとやさしく起こそうとしている。まるで女の子を起こすように……。
 女の子?
 あ?

 がばっ! と飛び起きて確認する。
 髪……長い。
 胸……ある。
 あそこ……ない。(涙)
「あーん。やっぱり夢じゃないよ……。女の子のままだよー」
 忙しい母さんが、わざわざ起こしにきたのはそのせいだったのね。女の子の部屋という
ことで、兄さん達は遠慮しているようだ。
「何を今更なことを言ってるんですか。ほらほら、早く着替えなさい」
 と、パジャマを脱がされ、素っ裸に……。
 うーん。この姿は兄さん達には見せられないよなあ……。
 ここにいるのは母と娘、女同士だからいいんだけど……。産みの親とはいえ、あまり裸
は見られたくないな。
 しかし母は一向に気にしていない。昨日のようにブラジャーとかの下着を着せられる。
 ブラジャーを着用しはじめて二日め。そうそう慣れるものではない。どうも窮屈な感じ
がする。
「いいわね……。じゃあ制服を着なさい」
「これって、栄進の女子制服じゃない。ヴィーナスがくれたやつ……」
「当たり前でしょ。女の子なんだから」
「これで学校に行くの?」
「大丈夫よ。ヴィーナスさんがおっしゃってたじゃない。ご近所さんから学校関係者まで、
弘美ちゃんに関わる人々の記憶をすり替えたって。戸籍も女の子になってるしね」
「そんなこと信じられないよ」
「女神さまなんだから間違いないわよ。今朝のゴミ出しの際に、近所の奥さんと話してい
て、弘美ちゃんの話題になるようにそれとなく誘導したら、『弘美ちゃんて、とても可愛
いいお嬢さんね。うらやましいわ』って言ってたから」
「ほんと?」
「だから心配しなくてもいいのよ。学校の先生やお友達も、記憶をすり替えてあるはずだ
から、安心して女の子として当校できるわ」
「ほんとかなあ……」
 この目で確認するまでは信じられない。なにより信じて女子制服で登校して、以前のま
まだったら、それこそ一生笑い草にされてしまうじゃない。
 気が思いよお……。
 なんて言ってるうちに、すっかり女子制服姿になっていた。
 母さんは着せ替え人形が得意?
「さあ、下へ行きましょう。みんなが待ってるわ」
「待ってるって?」
「可愛い弘美ちゃんを一目見てから、出かけるつもりみたいね」
「そんなのないよ。あ、あたしに構わず行ってくれりゃいいものを」
「そんなこと言うんじゃありませんよ。せっかく家族愛に燃えているんだから」
「結局さらしものにされるだけじゃない」
「弘美ちゃん……」
「いいよ、もう……。どうせ避けられない運命なんだから、串刺しにでも何でもしてよ」
 といいながら鞄を手に取る弘美だった。
「そうそう、何事もあきらめが肝心よ。昨日も言ったけど、一度その姿を見せれば慣れち
ゃうから」


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あっと!ヴィーナス!!第二章 part-7
2019.12.06


あっと!ヴィーナス!!


第二章 part-7

「それから渡す物が二つあります。一つはこれ」
 と一通の書類を母に渡した。
「これは戸籍謄本……。まあ!」
「どうした?」
「ほら、あなた。弘美ちゃんのところが『長女』になってるの」
「どれどれ……ほんとだ」
「俺にも見せてよ。うーん……性別を抹消訂正していないから、生まれついての女の子と
いうことじゃないか」
「ほんとだ」
 戸籍謄本を回し見して確認している家族達。
「口でいうよりも実物証拠を見せた方が理解しやすいと思って持ってきました」
「恐縮いたします」
「それともう一つは……」
 というと紙包みを差し出した。
 それを受け取って開けてみる母。
「まあ、これは! 弘美ちゃんの学校の女子制服じゃない」
「どれ、ほんとだ」
「明日からの通学のために用意しました。これがないと困ると思いまして」
「ありがとうございます。何もかも至れり尽せり感謝します」
「女神としては当然のことですよ。すべては弘美さんが何不自由なく女の子として生きて
いけるようにしなくてはならないのですから」

「いい加減にしてよ!」
 これまでじっと静観して弘美が叫んだ。
 あまりにも傍若無人じゃないか。
 じぶんの意思が完全に無視されている。
 俺……あたしの人生どうなっちゃうの?

 ヴィーナスを交えての家族あげての祝杯は続いた。


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9月30日追記/引っ越しの予定
2019.12.05
9月30日追記

 現在の状況として、荷造りよりも断捨離が優先事項です。
 4DKの自宅に住んでいた頃の荷物を、そのままソックリ現アパートに持ち込んだために、不要不急の荷物が山のようにあります。
 先日の不燃物ゴミの日には、3年以上使っていない家電、コーヒーメーカーとか足マッサージ器とかをゴッソリと出した。折り畳み式の座卓とかコタツとか、あれやこれや。
 プラスチック製の衣装ケースを、大小10個くらい。
 ゴミ置き場が、自分のものだけで山のように積みあがりました(≧◇≦)

 そんでもって、大量に出すので、早朝にコッソリと出すために、早寝早起きを1時間進めました('ω')



現在住んでいるアパートが来春3月を持って取り壊し・建て替えのために、更新停止で引っ越しせざるを得ないことになりました。
いきなりの通知で戸惑っているのですが……。
これから新居探し、断捨離・荷物梱包など引っ越しの準備となるので、キラポチ返しも滞ると思います。
現在の住まいは、駅・スーパー・市役所出張所へ10分以内圏内で、とても便利な環境なので名残惜しいです。
地元不動産を当たって、近場で良い物件がないか探そうと思います。
まだ6カ月あるというか、たった6カ月しかないというか……。
たぶんあっという間に6カ月経ってしまうのでしょう。

というわけで、引っ越し予定のお知らせまで。

追記 9/7
ともかく午前中に、断捨離と荷造りを始めて。
午後から、新居探しで不動産屋周りしようと思います。
2019.12.05 18:01 | 固定リンク | 雑記帳 | コメント (2)

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