冗談ドラゴンクエスト 冒険の書 46
2019.08.21


冗談ドラゴンクエスト


冒険の書 46


ナレ1「その夜の一行が泊まる宿屋」
ナタリー「よし!これでいいわ」
ナレ1「なんと勇者がロープで縛られていた」
勇者「これはどういうことじゃあ!?」
ナタリー「借金が30000Gに増えた理由を考えれば分かるでしょ」
勇者「理由……分からん?」
ナタリー「外で頭冷やして考えなさい」
ナレ1「さらに布団でぐるぐる巻きにされて、バルコニーの手すりから吊るされた」
勇者「なんじゃこれはあ!俺は冴羽〇かああ~!」
ナレ1「身体をよじらせたりして、何とか抜け出そうとする」
ナタリー「これで安心して眠れそうね」
ナレ1「それは甘い考えだぞ!彼は脱獄のプロだし、冴羽〇だって難なく脱出している
ぞ」
コンラッド「勇者さんて、そんなに女好きなんですか?」
ナタリー「好きなんもんじゃない。あいつの頭の中には女しかいない」
リリア「でも、今は女の子……じゃないですか?」
ナタリー「身体はね。中身は全然変わらないんだからね」
リリア「……(意味深な表情)」
ナタリー「さあて、もう寝ましょう。明日は早い」
コンラッド「彼、じゃなくて、彼女。いや、やっぱり彼を放っておいていいんです
か?」
ナタリー「大丈夫よ。そんな軟弱な気性じゃないから」
リリア「と、とにかくもう休みましょう」
ナレ1「なんやかんやで、解散して各自の部屋に別れる」
ナレ2「皆が寝静まった頃、ナタリーの部屋に侵入する怪しげな影」
ナレ1「怪しげな物音に気が付くナタリー」
ナタリー「だれ!ってか、一人しかいないよね。勇者」
勇者「おお、気づかれたか」
ナタリー「気づかないでかあ~!」
ナレ1「毎度のことなので、敏感になっているのであろう」
ナタリー「あんた、夜這いすることしかできないのかあ」
勇者「ハッキリ言おう。できない!」
ナタリー「まったくう、懲りない奴だな」
勇者「それが俺だ」
ナタリー「女になったんでしょうが、男に興味は持たないの?」
勇者「ない!(キッパリと)」
ナタリー「でしょうね。中身は男なんだから」
勇者「ということで、頂きます(飛び掛かる)」
ナレ1「すばやく枕元にある紐を引くと同時に、体を交わすようにベッドから転げ降り
る」
ナレ2「と突然、天井から網が降りてきて勇者を絡めとった」
勇者「なんやこれはあ!」
ナタリー「脱獄の名人だし、これまでのこともあるしね、罠を仕掛けておいたの」


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冗談ドラゴンクエスト 冒険の書 45
2019.08.20


冗談ドラゴンクエスト


冒険の書 45


衛兵「大神官アーネスト様にだと?」
リリア「クアール最高導師様がどちらにおられるかご存知ないですか?」
衛兵「馬鹿なことを言うんじゃない。下賤の身の分際で、ご高官のお名前を諳んじるだ
けでも重罪に値するぞ」
リリア「何とかなりませんか。お願いいたします。」
衛兵「だめだ、だめだ!」
ナレ1「城門外での騒動に、何事かと城門内から顔を出した者がいた」
騎士「何をしているか!?」
衛兵「あ、エリアス・スターリング様。こいつらが中に入れてくれというもので」
騎士「城門の中へだと。ふむ……(一行を見回して)」
ナレ1「その中に見知った人物がいるのに気付いた」
騎士「そこにいるのは、コンラッド・ヘーリング様ではないですか」
コンラッド「ありゃ、見つかったか」
衛兵「ええ!この方がフィリス王国騎士団団長のコンラッド・ヘーリング様!」
ナレ1「意外な展開に驚く一同だった」
騎士「帰ってらっしゃったのなら、王様にご報告なされた方がよろしいかと」
コンラッド「分かっている。とにかく、この者たちの入国許可を」
騎士「おい、おまえら(衛兵に)入国許可証を出してやれ」
衛兵「かしこまりました」
ナレ1「そんなこんなで、無事に入城できたのであった」
リリア「コンラッドさん、王国騎士団団長だったんですね」
ナタリー「隠してるなんて、ずるいわ」
コンラッド「隠してたわけではありませんが、言い出す機会を失ってしまったのです」
リリア「ともかく、大神官様ですよ」
ナタリー「そうだわ。大神官様はどこにいらっしゃるのかしら」
コンラッド「大聖堂におられると思いますよ」
リリア「大聖堂……って、普通は教皇とか大司教が執っているのでは?」
コンラッド「まあ、いろいろありましてね」
ナレ1「解説しよう。筆者がキャラクター設定の際に、ついドラゴン〇ール超に釣られ
てしまったのだ。」
ナレ2「というわけで、深く詮索しないように」
ナレ1「物見遊山で場内を巡る一向」
騎士「コンラッド様、ちょっと来て下さい」
コンラッド「分かった、今いくよ(一行に向かって)というわけで、後はみなさんで」
リリア「用事が済んだら、どこで落ち合いますか?」
コンラッド「南東の隅に宿屋があります。」
リリア「南東の隅ですね。お待ちしてます」
ナレ1「一行から別れて、コンラッドが向かった先は?」
ナレ2「絢爛豪華な王宮だった」
ナレ1「宮廷衛兵がコンラッドを確認すると、捧げ銃(ささげつつ)して敬礼した」
ナレ2「宮廷内を悠々と歩いて向かうは、謁見の間である」
国王「よくぞ参った」
コンラッド「陛下におかれましては、ご健勝のこととお慶び申し上げます」
ナレ1「と、うやうやしく傅く(かしずく)」
国王「そう、鯱張る(しゃちほこばる)でないぞ。」
コンラッド「ははっ」
国王「ところで城下の民衆達の様子はどうじゃ」
コンラッド「陛下のご加護の下、平穏息災に暮らしております」
国王「そうか……」
コンラッド「陛下の温情ある治世に、城下の者は感謝おります」
ナレ1「褒められて気を悪くする者はまずいない」
国王「ふむ……ご苦労であった。今夜はゆっくりと休みたまえ」
コンラッド「ありがとうございます。ただ、自分は四人の仲間と行動を共にしておりま
す」
国王「仲間がいるとな?」
コンラッド「はっ!クアール最高導師様を探しているとかで、このフェリスにいらっし
ゃる大神官様なら、どこにお住まいかをご存知ではないかと」
国王「クアール最高導師様に大神官様とな?現在の大神官様は、ローレンス・マッシュ
様だが……」
コンラッド「その通りでございます」
国王「クアール様はともかく、ローレンス様は信徒以外とは会いたがらないからな」
コンラッド「国王様のお力で何とかなりませんか?」
国王「まあ、紹介状とかなら出せるが、それで会えるかどうかはローレンス様次第だ」
コンラッド「ないよりはましでしょう。書いていただけますか?」
国王「わかった。書いておくから、また明日ここへ出向くがよい。」
コンラッド「ありがたき幸せ」


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冗談ドラゴンクエスト 冒険の書 44
2019.08.19


冗談ドラゴンクエスト


冒険の書 44


コンラッド「(食事を終えて)さて、フェリス王国までの道のりは約12万マイラです」
ナタリー「モトス村までの28000マイラの約4倍というところですか」
勇者「まさか、その距離を地べた這いずり回れと言うんじゃないだろな」
コンラッド「その通りですよ」
勇者「よし!帰るとするか」
ナタリー「何言ってるのよ。あんたには30000Gの貸しがあるんだから」
勇者「ほよ?20000Gじゃなかったのか?」
ナタリー「昨夜のことは忘れたの!!」
勇者「覚えてないが……」
ナタリー「あんなことや、こんなことしたじゃない!!」
勇者「女の子同士、仲良く一緒に寝ただけじゃないか」
ナタリー「ああ……もういいわ。まともに付き合ってたら、疲れるだけだから」
コンラッド「何か分かりませんが、話は終わりましたか?」
ナタリー「何でもないわ。そろそろ出発しましょうか」
勇者「おう!気を付けて行けよ」
ナタリー「あんたも行くのよ!(と勇者の耳を引っ張る」
勇者「痛い、痛い。耳が千切れるう~」
リリア「みなさん、忘れ物はないですかあ」
勇者「お小遣いとおやつは500Gまで、バナナはおやつじゃないからな」
ナタリー「幼稚園の遠足ですか?」
コンラッド「どうやら準備は整ったようですね。では、出発しましょう」
宿屋「お気をつけて行ってらっしゃいませ」
ナレ1「ということで、12万マイラの長旅が始まったのである」
ナレ2「フェリス王国の城門が見えてきた」
勇者「ちょっと待て!長旅が始まったと言ったばかりじゃないか!」
ナレ1「どうせモンスターと戦ってレベルを上げる、だけなんだから。省略です」
勇者「それでいいのかよ?」
ナレ1「いいのです」
勇者「いい加減なんだな」
ナレ1「冗談ドラゴンクエストですから、はい」
リリア「フェリス王国にたどり着きました」
ナレ1「モトス村から12万マイラ、ついにフェリス王国へとやってきた」
ナレ2「見上げるほどに高い城門の両側に、衛兵詰め所があった」
衛兵「止まれ!ここはフェリス王国であるぞ」
ナレ1「槍を突き立てて、尋問する衛兵」
ナタリー「大神官様にお会いしにきました」


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銀河戦記/機動戦艦ミネルバ 第四章 新型モビルスーツを奪還せよ XIV
2019.08.18


 機動戦艦ミネルバ/第四章 新型モビルスーツを奪回せよ


                XIV

 砂漠の上空を飛行しているミネルバ。
 艦橋では、フランソワがカサンドラから収容した訓練生の名簿に目を通していた。
「男子二十八名、女子十四名、合わせて四十二名か……。数だけで言えば補充要員は確
保できたけど」
「心配いりませんよ。ミネルバ出航の時だって、士官学校の三回生・四回生が特別徴用
されて任務についていますけど、ちゃんとしっかりやっていますよ」
 副官のイルミナ・カミニオン少尉が進言する。
「それは元々専門職だったからですよ。それぞれ機関科、砲術科、航海科という具合
ね」
「今回の補充は、全員パイロット候補生というわけですか。結構プライドの高いのが多
いですから、衛生班に回されて便所掃除なんかやらされたら、それこそ不満爆発です
ね」
「トイレ掃除だって立派な仕事ですよ。ランドール提督は懲罰として、よくトイレ掃除
をやらせますけど、皆が嫌がるからではなく、本当は大切な仕事だからやらせているん
だとおっしゃってました」
「へえ。そんな事もあるんですか。そういえば発令所ブロックの男子トイレは、部下に
やらせないで、提督自らが掃除していると聞きました」
 感心しきりのイルミナであった。最も発令所には男性はアレックスだけだからという
事情もあるが。
 名簿に署名をしてイルミナに渡すフランソワ。
「新型モビルスーツの位置が特定しました」
 通信が報告し、正面スクリーンにポップアップで、位置情報が表示された。
「ただちに急行してください」
 砂漠上空の外気温は四十度を超えていた。
 新型モビルスーツはともかく、乗り込んでいたという三人の訓練生が気がかりだった。
砂漠という過酷な環境で、水なしで放置されたら干からびてしまうだろう。

 砂漠の真ん中。
 モビルスーツによって日陰となっている地面に、力なく横たわっている三人の姿があ
った。口は渇ききり唇はひび割れている。日陰の場所でも、砂漠を吹き渡る熱風が、三
人の体力を容赦なく奪っている。水分を求めてどこからともなく飛んでくる蝿が、目の
周りに集まっているが、追い払う気力もないようだ。
「俺達、死ぬのかな」
「喋らないほうがいいぞ。それよりサリー、生きているか?」
 アイクが心配して尋ねる。
 しかし、サリーは喋る気力もないのか、微かに右手が動いただけだった。
 三人の命は、風前の灯だった。
 薄れる意識の中で、ある言葉が浮かんだ。
『いざという時に、一番発揮するのは、体力だということが判っただろう』
 特殊工作部隊の隊長の言葉だった。
「まったくだぜ……」
 小さく呟くように声を出したのを最期に、意識を失うアイクだった。


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銀河戦記/鳴動編 第二部 第三章 第三皇女 XV
2019.08.17


第三章 第三皇女


                 XV

 インヴィンシブルの艦載機発着場。
 アークロイヤルの皇女専用艀が停船しており、その周囲を将兵が整然と取り囲んでい
た。真紅のビロードの絨毯が敷かれて、ジュリエッタ皇女が出迎えていた。
 やがてドアが開いて、中からマーガレット皇女が姿を現わす。その背後にはアレック
スが控えている。
 タラップが掛けられて、兵士達が一斉に銃を構えなおし、VIPを出迎える動作を行
った。内乱の首謀者といえども、皇女という身分を剥奪されてはいないからだ。
「お姉さま!」
 ゆっくりと歩み寄るジュリエッタ皇女。
「ジュリエッタ……」
 互いに手を取り合って再会を喜ぶ二人。政治の舞台では反目しあっていても、姉妹の
愛情は失われていなかった。
 首都星へ向かうインヴィンシブルの貴賓室で、姉妹水入らずで歓談する二人。アレッ
クスは席を外しており、別の部屋で待機をしていると思われる。
「そういうわけだったのね」
 ジュリエッタは、共和国同盟の英雄との出会いを説明していた。
「噂には聞いておりましたが、あれほどの戦闘指揮を見せつけられますと……」
「何? 何が言いたいわけ?」
 言い淀んでしまったジュリエッタの言葉の続きを聞きだそうとするマーガレット」
「マーガレットお姉さまも気づいていますよね?」
「エメラルド・アイでしょ……」
「その通りです。軍事的才能をもって帝国を築いたソートガイヤー大公様の面影がよぎ
ってしかたがないのです」
「そうね……。もしかしたら大公様の血統を色濃く受け継いでいるのかもしれません」
「だったら……」
 身を乗り出すジュリエッタ皇女。
「待ちなさいよ。結論を急ぐのは良くないことよ。わたし達はランドール提督のことを、
まだ何も知らないのよ。例えば連邦にもエメラルド・アイを持つ名将がいるとの噂もあ
ることですし」
「ええと……。確かスティール・メイスン提督」
「連邦においてはメイスン提督、同盟ではランドール提督。この二人とも常勝の将軍と
して名を馳せており、奇抜な作戦を考え出して艦隊を勝利に導いているとのこと」
「そして異例のスピードで昇進して将軍にまで駆け上ってきた。もしかしたら……この
どちらかが、アレクサンダー皇子と言うこともありえます」
「ええ。何につけても『皇位継承の証』が出てくれば、すべて氷解するでしょう」
「そうですね……。とにもかくにも、今は身近にいるランドール提督のことを調べてみ
るつもりです」
「事が事だけに、慎重に行うことね。何せ、命の恩人なのですから」
「はい」

第三章 了


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