続・冗談ドラゴンクエスト 冒険の書・13
2020.11.05

続・冗談ドラゴンクエスト 冒険の書・13


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ドラドーラ


ナレ「亡くなった女勇者の葬式のため、数日間勇者の家に泊まった一行」
母親「みなさん、祖母の葬式に参列してもらって感謝します。祖母も安らかに天に召され
たでしょう」
ナタリー「いえいえ。気になさる必要はありません。袖振り合うも他生の縁といいますし、仲
間の親御さんの葬儀に参列するのも当然です」
母親「感謝致します。せめてもの……」
ナレ「と言って、数日分の携帯食料と幾らかの路銀を渡してくれたのだった」
ナタリー「さあ、出発するわよ。目指すはドラドーラ!」
コンラト「一旦ナダトームに戻って、そこから南下した砂漠の中にドラドーラはあります」
勇者「ドラドーラへの飛行船とかはないのか?」
リリア 「ないようですね。ナダトームから歩いていくしかありません」
ナタリー「ナダトームまでは、あたしの呪文のルーラで飛ぶわよ」
ナレ「ということで、ナダトームに到着し、徒歩でドラドーラへと出発した」
勇者「ふいー。ドラドーラはまだか?」
ナレ「砂漠地帯に入って、早速音を上げている勇者」
勇者「喉が渇いてカラカラだぞ"(-""-)"」
コンラト「もうすぐですよ」
勇者「もうすぐ、もうすぐって……何度目だよ」
ナタリー「だから、もうすぐだよ」
リリア 「あれは!(指さす)」
ナレ「そこには、大勢の魔物に取り囲まれているドラドーラが目の前にあった」
ナタリー「なんで魔物が取り付いているのよ。何かあるのかしら?」
勇者「ドラドーラには、オリハルコンがあったんだよな。俺のひいばばが探し当てて『王
者の剣』を作ったんだ。まさか、知らずにそれを探しているとかかな?」
ナタリー「それとも、あんたが来ることがバレていて、亡き者にしようと待ち伏せしていると
かもよ」
勇者「よせやい。そんなこと言うなら、帰るぞ!」
コンラト「このままでは、ドラドーラに入れませんね。夜を待ちましょう」
ナタリー「暗闇に紛れて潜入するのね」
勇者「しかし町の中に入れば、さすがに気が付かれるだろう」
リリア 「きえさり草を持ってます。これで一定時間姿を消すことができます」
勇者「おお!!さすが花売り娘だな。いいもん持ってるじゃないか」
リリア 「薬師ですよ」
ナレ「夜陰に紛れて、こっそりとドラドーラの入り口にたどり着いた」
コンラト「何とか気づかれずに来れましたね」
ナタリー「リリア、アレを出して」
リリア 「はい。消えさり草ですね」
ナレ「リリアが薬草袋から取り出した消えさり草を、みんなの頭から振りかけると、見る
間に一同の姿が消えていった」
コンラト「音を立てないように、静かに行きましょう」
勇者「いわゆる、抜き足差し足というやつだな」
リリア 「探し人は武具屋の【ゆきのん】さんですよね」
ナレ「魔物がうろつく町内を、武具屋を探して歩く」
ナタリー「武具屋の看板があったわ」
リリア 「だめです。完全に破壊されています」
勇者「その隣にも武具屋があるぜ」
コンラト「店内には誰もいません」
勇者「逃げたか、もしくは隠れているんじゃないか?」
リリア 「裏口から二階に上がれそうです」
コンラト「いました!ゆきのんさんですか?」
店主「あなた方は?」
ナタリー「ギルドから依頼を受けてきました。光の鎧のお届けに」
店主「お待ちしておりました。私がゆきのんです」
リリア 「しかし、魔物が襲う中逃げないのですか?」
ユキノン「天のお告げに従い、光の鎧が届けられるのを待っていたので、逃げられなかったの
です」
コンラト「では、鎧を持って逃げましょう!」
ユキノン「いいえ。その鎧は裏庭に埋めなければならないのです」
勇者「裏庭に埋める?」
ユキノン「それがお告げですから、従わなければなりません」
ナタリー「ですが……」
ナレ「言いかけた時、戸口の方でドアを蹴破る大きな音が聞こえた」
リリア 「魔物の襲撃です!」
ユキノン「私が囮になって時間を稼ぎます。裏口から逃げて、その光の鎧を樫の木の根元に埋
めてください。それが終わったら早く町を脱出して!」
リリア 「それでは、あなたが……」
ユキノン「これが私の役目、運命なんです。天のお告げがあった時から分かっていました。ギ
ルドの書類を」
ナタリー「あ、はい(書類を渡す)」
ユキノン「(書類に署名をして返す)さあ早く逃げてください」
コンラト「彼の言うとおりにしましょう」
ナレ「コンラッドに背中を押されて、武具屋を出る一行」
勇者「とにかく、早いとこ光の鎧を埋めちまおうぜ」
ナタリー「この樫の木がそうみたいね」
ナレ「一行は、急いで穴を掘り光の鎧を宝箱に入れて地中に埋めた」
勇者「うむ……。☆彡・〇▽★々◇……"(-""-)"……よし!」
ナタリー「な、何をしているの?」
勇者「ひいばばから教えられた封印の呪文を掛けたんだ」
リリア 「封印の呪文?」
勇者「魔物には絶対に触れず100年間は絶対に開かなくなる。そしてこれを開けられるの
は勇者の血を継いだものだけという呪文さ」
ナタリー「そんな呪文いつ覚えたのよ」
勇者「ひいばばと手を握った時があるだろ?あの時、精神感応っていうのかな、意識の中
に直接呪文が送り込まれてきたんだ」
コンラト「なるほど……すべては精霊ルビスさまの意思のまま、我々は動かされているようで
すね」
勇者「任務は終了した。さっさと退散しようぜ」
リリア 「ゆきのんさんは?」
勇者「気にかけている暇はないぜ。逃げていることを祈ろうぜ」
コンラト「見てください!魔物が宝箱に気付いたみたいですよ」
ナタリー「あれは【あくまのきし】だわ」
勇者「放っておこうぜ。どうせ奴らには何もできん」
ナレ「こうしてドラドーラの樫の木の根元に埋められた【ひかりのよろい】は、百年後の
未来に新たなる勇者によって発見されるまで、悪魔の騎士によって守られることとなった
のである」

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続・冗談ドラゴンクエスト 冒険の書・12
2020.11.04

続・冗談ドラゴンクエスト 冒険の書・12


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女勇者


勇者「ここが、俺のひいばば(曾祖母)の家だよ」
ナレ「アリアヘンの南西の隅に、その家はあった。こじんまりとした二階建て」
ナタリー「あら、意外と質素な家ね。大魔王ズーマを倒した英雄だから、国王から褒美を貰っ
て御殿にでも住んでるかと思ったわ」
勇者「確かに国王から褒美は貰ったみたいだけどね。新たに神竜討伐隊を結成したり、訓
練費用や武器防具費とやらに金掛けて、いつも金欠だったらしいよ」
ナタリー「神竜討伐?」
勇者「何でも竜王の女王神殿の奥深くに神竜が住んでいて、制限ターン以内に倒せば願い
を叶えて貰えるそうだよ。それで『ちちオルテカを いきかえしたい』ってな」
リリア 「いきかえしたい……って文章おかしくないですか?普通、いきかえらせたいでは?」
勇者「そういうゲーム設定になってたらしいよ。一行に表示できる文字数制限だとか。例
え1文字多くても表現できないんだ」
ナレ「ゲーム設定なんて言わないでください(*'へ'*)ぷんぷん」
勇者「ともかく中に入ろうぜ」
ナレ「と、勇者が一歩家の中に足を踏み入れた途端」
声 「あんしゃ、なんばしちょったかえ!かんどうさいったげんしょよ!!」
ナレ「大声が響き渡ったかと思うと、ドバーン!!と勇者が吹っ飛んで出て、すぐ近くの
木にぶち当たった。そしてドアを勢いよく閉められた」
リリア 「よく飛びましたね。今の声は、お母さまでしょうか?」
ナタリー「さすが、勇者の血筋だけあるわね。怪力無双じゃないの」
コンラト「しかし、どこの地方の方言なのでしょうね。なんとなくは理解できますが」
勇者「ちっ!誰も俺の身体の心配しないんだな」
ナタリー「あんたは、殺しても死なないでしょ」
リリア 「ともかく依頼を達成するには、お母さまを説得するしかないですね」
ナタリー「当たって砕けろよ。(インターホンを押す)ピンポーン」
声 「どちら様でしょうか?」
ナタリー「ギルドの依頼を受けて来たものですが」
声 「はい。今開けます」
ナレ「ドアが開いて、声の主が現れた」
母親「ギルドの依頼ですね?」
ナタリー「はい、そうです」
ナレ「パーティーの面々を確認してから」
母親「ところで、そこのロクデナシもパーティーの仲間?」
リリア 「はい、そうです」
ナレ「勇者を睨みつける母親。顔を逸らせる勇者」
母親「……まあ、いいわ。お入りください。どうぞ」
コンラト「標準語……(呟く)」
母親「あら、聞こえましたか?」
コンラト「ええ、大きな声でしたから」
母親「興奮すると、つい出ちゃうんですよ、方言('ω'*)アハ♪」
ナレ「リビング兼台所(LDK)に案内される一行」
母親「まあ、お座りください。お茶でも出しますわ」
ナレ「お茶を頂きながら、依頼の内容を確認する」
母親「依頼は、我が家の家宝である『光の鎧』をドラドーラの村にいる『ゆきのん』とい
う方に届けて頂きたいのです」
勇者「光の鎧!!」
ナレ「ビックリといった表情の一同」
コンラト「それは、大魔王ズーマを倒した女勇者さまが持っておられたものでは?」
母親「そうです。祖母が天のお告げを聞いたとかで、私の手で運べれば良いのですが、何
かと所用も多いので、ギルドに依頼したのです」
リリア 「その鎧を見せて頂けますか?」
母親「分かりました。祖母の部屋に置いてあります。祖母にも会っていただけますか?」
コンラト「参りましょう」
勇者「俺はここで待ってるよ」
母親「いんからきんしゃい!」
ナレ「勇者の耳を引っ張って、祖母の部屋へと連れてゆく」
コンラト「ナタリーさんと同じことやってますね」
ナタリー「聞かん坊に言うことを聞かせるには一番なのよ」
ナレ「大魔王ズーマを倒した女勇者の部屋に入る。年を数えること130歳のギネスブッ
ク並みのご高齢である」
祖母「ご飯の時間かのお」
母親「さっき食べたばかりでしょ」
勇者「認知症が進んだな。なんせ130歳だかんな」
祖母「ゆ、勇者かい?」
ナレ「祖母が勇者に気が付いた。ゆっくりと手を差し伸べる」
母親「手を握ってやんよ」
勇者「へいへい。(その手を握る)」
ナレ「その時、曾祖母の思念が勇者の意識に流れ込んできた」
祖母「待っておったぞ。来ると思っておった」
勇者「そうか……」
祖母「おまえが、ギルドの依頼うけたんじゃな」
勇者「そうだよ」
祖母「なら、心配することはないな。おまえは、オルテカ家の血筋じゃからな」
勇者「…………!!」
ナレ「無言の意思疎通が行われていた。他の人々には、二人の間の会話を知る由もない」

母親「かいつまんで言いますと。祖母の夢枕に亡き父親のオルテカが現れて、光の鎧をド
ラドーラの武器屋に渡してくれと頼まれたそうです」
勇者「オルテカというと、神竜を倒して『ちちオルテカを いきかえしたい』という願い
を叶えてもらった、あのオルテカかよ」
リリア 「勇者さんの高祖父ですね」
コンラト「オルテカ様と言いましたけど、実際は精霊ルビス様じゃないでしょうか。私たち
は、これまでにも天のお告げにまつわる依頼を受けてきました」
母親「そうかも知れませんね。高齢だし、身近な人物の声だと思ったのでしょう」
祖母「ゆ、勇者……。後の事……た、のんだよ」
ナレ「というと、静かに目を閉じた。波乱万丈の人生を送った女勇者の大往生であった」
医師「ご臨終です」
ナレ「一同目を閉じて、女勇者の冥福を祈るのだった」

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続・冗談ドラゴンクエスト 冒険の書・11
2020.11.03

続・冗談ドラゴンクエスト 冒険の書・11


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オルテカの娘の依頼


ギルト「そういうわけですので、この依頼は登録だけ済ませておけば、他の依頼を受けても
結構です。いつでも竜王に会って依頼を受ければいいのです」
コンラト「なるほど……」
ナタリー「一応登録しておきますわ」
ギルト「では、この書類に署名をどうぞ」
勇者「おうよ。ここにサインをっと( ..)φカキカキ」
ナタリー「あら珍しい。あんたが率先して登録するなんて」
勇者「何せ百万Gが掛かっているからな。成功すれば当分の間、遊んで暮らせるからな」
ナレ「四名の登録が完了した」
コンラト「とはいっても、魔王城に行くにはもっと経験値を稼いでレベルアップしなければな
りませんね」
リリア 「どれくらいのレベルでしょうか?」
コンラト「行って帰ってくるには、最低でもレベル45は必要です」
リリア 「全然足りませんね」
ナタリー「とにかく他の依頼をこなしてレベルアップにも励まなくちゃね」
勇者「それで、次の依頼はあるか?」
ギルト「そうですね。これなどいかがでしょうか……アリアヘンの町にいらっしゃる勇者と
いう方で、勇者オルテカの娘とか……あら、これ依頼主がそちらの方のお名前と同じです
ね」
勇者「アリアヘンの勇者?……ああ、それ。俺のひいばば(曾祖母)だよ」
ナタリー「う、うっそう!?じゃあ、あんた。あの勇者オルテカの娘、大魔王ズーマを倒した
あの勇者の曽孫なの?」
勇者「ああ、一応そういうことになっているらしい。んで、血筋というわけで勇者に祀り
上げられたってわけさ」
リリア 「なるほどですね。すべて納得しましたわ」
ナタリー「なんで今まで黙っていたのよ?」
勇者「誰も聞かなかったじゃないか」
コンラト「まさか勇者さんが勇者オルテカの子孫だなんて、誰も想像も出来ませんから」
リリア 「ですよね」
ナタリー「まあいいわ。その依頼受けます。あんたも実家に戻れるんだからいいよね」
勇者「他の依頼にしないか?」
ナタリー「なんでよ?」
勇者「実は、勘当されてな。帰れねえんだ」
リリア 「勘当された?」
勇者「二度と敷居を跨ぐことはゆるさんてね」
コンラト「ご両親を怒らせるようなことをしたのですか?」
勇者「決まってるじゃないか。俺は根っからの遊び人なんだよ。それなのに、やれ剣術や
武闘の稽古ばかりさせられるから」
リリア 「まあ、勇者の血筋というなら息子にも、期待を掛けて稽古事をやらせるのは理解で
きますね」
勇者「それで、道場の稽古料を全部遊びに使いまくってた。箪笥のヘソクリもクスねてた
からよ」
ナタリー「で、堪忍袋の緒を切らしちゃったわけね」
コンラト「ともかくですね。ギルドの依頼を受けて行くのですから、ご両親も一応無碍には
しないと思いますが」
リリア 「そうですね。ギルドの依頼なら断れないですよね」
ナタリー「とにかく、この依頼受けるわよ」
勇者「どうしても?」
ナタリー「どうしてもだよ」
ナレ「というわけで、アリアヘンへと向かうことになった一行だった」
リリア 「道案内は勇者さんにお任せですね」
ナタリー「あんたアリアヘン出身なんだから、当然ルーラの呪文なりキメラの翼で飛べるわよ
ね」
勇者「そうなのか?ルーラの呪文は使えないし、キメラの翼も使ったことないぞ」
コンラト「大丈夫ですよ。行ったことのある場所なら、どこにでも行けます」
ナタリー「キメラの翼を手に持って、行きたい場所の風景を思い浮かべながら念じるのよ」
勇者「こ、こうか?」
ナレ「ナタリーの指示したように、キメラの翼を手に持ち念じはじめる勇者。やがて勇者
の身体がふわりと舞い上がった。そして気が付いた時には、アリアハンの町はずれに立っ
ていたのである」
ナタリー「やったじゃない!成功よ」
勇者「や、やれば出来るもんだな(*^^)v」
リリア 「さあ、勇者さんのご実家に参りましょうか」
ナレ「こうして、依頼主のオルテカの娘、勇者の曾祖母との再会となるのである」

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続・冗談ドラゴンクエスト 冒険の書・10
2020.11.01

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ナダトーム城


リリア 「次はナダトーム城ですね」
コンラト「リマルダールからナダトーム城へ飛行船が運航しています」
ナレ「ということで、飛行船に乗ってナダトーム城へとやってきた」
コンラト「国王に謁見を願いましょう。城内を動き回るのですから、一応許諾を頂いておかな
いとね」
国王「おお!勇者!よくぞもどって来た!わしはとても、うれしいぞ。そなたが次のレベ
ルになるには……(以下略)レベルが上がったときにはわしに会いに来るようにな。では
また会おう勇者よ!」
勇者「ちょっと待て!!今のセリフ、もしかして、ゲームのドラクエ I じゃないのか?」
国王「おお、勇者よ! よくぞ無事で戻ってきた。わしはとても嬉しいぞ。そなたが次の
レベルになるには××ポイントの経験が必要じゃ。そなたに復活の呪文を教えよう!
『がぐつろぐ ぐめとねぼどぶ あくしたて ぶどぢ』
これを書き留めておくのだぞ。ではまた会おう! 勇者よ!」
勇者「こいつ、全然聞いてねえよ」
コンラト「仕方がありませんね。適当に探し回りましょう」
ナレ「城内をくまなく探し回り、城外地下室を見つけて降りると、一人の男がいた」
男 「なに?たいようのいし?そんな物は、ここにはないぞ。しかし、おかしなものじゃ
な。わしは、夢を見たのじゃ。この国に朝が来たとき、誰かがわしにその石をあずけに来
る夢をな……」
勇者「おうよ。その太陽の石を持ってきてやったぞ。その夢はお告げだよ」
男 「おお!あれは、まさしくまさ夢であったかっ!たいようのいし、たしかにあずかり
ましたぞ!」
ナタリー「あの……。この書類に受け取りの署名を頂けませんか?」
男 「ああ、いいとも。正夢ならば当然だろう」
コンラト「これで、二つの依頼完了ですね」

リリア 「ギルドへ報告に行きましょう」
ギルト「お疲れさまでした。報酬の700Gです」
ナレ「掲示板を見ていた勇者が尋ねる」
勇者「おい!この、報酬 1,000,000G という依頼はなんだ!武具屋のドラゴンバスター
剣が買えるじゃないか!!ブラフじゃないだろな?」
ギルト「いいえ。正式な依頼です」
勇者「ええい!!引き受けた!」
ナタリー「詳細も聞かないで引き受けていいの?」
勇者「おうよ。大金のためなら命を投げ出すぞ。ナタリーの借金も返せるしな」
コンラト「まずは内容を聞いてからにした方が……」
勇者「あん?ためらっているうちに、他の奴に取られちゃうだろが。依頼が出てるのはこ
こだけじゃないんだろ?」
ギルト「はい。インターネットで全世界のギルドに配信されていますから」
勇者「ほらみろ!早いもん勝ちなんだからな。その依頼受けるぞ。いいな!?」
ナタリー「依頼を一つ受けたら、それが達成するまで他の依頼は受けられないのよ」
ギルト「いえ。この依頼は、他の依頼と重複していても構いません」
リリア 「ええ!?どうしてですか?」
ギルト「実は100年来続く依頼なのですが、これまで誰一人達成なさる方がいないのです」
勇者「100年間も誰も達成していない!?」
ギルト「それは、この町ナダトームから見える魔王城に住む竜王からの依頼だからです」
勇者「竜王だとお!」
ギルト「はい。依頼の内容を確認するだけでも、魔王城の7階まで登らねばならず、その間
中魔物が襲い掛かるという……超難題です」
コンラト「魔王城というと、かつて大魔王ズーマが君臨していたという城ですよね」
ギルト「その通りです。今の城主は竜王となっています」
リリア 「依頼の内容は分からないのですか?」
ギルト「はい。竜王に直接会って、依頼を受けることになっています。そして依頼を達成し
た時に、竜王から報酬百万Gの約束手形が渡されるそうです」
勇者「約束手形?なんだよそれ?」
コンラト「手形をギルド銀行に持ってゆくと、額面の金額と交換してもらえるというものです
よ」
ナタリー「魔物なんかと戦っていて落としたり奪われたりするじゃない。手形は紙に書かれた
証文だから懐にでも入れておけるから便利よ。場合によっては再発行してもらえることも
可能だしね」
勇者「まったく分からんが……"(-""-)"」
ナタリー「とにかく約束手形はお金と一緒と覚えておきなさい!」
勇者「へいへい」

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続・冗談ドラゴンクエスト 冒険の書・9
2020.10.29

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聖なる祠


勇者「次の依頼はあるか?」
ギルト「これなどいかがでしょうか。聖なる祠にいる神官からの依頼ですが、ある物をとあ
る人物へ届ける仕事です。700Gになります」
勇者「また届け物かよ。依頼料安いんだよな。パス!」
ナタリー「それ、引き受けますわ」
勇者「あ、こら!」
ギルト「では、引き受け書に署名をお願いします」
ナタリー「はいはい。ほら、あんたもサインしなさい」
ナレ「いつものように耳を引っ張って書類に顔付けして、強引に署名させる」
ギルト「はい、承りました。聖なる祠は、リマルダールの南にある島の中にあります」
勇者「なんだよ。またリマルダールに行くのか?」
ギルト「大丈夫ですよ。明朝5時にマイレ東の港から、聖なる祠に行く巡礼の船が出ますか
ら乗せてもらうと良いでしょう」
コンラト「分かりました。乗せてもらうことにします」
ナタリー「ということで、今夜はここに泊まりましょう」
リリア 「露天風呂にも入ってみたいですね」

ナレ「翌朝、マイレ東の港から出発する巡礼船に乗り込む一行」
勇者「センサーにギルド証かざしてピッ!とな……あれ?センサーがないよ。どこ?」
ナタリー「必要ないわよ。これは巡礼船で、巡礼者と職務中のギルド員は無料だから」
リリア 「そうよ。商用船じゃないからセンサーも付いてませんわ」
勇者「そうなんだ……」
船頭「出港しますよ。揺れますから何かにお掴まりください」
ナレ「静かに港を離れる巡礼船。只今海原を航行中」
リリア 「わたし、森の中生まれの育ちなんで、船に乗るの初めてなんです」
勇者「俺も乗ったことがねえな」
ナタリー「そうでしょうね。あんた遊び人やってて、一度も外に出たことないって言ってたも
んね」
勇者「おお!羽が生えた魚が飛んでいるぞ!」
ナタリー「それはトビウオっていうのよ。飛んでいるんじゃなくて跳ねてるのよ」
勇者「あれは!?海の中に噴水があるぞ!」
コンラト「クジラですよ。呼吸のために水面付近に上がった時に、肺に溜まっていた古い空気
を吐き出すときに、一緒に周りの水をまき上げるのです。潮吹きとも呼ばれます」
勇者「なんか、でっかい奴が近づいてくるぞ。触れるかな?」
コンラト「いけません!手を引っ込めて!!」
勇者「な、なんだよ!?」
ナタリー「今のは、凶暴な人食い鮫よ」
勇者「人食いざめ"(-""-)"」
コンラト「質の悪い奴は、船に体当たりして海に落ちた人々を襲うこともあります」
勇者「ひええっ!ほんまかいな」
ナタリー「第一、そんなにはしゃいで、巡礼のみなさんに迷惑よ」
リリア 「その気持ち、わたしには分かりますけど……」
ナレ「そうこうするうちに、聖なる祠のある島に到着した」
船頭「船は1時間碇泊(ていはく)します。遅れないように戻ってきてください」
ナレ「ぞろぞろと下船する巡礼者たち。勇者達も一番最後に降りる」
勇者「さてと依頼主とやらに会うか」
ナレ「聖なる祠に入る」
神官「待っておったぞ」
勇者「おお、来てやったぞ」
ナタリー「こらこら、その言い草はないでしょ」
神官「お主たちに運んでもらいたいものは、この二つじゃ。【太陽の石】をナダトーム城
地下に隠居している長老に、そして【雨雲の杖】をマイレ西北に立っているラビスの塔に
いる賢者に渡して欲しいのだ」
勇者「2カ所も回るのかよ」
神官「それでは、くれぐれも失くしたり奪われたりしないようにな」

ナレ「再び巡礼船に乗ってマイレに戻った」
ナタリー「まずは、手近な所で西北にあるというラビスの塔にいる賢者に会うことね」
ナレ「神官の指示したマイレ西北に到達した」
勇者「これがラビスの塔か?」
ナレ「一行の目の前に広がっていたのは、無残にも崩れ去った塔の残骸ともいうべき有様
だった」
リリア 「なんか立札が立っています」
立札「この地にはラビスの塔が立っていました。しかし、勇者が大魔王ズーマを倒した後
に魔の残党が腹立ちまぎれに破壊していきました。管理人」
ナタリー「ですってよ。一応、管理人とやらに会う必要があるわね」
コンラト「あそこに祠がありますよ。管理人がいるかも知れません」
勇者「行ってみよう」
賢者「良くいらした。お待ちしておりましたよ」
ナタリー「待っていた?」
賢者「ラビスの精霊のお告げで、若者が雨雲の杖を携えてやってくるとありました」
勇者「荷物運びの依頼は、全部お告げによるものなのか?」
ナタリー「別にいいじゃない。お金さえ貰えればね」
リリア 「はい。これが雨雲の杖です、お渡しします」
賢者「ご苦労様でした」
ナタリー「では、この書類にご署名をお願いします」
コンラト「こんな寂れた村はずれの祠で何をなさっておられるのですか?」
賢者「私の家系は代々、精霊ラビス様をお守りしてきました。ラビス様が大魔王に捕らわ
れて石像にされてしまった時も、塔の城壁外に身を隠して勇者様の到来するのを、息を潜
めて待っていたといいます」
勇者「知っているぞ!」
老人「ようせいのふえをもっているならば、この塔の5階にいきなされ」
勇者「とか、言っていた奴だろ!」
*参照 冗談ドラクエⅢ ラビスの塔
賢者「ええ、まあ。たぶんそうだと思います」。この塔は島の中に立っていたのですが、
塔が崩れた影響でしょうか、陸続きになってしまいました」
コンラト「塔が崩れた今、ラビス様はどうなされたのですか?」
賢者「役目を終えたとのことで、天上界にお戻りになられました。ただ、次なる災いを予
言し、お告げとして地上の人々に指示を出しておられるようです」
勇者「そのお告げとやらに、俺は翻弄されているわけか」
ナタリー「さあ、次の依頼を遂行するわよ」

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