難病(特定疾患)と生活保護・社会保障を考える【携帯/モバイル版】

この場を借りて、難病(特定疾患)と生活保護などの社会保障制度について考えてみたいと思います。

バセドウ病

 甲状腺の病気である バセドウ病とは?

 バセドウ病は、体に大切な甲状腺ホルモンが異常に機能亢進する疾患です。
 甲状腺に刺激を与える抗体が体の中でできてしまうことによって起こり、自己免疫疾患、つまり自分の甲状腺臓器を自分の中のものとみなさず、異物と認識しまって攻撃しているような疾患です。


 バセドウ病とは?(つづき)
 バセドウ病の症状と治療・解消法
 バセドウ眼病 『眼球突出』ってナニ?
 バセドウ病の日常生活について
 バセドウ病の妊娠・出産


バセドウ病とは?

 バセドウ病は、体に大切な甲状腺ホルモンが異常に機能亢進する疾患です。

 甲状腺に刺激を与える抗体が体の中でできてしまうことによって起こり、自己免疫疾患、つまり自分の甲状腺臓器を自分の中のものとみなさず、異物と認識しまって攻撃しているような疾患です。

 そのため、甲状腺ホルモンが非常に多く出てきます。ホルモンは体のいろいろな部分で機能しているので、非常に多く出てしまうといろいろな弊害が出ます。

 抗体とは、本来細菌などの異物に対して作られて、体を守る役目を持っています。
 甲状腺は自分の体の一部ですから、甲状腺に対する抗体ができることは異常なことなんですね。

 このような自分の体に対する抗体を自己抗体と呼び、バセドウ病も自己抗体によって起こる病気です。

 なぜ甲状腺に対する自己抗体ができるかは、まだわかっていません。自己抗体で刺激された甲状腺は、必要以上の甲状腺ホルモンを作り、甲状腺機能亢進症という症状を生じます。

 亢進のために、甲状腺ホルモンが過多になり、そのため体重減少、食欲過多、多汗、動悸などの活動性更新になる疾患です。
 非常に疲れやすくなったり、また人によっては精神的な変化も起こることもあります。

 甲状腺は腫れて来て、眼球突出なども見られます。甲状腺、つまり首の前の方が腫脹してきます。

バセドウ病の症状と治療・解消法

 バセドウ病の症状とは、甲状腺機能亢進症状になり、甲状腺ホルモンが異常過多になります。 甲状腺ホルモンは、体の代謝を亢進させる働きがありますので、動悸・息切れ・指先のふるえ・暑がり・汗かき・疲れやすい・体重減少・微熱・イライラ・下痢・月経不順などの症状が起こり、非常に疲れやすくなったり、また人によっては精神的な変化も起こることもあります。
 まだ原因は分かっていませんが、『眼球突出』 目が出たり目の動きが悪くなるなどの症状が出ることもあります。

 バセドウ病の治療には、抗甲状腺剤内服薬、放射性ヨードを内服(アイソトープ)、手術の3つがあります。どの方法を選ぶかは、その方の症状、年齢、社会的状況等によって変わってきます。

【 抗甲状腺剤 内服薬 】
 抗甲状腺剤を服用します。内服治療なのでとても簡単、外来治療が可能です。
 しかし、副作用が考えられ、寛解まで2年以上かかります。内服をやめてしまった後の約50%の患者さんが、再び病気が活発化しています。

【 放射性ヨード 】
 内服治療なのでとても簡単で副作用がありません。薬よりも効果が早いです。いったん正常化したら、滅多に再発しません。
 しかし、可能な施設が限られていて、小児・妊婦・授乳中には使用できません。場合によっては入院が必要です。ただ、永続的機能低下症になることがあります。

【 手 術 】
 最も即効性があります。とにかく早く治したい場合はおすすめです。甲状腺のサイズが縮小します(大きいサイズの人が良い適応)。
 ただ、絶対的に入院が必要です。皮膚に手術跡が残り、手術に伴う合併症があり得ます。

 このように『3つの治療法』があると言うことは、どれも完全な治療法ではないと言うことを意味しています。薬の治療は簡単ですが、長くかかったり副作用が問題となったりします。放射性ヨードと手術も一回の治療で全員が治癒すると言うわけではなく、一部の患者さんに機能亢進症が残ってしまったり、逆に永続する機能低下症になったりします。ですから、患者さん自身がどんな治療を望んでいるのか、医師と相談しながら選択してください。

バセドウ眼病 『眼球突出』ってナニ?

【 原因がよくわかっていないバセドウ眼症 】
 甲状腺の病気と診断されると、目が飛び出すのではないかと心配される方がいらっしゃいます。甲状腺にはいくつかの病気がありますが、目にはっきりした異常が起こるのはバセドウ病の一部の患者さんです。バセドウ病に起こる目の異常を『バセドウ眼症』といいます。

 バセドウ病の症状は大きく分けて、甲状腺のはたらきが高まって、血液中の甲状腺ホルモンが過剰になることによるもの(これを甲状腺機能亢進症という)と、バセドウ病眼症の2つがあります。

 甲状腺機能亢進症は甲状腺を過剰に刺激する物質によって起こるということがわかりましたが、バセドウ眼症の方の原因はまだよくわかっていません。

【 治療法 】
 バセドウ病の治療薬を服用すると、甲状腺機能亢進症が良くなり、甲状腺機能が正常になると眼瞼後退は早晩良くなります。
 他の眼症はすぐに目立って良くなることはあまりありませんが、甲状腺機能亢進症を放っておくと、眼科での治療がうまくいきませんので、甲状腺の機能を正常にしておく治療は不可欠です。

 専門の眼科での治療は、まず、どの程度目が障害されているか、どういうタイプの障害なのかを調べなければなりません。そのためには、バセドウ眼症をよく知っている専門の眼科の医師による検査が必要です。バセドウ病と関係のない目の病気があることもありますから、そうしたこともよく調べたうえで、どのような眼科的治療が必要か決めます。
 大切なことは、治療したあと目の障害がどの程度良くなったかを正確に判断することです。これも専門の医師でないと困難です。いずれにしても、早い時期に適切な検査と治療を受ければ軽いうちに抑えることができます。

 バセドウ眼症を悪くするものは現在、はっきりしているのはタバコです。タバコを吸う人は吸わない人に比べて眼球突出の程度が強いとされていますので、タバコはやめた方がいいですね。これ以外のものはあまりわかっていません。

バセドウ病の日常生活について!

【 食べ物 】
 特別に注意する必要ありません。海草類(昆布など)をとってはいけないという説もありますが、はっきりした根拠はなく、ふつうにとってかまいません。ただし、アイソトープの検査や治療のために海草類を一時的に制限をすることはあります。

【 運動 】
 甲状腺機能亢進症が強いときには、心臓をはじめ全身に負担がかかっていますので普段より運動や生活を制限する必要があります。治療により病状が安定してくれば、通常の運動・生活が可能になります。

【 薬の飲み合わせ 】
 抗甲状腺剤と飲み合わせてはいけない薬はありません。風邪薬等をもらったときでも、抗甲状腺剤は通常通りの内服を続けてください。


バセドウ病の妊娠・出産

 甲状腺ホルモンが過剰の間は一般の妊婦さんより流・早産が多いので、妊娠をしないほうが安全です。薬の必要がなくなった場合や、薬を飲んで病状が安定している場合は、健康な人と変わりなく安全に妊娠・出産できます。

 出産直後に症状が急に強くなり、治療が難しくなることがあると言われますが、このようなことは、よほど治療が不十分で甲状腺ホルモンが著しく過剰のまま出産した場合に限られ、めったに起こるものではありません。
 妊娠が進むとバセドウ病は自然に軽くなることが多く、ふだんより早く薬を中止できることもあります。治療中であるなしにかかわらず、症状が落ち着いている限り、妊娠中か出産時にバセドウ病による問題が起こることはありません。

【 赤ちゃんへの影響 】
 生まれてすぐわかる奇形の頻度は、一般の人で1000人に8〜10人です。薬は奇形をおこすと考えられがちですが、バセドウ病の薬を飲んでいてもこの頻度と同じです。 お母さんに甲状腺ホルモンの過剰を起こしている物質は胎盤を通過するので、お腹の赤ちゃんの甲状腺にも影響することがありますが、これは遺伝ではなく、生後に残ることはありません。

 また、お母さんが薬を飲めば、自然に赤ちゃんにも効きます。薬の量が適切である限り、赤ちゃんの利益になっても、害にはなりません。バセドウ病の薬(抗甲状腺薬)には2種類ありますが、赤ちゃんの甲状腺への効果はどちらも同じです。 ただ、生まれたあとはお母さんから薬をもらえなくなりますので、赤ちゃんの甲状腺ホルモン濃度が高くなり、一時、治療が必要になることがあります。これは出産までにある程度予測できますので、事前に産科、小児科に知らせておけば、適切な対処ができます。

 授乳について、お母さんの症状がよほどひどくない限り、授乳を避ける必要はありません。しかし、服用する量を制限して混合栄養にしなければならない薬(メルカゾール)は、量が多い場合は授乳をやめたほうが無難です。なるべくミルクも飲める赤ちゃんにしておいた方がいいですね。

【 要注意 】
 出産後の1年は重要です産後は60〜70%の患者さんで再発や悪化があります。その中には、無痛性甲状腺炎という炎症が起こって、甲状腺に貯えられてあったホルモンが血液中にもれ出るものがあります。よく、バセドウ病の再発と間違えられますが、長くても3カ月ほどすれば自然に治まる性質のもので、バセドウ病の薬はかえって害になります。このように、産後の悪化には特別な注意が必要です。 不妊については、バセドウ病が直接、不妊の原因となることはありません。

【遺伝について】
 バセドウ病は遺伝することがあります。どういう子どもに遺伝しやすいかは今のところ調べる方法がありませんが、年齢が低いほど発病することはまれで、小学生まではめったに発病しません。


ページトップへ

メニューに戻る