33.特発性大腿骨頭壊死症
X線所見(股関節単純X 線の正面像及び側面像で判断する。Stage4(表2 参照)を除いて関節裂隙の狭小化がないこと,臼蓋には異常所見がないことを要する)
1. 骨頭圧潰あるいはcrescent sign(骨頭軟骨下骨折線像)
2. 骨頭内の帯状硬化像の形成
検査所見
3. 骨シンチグラム:骨頭のcold in hot 像
4. MRI:骨頭内帯状低信号域(T1 強調画像でのいずれかの断面で,骨髄組織の正常信号域を分界する像)
5. 骨生検標本での骨壊死像(連続した切片標本内に骨及び骨髄組織の壊死が存在し,健常域との界面に線維性組織や添加骨形成などの修復反応を認める像)
判 定:上記項目のうち,2 つ以上を満たせば確定診断とする。
除外診断:腫瘍及び腫瘍類似疾患,骨端異形成症は診断基準を満たすことがあるが,除外を要する。なお,外傷(大腿骨頸部骨折,外傷性股関節脱臼),大腿骨頭すべり症,骨盤部放射線照射,減圧症などに合併する大腿骨頭壊死,及び小児に発生するペルテス病は除外する。
表2:特発性大腿骨頭壊死症の壊死域局在による病型分類 | |
---|---|
Type A | :壊死域が臼蓋荷重面の内側1/3 未満にとどまるもの,または壊死域が非荷重部のみに存在するもの |
Type B | :壊死域が臼蓋荷重面の内側1/3 以上2/3 未満の範囲に存在するもの |
Type C | :壊死域が臼蓋荷重面の内側2/3 以上におよぶもの Type C-1:壊死域の外側端が臼蓋縁内にあるもの Type C-2:壊死域の外側端が臼蓋縁をこえるもの |
注1) | X 線/MRI の両方またはいずれかで判定する |
注2) | X 線は股関節正面像で判定する |
注3) | MRI はT1 強調像の冠状断骨頭中央撮像面で判定する |
注4) | 臼蓋荷重面の算定方法 臼蓋縁と涙痕下縁を結ぶ線の垂直2 等分線が臼蓋と交差した点から外側を臼蓋荷重面とする。 |
表2:特発性大腿骨頭壊死症の病期(Stage)分類 | |
---|---|
Stage 1: | X 線像の特異的異常所見はないが,MRI,骨シンチグラム,または病理組織像で特異的異常所見がある時期 |
Stage 2: | X 線像で帯状硬化像があるが,骨頭の圧潰(collapse)がない時期 |
Stage 3: | 骨頭の圧潰があるが,関節裂隙は保たれている時期(骨頭および臼蓋の軽度な骨棘形成はあってもよい) Stage 3A:圧潰が3mm 未満の時期 Stage 3B:圧潰が3mm 以上の時期 |
Stage 4: | 明らかな関節症性変化が出現する時期 |
注:1 | 骨頭の正面と側面の2 方向X 線像で評価する(正面像では骨頭圧潰が明らかでなくても側面像で圧潰が明らかであれば側面像所見を採用して病期を判定すること) |
注:2 | 側面像は股関節屈曲90 度・外転45 度・内外旋中間位で正面から撮影する(杉岡法) |