難病(特定疾患)と生活保護・社会保障を考える【携帯/モバイル版】

この場を借りて、難病(特定疾患)と生活保護などの社会保障制度について考えてみたいと思います。

ビュルガー病/認定基準(公費負担)

特定疾患情報診断・治療指針

14.ビュルガー病

 1 自覚症状

  @ 四肢の冷感,しびれ感,レイノー現象
  A 間欠性跛行
  B 指趾の安静時疼痛
  C 指趾の潰瘍,壊死(特発性脱疽)
  D 遊走性静脈炎(皮下静脈の発赤,硬結,疼痛など)

 2 理学所見
  @ 四肢,指趾の皮膚温の低下(サーモグラフィーによる皮膚温測定,近赤外線分光計による皮膚・組織酸素代謝の測定)
  A 末梢動脈拍動の減弱,消失
  B 足関節圧の低下(ドプラ血流計にて測定)

 3 血液生化学検査所見
   ビュルガー病に特徴的な検査所見はない。

 4 画像所見(血管造影)
  @ 四肢末梢主幹動脈の多発性分節的閉塞
  A 二次血栓の延長により慢性閉塞の像を示す
  B 虫喰い像,石灰沈着などの動脈硬化性変化は認めない
  C 閉塞は途絶状,先細り状閉塞となる
  D 側副血行路として,ブリッジ状あるいはコイル状側副血行路がみられる

 5 鑑別診断
  @ 閉塞性動脈硬化症
  A 外傷性動脈血栓症
  B 膝窩動脈補掟症候群
  C 膝窩動脈外膜嚢腫
  D SLE の閉塞性血管病変
  E 強皮症の閉塞性血管病変
  F 血管ベーチェット

 6 診断の判定
  (1) 喫煙歴を有し,上記の自覚症状・理学所見・画像所見を認める。
  (2) 動脈硬化症や糖尿病の合併は原則として認めない。
  (3) 女性例,非喫煙者,50 歳代以上の症例では,鑑別診断をより厳密に行う。
  (4) 上記の鑑別診断で該当疾患を否定する。
   以上の項目を満たす場合,ビュルガー病と判断する。確定診断には血管造影所見が重要である。

 表:ビュルガー病の重症度分類
1 度 患肢皮膚温の低下,しびれ,冷感,皮膚色調変化(蒼白,虚血性紅潮など)を呈する患者であるが,禁煙も含む日常のケア,又は薬物療法などで社会生活・日常生活に支障のないもの。
2 度 上記の症状と同時に間欠性跛行(主として足底筋群,足部,下腿筋)を有する患者で薬物療法などで,社会生活・日常生活上の障害が許容範囲内にあるもの。
3 度 指趾の色調変化(蒼白,チアノーゼ)と限局性の小潰瘍や壊死又は3 度以上の間欠性跛行を伴う患者。通常の保存的療法のみでは,社会生活に許容範囲を超える支障があり,外科療法の相対的適応となる。
4 度 指趾の潰瘍形成により疼痛(安静時疼痛)が強く,社会生活・日常生活に著しく支障をきたす。薬物療法は相対的適応となる。したがって入院加療を要することもある。
5 度 激しい安静時疼痛とともに,壊死,潰瘍が増悪し,入院加療にて強力な内科的,外科的治療を必要とするもの。
(入院加療:点滴,鎮痛,包帯交換,外科的処置など)


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