難病(特定疾患)と生活保護・社会保障を考える【携帯/モバイル版】

この場を借りて、難病(特定疾患)と生活保護などの社会保障制度について考えてみたいと思います。

有棘赤血球を伴う舞踏病/特定疾患情報

診断・治療指針

1. 有棘赤血球を伴う舞踏病とは
血液検査で赤血球の形態をみるとイガイガがある赤血球(有棘赤血球、アカントサイト)を認め、舞踏運動、精神症状、行動異常、時に認知症などの神経症状を伴う遺伝性の神経変性疾患です。これらの症状はいつのまにか始まり、緩徐ながら進行します。赤血球と脳病変との関連は不明な点が多いですが、これらがそろった病態が数種類の疾患で見られるため、何らかの関連があると推定されています。

神経症状の原因は、脳の特定の部分の萎縮に基づくと考えられております。このため,診断の根拠の一つとして、病気の状態を検査するためにMRIなどの画像検査をおこなうことがあります。有棘赤血球を伴う舞踏病も原因の遺伝子が明らかとなり、遺伝子診断により確実な診断が可能となってきました。

2. この病気の患者さんはどのくらいいるのですか
神経細胞が変性することによって症状が出てくる疾患を対象に研究を進めている神経変性班による大まかな調査では、全国に約100名程度の患者さんがいると推定されていますが、詳細はまだ不明です。

3. この病気はどのような人に多いのですか
男女差はほとんどありません。成人期に発症することが多く、20歳ぐらいで発症することの多い群、50歳ぐらいで発症する群などがあります。遺伝性疾患とされていますが、遺伝子変異をもっていても発症しないことがあるようで、家族内に同じ病気の患者さんがいない場合も少なくありません。発症しない理由についてはまだ不明で、今後さらに研究を進めていく予定です。

4. この病気の原因はわかっているのですか
病気の原因となる遺伝子は明らかとされていますが、いろいろな遺伝子変異が報告されており、遺伝子診断を行うのはかなり難しい状況にあります。しかし,平成21年度からさらに研究班が作られ、詳細な研究が進められていく予定ですので、遺伝子変異を持っていても病気にならない理由や、遺伝子そのものの働きなどが明らかとされるものと期待しています。

5. この病気は遺伝するのですか
遺伝しますが、遺伝子変異があっても必ずしも病気にならないこともあるようです。

6. この病気ではどのような症状がおきますか
・初発症状

口の周りにみられる不随意運動が多いようです。

・舞踏運動(コレア)

自分の意志とは無関係に生ずる顔面・四肢のすばやい動きのことです。 ハンチントン舞踏病よりも口のまわり、特に舌の不随意運動が目立つ傾向があり、口の周りや舌を噛んでしまい、変形してしまうことも侭みうけられます。手足の不随意運動としては、上肢では顔の周りをなでるような運動が多く、歩行の際には腰を折るような運動が加わることが多く見られます。病初期には「癖」の様に見え、落ち着きがなくなった。行儀が悪くなった、と感じることもあります。舌や口唇の不随意運動のため発音がはっきりせずコミュニケーション障害を起こしたり、嚥下障害を来たすこともあります。

・認知障害、行動異常

認知障害は比較的軽く、むしろある事柄にこだわりを持つというような強迫症状や固執性を示すことが多いようです。

7. この病気にはどのような治療法がありますか
残念ながら、現在のところ根本的な治療法はありません。不随意運動に対応した薬剤を使用することがあります。そのためには、神経内科専門医によるコントロールが必要です。

8. この病気はどういう経過をたどるのですか
発症年齢、臨床症状により色々で一概にはいうことはできません。同一家系内でも、症状がまちまちなこともあります。咬舌や咬唇などによる変形などや、強迫的言動により,社会生活が困難になることもありますが、それまでには一般には10年以上経過しているとされています。


情報提供者
研究班名 神経・筋疾患調査研究班(神経変性疾患)
情報提供日 平成21年4月1日


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