あっと! ヴィーナス!!(40)
ハーデース編 partー5 「もしかして、この合言葉を考えた奴も、その神夜映画劇場を見てるのか?」 「ありうるわね」 「するってえと、誘拐犯は神様ってことか?」 「今頃気付いたの?」 「前回が天上界だったから、地の底ということで、地獄の閻魔大王か?」 「それは、仏教やヒンズー教でしょ。私たちが誰だと思ってるのよ」 「ギリシャ・ローマ神話の神だろ?」 「その神話の中で冥界の王は誰?」 「知らんな」 「まったく、日本人にはマイナー過ぎて知らない人も多いけど……ハーデースよ。 ハーデスとも呼ぶわね」 「盲導犬とかを繋ぐ奴か?」 「それは、ハーネス!」  などと、ボケと突っ込みを繰り返しながらも、ダンジョンの攻略を進めてゆく。 「ダンジョンじゃねえだろ。ナレーションもドラクエに毒されたか?」  そうでした……。つい、釣られました……地下世界へ通ずる洞窟です。  さらに進むと、大きな扉の前に出た。 「また扉だな。合言葉を言ってみるか」 「開け!ゴマ!!」 「……」  反応はなかった。 「今度は別の合言葉かな?扉を開ける合言葉か……」  しばらく考え込む弘美。  そして深呼吸してから呪文のような言葉を出した。 「われ正しき心をもつ者なり。ちからひめたるやいばを。氷のふちよりときはなたん」  すると、静かに扉が開いた。 「なんなの?その呪文みたいなのは??」 「ドラクエ6の氷の洞窟にある封印された扉を開く合言葉(メラサム)だよ」 「なによ。あんたもドラクエじゃないの!」 「これで、お互い様じゃないか」  ともかくも、開いた扉の中へと慎重に突き進むのだった。  ドラクエよろしく出現する魔物を倒しながら、下へ下へと降りてゆく。 「一体どこまで降りるんだよ。なんかさっきから堂々巡りしているような気がする のだが……」 「それは、お前が人間だからだ」 「そうなのか?」 「うむ。ハーデースの悪戯だろう。間違いなく下降しながら進んでいる。いずれ地 下神殿にたどり着くだろう」 「おまえら、地下神殿とやらに行ったことがあるのか?」 「ない!(きっぱりと)」 「んなあんだとお!!それじゃ、どこへ向かって降りていっているかも分からない じゃないか!?」 「ちっちっちっ!神となれば神通力があるのだよ。地下神殿などすぐに分かる」 「なら、さっさと地下神殿とやらに向かえよ」 「そう慌てるでないぞ。敵は逃げはしないからな」 「逃げなくても、愛ちゃんがその間にもどうなるか分からないだろうが」 「あれ?ローマに来た時に言ったことと違うじゃないか」 「だからよ。地下通路で迷子になってりゃ、気も焦るさ」 「それはそうだが……」 「やっぱり迷子になってるのだろ?」 「そ、そんな事はない!!」 「じゃあ、瞬間移動でもやってみせろよ!」 「わ、わかった。やりゃいいんだろが」 「ああ、やってみせろ!」 「いくぞ!リレミト!!」  と呪文を唱えると……。  太陽降り注ぐ地上だった。 「な、なんだよ。地上に逆戻りしたじゃないか(*'へ'*)ぷんぷん」
     
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