あっと! ヴィーナス!!第二部

第二章 part-2  天空城の中にある神殿。  玉座に座り神子を侍らせて、酒をあおっているアポロがいる。  そこへ、愛を誘拐した黒服が入場する。 「ご命令のものをお連れしました」  と抱えていた愛を、慎重に床に降ろした。 「ご苦労だった。下がってよいぞ」 「ははっ」  静かに退場する黒服。 「ご尊顔を拝見するか……」  アポロが右手を前にかざすと、愛の身体が浮き上がって、アポロの方へ。  そしてふわりと、その膝の上に乗った。 「さて、どんな顔をしているかな」  愛の顎をしゃくりあげるようにして、その顔を眺めるアポロ。 「ほほう。なかなか可愛い顔立ちをしておるな。気に入ったぞ」  と、ほくそ笑んだその時。  神殿にテレポートしてきた者がいた。  ゼウスの妻のヘラだった。  アポロの膝の上の愛を見て、 「どうやら無事に成し遂げたようだね」  安堵の表情をしている。 「約束通り、わたしの女にするよ。いいね」 「好きにするが良い」  念のためにと近づいて、顔を確認するヘラ。 「違う!この子じゃない。人違いだ!」  驚いた表情のヘラ。 「どうして?写真の女の子だろ?」  例の写真と見比べている。 「その女の子の後ろにいるのが本物だよ」 「はん?後ろの女の子?」 「そうだ!」 「いい加減な写真を渡すなよ。後ろなら後ろとちゃんと言えよ」 「それは悪かった。とにかく、もう一度やってくれ」 「やってやらないことはないが……。この娘は頂いておく」 「勝手にしろ!」  というと、いずこへともなく消え去るヘラ。 「いい加減だから、ゼウスにも飽きられるんだよ」  アポロが呟いた途端、 「今、何か言ったか?」  忽然と、再び現れたヘラ。  聞き耳を立てていたのか? 「いや、何も。空耳だろう」  陰口に戸は立てられぬ、という諺どおりである。 「そうか……では、頼んだぞ」  念押しして再び消え去る。 「黒服を呼べ!」
     
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