銀河戦記/波動編 第四部 第三章 Ⅱ 謀反艦

第三章


Ⅱ 謀反艦


 赤色矮星プロキシマ・ケンタウリに近づく公国艦隊、それを迎え撃とうとする帝国艦隊とが向かい合っている。
 公国艦隊の旗艦戦艦デヴォンシャー艦橋。
「射程距離に入りました」
 電探手のグレゴリー・クロンプトン少佐が報告する。
「艦首魚雷発射準備!」
 アレックス公王が下令する。
「お待ちください!」
 通信士のデイヴィッド・シモンズ少佐が止めた。
「どうした?」
「敵艦から全周波通信が流れています」
「全周波? それを聞かせてくれ」
「了解」
 シモンズ通信士が端末を操作する。
『……繰り返す。太陽系及びバーナード星の友軍艦に伝える。全艦取り舵一杯全速、我に続け!』
 その通信を契機に、前方に対峙する艦隊の一部が一斉に取り舵で離脱し始めた。
「離脱する艦がいなくなるまで待つか。魚雷は装填しておけ」


 両艦隊の間をすり抜けようとする反乱艦隊を見送るアレックス公王。
 すり抜けが終わり、目の前には帝国艦隊の本隊が現れた。
「射程内です」
 と、クロンプトン電探手が確認した。
「魚雷発射!」
 公国艦隊から撃ち出された光子魚雷群が敵艦隊に襲い掛かる。
 次々と撃沈してゆく帝国艦隊。
 謀反艦が出たことで冷静さを失っていたようだ。
 反撃を始める帝国艦隊。
「謀反艦の動きに注意しておけ」
「分かりました。右翼のウォーズリー中将に当たらせましょう」
「それでよい」

 右翼に陣取る戦艦ロイヤル・サブリンの艦橋。
 マーティン・ウォーズリー中将が坐乗している。
「デヴォンシャーより入電。敵の謀反艦を監視するように」
 通信士のジュリアナ・ワイズ少佐が伝える。
「分かった。キャスリン、レーダーで謀反艦を監視してくれ。少しでも妙な動きを見せたら報告」
「分かりました」
 電探手のキャスリン・ウォード少佐が応える。
「ジュリアナ、発光信号で相手と連絡を取ってみてくれ」
「発光信号ですか?」
「そうだ。指向性の発光器でな。そしてレーザー通信に誘導してくれ」
「分かりました」
 通常の電磁波による通信は電波が広がって盗聴の危険がある、指向性のあるレーザー通信なら盗聴はできない。
 十分後、発光信号に相手が気づいてレーザー通信が始まった。
『艦長のジョージ・フェアクロフ大佐です。太陽系艦隊所属です』
 相手側が先に名乗った。
 つづいて、
「私は、マーティン・ウォーズリー中将です。ロイヤル・サブリン艦隊司令官です」
 ウォーズリー中将が名乗った。
『それで、どのような用事でしょうか?』
「単刀直入に申しましょう。その位置から帝国艦隊を攻撃してもらいたい」
『我々にですか?』
「そうです。さすれば公国艦隊に入隊できるように致しましょう」
『公国艦隊ですか……それも良いかもですね』
「やって頂けますか?」
『いいでしょう。おまかせください』

 レーザー通信を終えてから、フェアクロフ大佐が全艦放送を始めた。」
『太陽系人及びバーナード人に告げる。これより帝国艦隊に攻撃を加える。心配するな、我々のことは公国艦隊がお世話してくれるぞ! 階級や身分は保証される』
 その放送を期して謀反艦による帝国艦隊の攻撃が始まった。



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