銀河戦記/波動編 第四部 第二章 Ⅷ 敵は味方

第二章


Ⅷ 敵は味方


 旗艦デヴォンシャー艦橋内。
「敵艦隊の一部が謀反を起こして同士討ちを始めました」
 タスカー上級大将が報告した。
「こうなることを予測されていたのですか?」
「まあな。せっかく味方してくれているんだ、こちらからも行くぞ!」
 アレックス公王が下令すると、
「全艦、攻撃開始!」
 タスカー上級大将が攻撃命令を発令した。
 攻撃開始する公国艦隊だった。

 一方の帝国艦隊は、謀反艦が多数出たことで指揮系統の乱れが生じていた。
 前方の敵に対処しようにも、後方の味方から撃たれる。
 帝国艦隊の編成は、後方にトラピスト艦を配置していた。
 戦闘において武勲を上げるには前方に位置した方が良いに決まっている。ケンタウロス帝国出身の者にとって、トラピスト艦は頭数を揃えるだけの後方配置となっていた。
 まさかその編成が悲劇となるとは、誰も予想だにしなかった。
 前方の公国艦隊、後方のトラピスト艦との挟み撃ちとなって、総崩れ状態となっていた。
 次々と撃沈されてゆく帝国艦隊。

 八万隻あった艦隊は五万隻となり三万隻となって、もはや敗北は濃厚となっていた。
 アレックス公王は、その状況を見て言った。
「シモンズ、相手に降伏勧告を打電してくれ」
 通信士のデイヴィッド・シモンズ少佐に命令を出す。
「了解しました」
 指揮官にとって、戦いの最中に敗北が濃厚になった時に降伏を考えるが、部下の手前で踏ん切りがつかないこともある。
 降伏勧告は、そんな指揮官の心情を後押しする行為でもある。
 やがて旗艦から投降信号弾が打ち上げられ、機関停止して降伏の合図を送った。
「敵が降伏しました」
「よし。戦闘中止だ」
「全艦戦闘中止!」
 タスカー大将の復唱で戦闘が終了した。
「敵の司令官を、こちらに呼んでくれ」

 二時間後、旗艦戦艦デヴォンシャーに、敵司令官ニーダーハウゼン大将が訪れた。
 作戦会議室に招かれて入室すると、ゲラルト・フーバー大将以下の見慣れた将官達が居並んでいた。公国側の将官達とは差別されることなく、官位順に椅子に着席してニーダーハウゼン大将を迎え入れた。
 正面の席に、総司令官と思われる人物が威厳のある姿勢で、ニーダーハウゼン大将を迎えた。
「ケンタウロス帝国絶対防衛艦隊司令官トーマス・ニーダーハウゼン大将です」
 敬礼をして挨拶する司令官。
「お疲れ様です。私はアルデラーン公国アレクサンダー公王です。そうですね……単刀直入に言います。我が公国の配下に入りませんか?」
 アレックス公王が誘う。
「あなた様が公王? ですか……」
 答えに窮する司令官だった。
 敵同士として戦い、命を削り合った者として、突然仲間になれと言われても拒否反応が出るのは仕方のないことだろう。
「あなたの席は既に用意してあります」
 公王が指し示す所、ギーゼブレヒト大将の隣の席が空いていた。
「ギーゼブレヒト大将、あなたもですか?」
 問いかけるニーダーハウゼン大将。
「ああ、今のところ邪険にされたことはない。階級にしても対等に扱われている」
「そうでしたか……」
 しばらく空いた席を見つめていたが、一息呼吸を整えると、
「分かりました。陛下の下で働かせてください」
 とアレックス公王の配下になることを承諾した。
「ありがとうございます。では、空いた席にお座りください」
 公王が指し示す席に歩いてゆき座った。
「それでは、改めて作戦会議を始めます」

↓ 1日1回、クリックして頂ければ励みになります(*^^)v



ファンタジー・SF小説ランキング


コメント一覧
コメント投稿

名前

URL

メッセージ

- CafeLog -