銀河戦記/波動編 第二部 第五章 Ⅲ 同士討ち
第五章
Ⅲ 同士討ち
惑星アルデラーンの空に現れたアムレス号に向かってゆく戦闘機群。
五機V字型編隊の先頭、リーダーと思しき兵士が本部へ連絡する。
「こちらブルーリーダー。敵戦闘艦に遭遇せり、これより戦闘に入る」
『こちら本部。了解した、逐次戦況を報告せよ』
「ブルーリーダー了解」
本部との連絡を終えて、
「こちらブルーリーダー、全編隊へ! これより未知の戦艦への攻撃を敢行する。安全装置解除!」
編隊機への命令を下令した。
『こちらレッドリーダー、了解した』
『イエロー了解』
『グリーンも了解した』
次々と了解コールが返ってくる。
「ブルーリーダーより、全編隊へ。攻撃開始!」
号令とともに、一斉にアムレス号へと突撃を開始する編隊。
まずは遠距離攻撃用のミサイルが発射される。
そのミサイルを後追いするように接近してゆく戦闘機群。
場面変わって海上の艦艇群。
高射砲が空を仰ぎ、迫りくるアムレス号を狙っている。
しかし、敵艦の周りを動き回っている味方戦闘機群が邪魔で撃てないでいた。
「艦長! 味方戦闘機が邪魔で撃てません!」
砲術長が金切り声を出している。
「このままでは、内陸部に入り込んで手が出せなくなります」
副長も焦り気味に報告する」
「空軍とは連絡取れないのか?」
憤慨する艦長だった。
「駄目です。奴らは、独自の秘匿通信を使用しています」
通信士が答えた。
陸軍のミサイル発射基地も同様の状態だった。
上空を睨むミサイルだったが、射程距離は大気圏を少し出たところまでだ。そもそもが大陸間弾道ミサイルを改良したものだった。ゆえに、静止軌道上に展開する伯爵艦隊に打撃を与えることは不可能だった。
しかし、大気圏内に入ってきたら地対空ミサイルが使える。据付型、車両搭載型、そして高高度高射砲も戦闘態勢に入った。
「大気圏突破してきたのは一隻なのか?」
「例のロストシップのみです」
「旗艦ならやりがいがあるな。地対空ミサイルで応戦しよう」
「味方戦闘機が邪魔してますが?」
「構わん、緊急回避できないようじゃ、戦闘機乗りとは言えん」
「了解、地対空ミサイル発射用意!」
惑星アルデラーンには陸海空の三軍が存在するが、日頃から互いに連携して演習するような事はなかった。陸は陸、海は海、空は空とそれぞれ単独で行動していた。もちろん連絡網すらもなかった。
連携することもできず、それぞれが単独で戦い始めていた。
アムレス号に肉薄する戦闘機群だったが、激しい反撃にあっていた。
次々と撃墜されて、非常脱出装置で戦線離脱してゆく。
「駄目だ! 近づけない」
と次の瞬間、並走していた機体が木っ端微塵になった。
「なんだ?」
『ブルーリーダーへ。下から攻撃されています』
僚機から伝えられる。
「味方がいるのに、撃ってくるのかよ。ブルーリーダーより全編隊へ。散開しろ。地上からの攻撃に当たるなよ」
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