第一章
Ⅲ 惑星トゥーロン
公国艦隊旗艦デヴォンシャーの艦橋。
正面スクリーンにプラール中将が出ている。
「惑星グロベンラーデの治政を、惑星ケムニッツと同じように公国の支配下となるよ
うに尽力してくれ」
『自分がですか?』
「ドゥーゼ中将にやらせたんだ。君もやらなくてどうする?」
『分かりました。やってみます』
通信が切れた。
「ドゥーゼ中将は元々駐留艦隊ですが、プラール中将は遠征ですから、やりづらいで
しょうね」
タスカー大将が同情するように言った。
「軍事国家だしな。一般住民は施政者が誰であろうが同じだろうし、軍人は階級しだ
いだしな。そう難しいほどでもないだろ」
作戦会議室に集まった参謀達。
「次の目標はどちらへ?」
副官のアリスター・カークランド大佐が尋ねる。
「メルドルフラント恒星系の惑星トゥーロンだ」
「トゥーロン……ということは、遂に『レマゲンの橋』攻略ですね」
「そうだ」
銀河系渦状腕ペルセウス腕とオリオン腕の間に掛かる航行可能な宙域を『レマゲン
の橋』と呼ぶ。
軍事的要衝のために、橋の両端の近くにある惑星は軍事要塞化されている。トゥー
ロンはそんな惑星だった。
「しかし、我々が次々と帝国惑星を攻略しているのを知れば、守りをガッチリと固め
てきていると思いますよ」
「固められる前に攻略するまでだ」
「どうやって?」
「アルデランに残している五万隻をこちらに回す」
「本国の防衛は大丈夫なのでしょうか? ロベスピエール公爵が謀反を起こすことも
考えられますが……」
「大丈夫だろうよ。今の公爵に謀反を起こす気概はないし、仮にあったとしても百戦
錬磨の我が艦隊が舞い戻れば足が震えて逃げ出すだろう」
端末が鳴り出し、秘書官が出る。
「閣下、オルコット少将から連絡が入っております」
「スクリーンに出してくれ」
秘書官が端末を操作すると、オルコット少将が出る。
『オルコットです。生存者の救助終了しました。これより、そちらに向かいます』
「オルコット少将、例の奴の方の首尾の方はどうだ?」
『はい。ともかく修理すれば自力で動かせる艦が三千隻集まりました。動かせないけ
ど外見上それなりに見える艦が千五百隻で曳航すれば何とかOKです』
「ご苦労だった。何とかこっちまで運んでくれ」
『了解しました』
オルコット少将は、戦闘領域で生存者の救助活動を行う他に、漂流する艦艇の調査
も行っていたのだった。
通信を終えると早速カークランド大佐が尋ねてくる。
「ガラクタ集めてどうなさるおつもりですか?」
「使い方次第でガラクタも役に立つものさ」
意味深に笑みを浮かべる公王アレックスだった。
「惑星トゥーロン侵攻作戦を発動させる」
その一言で、侵攻作戦の準備が始まった。
侵攻ルートの策定から艦隊編成。
これまでの戦闘で損傷した艦艇の修理と乗員の補充。
そしてガラクタ戦艦の改造である。