銀河戦記/鳴動編 第二部 第十一章 帝国反乱 Ⅵ
2021.03.20

第十一章 帝国反乱




 事件の発端は、皇室議会だった。
 今後の方針について、議論を始めようとした時だった。
 突然、武装した兵士がなだれ込んできた。
「君たちはなんだ!」
 議員の一人が乱入者に向かって叫んだ。
「黙れ! これが見えないのか?」
 と、サブマシンガンを構える兵士。
「な、何をするつもりだ!」
 だがその答えは、マシンガン掃射であった。
 シャンデリアなどの調度品が片っ端から破壊されてゆく。
 議場内の人々には危害はなかったものの、問答無用という意思表示は伝わった。
「皇室議会は、本日をもって解散する。諸君らは拘禁させてもらう」
 次々と連行されてゆく議員たち。

 アルタミラ宮殿でも、ひと悶着が起きていた。
「これは、どうしたことですか?」
 玉座に座っていた摂政エリザベス第一皇女が、居並ぶ大臣たちに叱咤していた。
 ロベスピエール公爵が前に出て答える。
「どうやら、ジョージ王子を皇帝に擁立する一派が立ち上がったようですな」
 あくまで自分は知らぬ存ぜぬ、一切関わっていないという表情を見せる公爵だった。
 エリザベスも承知の上ではあるが、言葉には出せなかった。
 息子と弟とを両天秤に掛けても、どちらに傾くかは自分では図ることができない。
 もはや情勢にまかせるしかなかったのだった。

 突然、宮殿入り口が騒がしくなった。
 おびただしい軍靴の音が鳴り響いている。
 謁見の間へと姿を現した軍人たちがなだれ込んで来る。
 銃を構えて、大臣達を威嚇する。
 軍人たちをかき分けて、リーダーらしき人物が入ってくる。
「我々は、ジョージ親王殿下を皇太子として擁立するものだ!」
 大臣の一人が異議を訴える。
「何を言うか! 皇太子はすでにアレクサンダー王子が……」
 そこまで言ったところで、兵士に銃床で腹部を殴られて倒れる。
 さすがにエリザベス皇女の前では、発砲流血騒ぎは起こせないようだ。

 例えジョージ親王が帝位に就いたとしても、まだ幼くて政治を執ることは不可能であるから、摂政が立つことになる。


 後日に分かったことであるが、議員の中でも摂政派に属する者は解放されたという。
 これによって、摂政派による反乱ということが明らかとなった。

 反乱軍は、放送局、宇宙港などの公共機関、財務省などの政府機関を次々と掌握していった。

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2021.03.20 08:54 | 固定リンク | 第二部 | コメント (0)
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