お知らせです。 2018年7月29日(日)11:00〜15:00、会場:ツインメッセ静岡にて「刀剣乱舞オンリーイ ベント、【百刀繚乱〜君の心を白羽取り】開催予定 『刀剣乱舞-ONELINE』が、2018年9月29日から11月25日、京都国立博物館にて開催され る特別展【京のかたなー匠のわざと雅のこころ】とコラボレーション。同作に登場する 刀剣が20振り以上展示されるほか、限定のコラボチケット(1000セット)発売予定。  さて本文では、去年開催された京都文化博物館にて行われた「刀剣乱舞DAY」に間 に合わせようと筆を進めていたのですが間に合わず、今日の発表となりました。
陰陽退魔士・逢坂蘭子/蘇我入鹿の怨霊 其の壱
(壱)刀剣乱舞  大阪府立阿倍野女子高等学校。  1年3組の教室。  数人の女子生徒が集まって、とある話題に盛り上がっていた。  京都博物館で開催されている『刀剣乱舞DAY』についてである。  最近、若い女性達の間で流行っている、古代刀剣を擬人化したゲーム及びアニメであ る。  DMMゲームズとニトロプラスが共同開発したオンラインゲーム。  いわゆるイケメンな男子が登場する。  短刀・脇差・打刀・太刀・大太刀・槍・薙刀  七つの刀種にそれぞれイケメン男子が当てられている。  ちなみに打刀の一人?として、長曽弥虎徹があり、新撰組局長・近藤勇の所持剣とし て『今宵の虎徹は血に餓えている』という決め台詞で有名。そして蘭子の御守懐剣でも ある。  話題を持ち込んできたのは、『刀剣女子』を自称する金城聡子である。  刀剣女子とは、日本刀に愛着を持ち、全国各地の刀剣展覧会などを駆け巡る刀剣ファ ン(オタクともいう)のことである。  聡子が持ち込んだ雑誌のランキング表に一喜一憂するクラスメート。 「やっぱり私の『鶴丸国永』様が一番よ!」 「あーん『山姥切国広』様が準優勝なんて嘘よ!!」  先日非公式のランキング投票が行われた発表で持ちきりであった。 「ねえ、蘭子の一押しの刀剣は?」  聡子が話しかけてきた。 「あたし?」 「剣道部でしょ。好きな刀剣くらいはあるよね?」 「剣道部じゃないわよ。弓道部だからね」 「だって、剣道のインターハイに出てたじゃない」 「あれは、助っ人で出てただけよ」  聡子の言っていることは、以前に木刀に憑依した怨念が、次々と剣道部員を闇討ちし た事件において、陰陽師として解決するために、剣道の試合に出た時のことを指してい るらしい。 「で、何が好き?」  聞いちゃいない……。 「長曽弥虎徹よ」  執拗に尋ねるのに呆れてつい答えてしまう。 「長曽弥虎徹ね……あった、37位だわ」  その順位は後ろから数えた方が早い。 「あら、そう……」  興味なさそうに答える蘭子。  やがてチャイムが鳴って始業時間となり、各々の席へと解散するクラスメートだった。  JRと近鉄の「京都駅」から地下鉄で「烏丸御池駅」下車【5】番出口から三条通り を東へ3分。  京都文化博物館の建物の壁には「刀剣乱舞DAY」開催中!という垂れ幕が下がり、玄 関入り口には立看板が立っている。  京都文化博物館は、2・3階総合展示場で一般500円、大学生400円、高校生以 下は無料となっている。  ちなみに、2017年2月25日〜4月16日「刀剣乱舞DAY」の目玉である【短刀 銘 吉光 (号 五虎退)】の描き下ろしイラスト公開は年3月1日〜5日まで、先着500名にクリア ファイルの配布があった。  現在、2017年10月3日〜12月3日まで、4・3階展示室にてウッドワン美術館コレクシ ョンが開催されている入場料は、一般1300円、大高生900円、中小学生400円。  会場入り口付近には刀剣ファンである女子達が、開館時間前から数多く並んでいる。  やがて時間となり、お目当ての刀剣目指して足早に急ぐ。  そんな大勢の観客に混じって、金城聡子の姿もあった。  国宝や重要文化財に指定された貴重な刀剣を、ショーケース越しに眺めながら、熱心 にメモを取っている。  博物館内では、文化財保護のために、展示品やケースに触れないことの他、  ・写真撮影  ・鉛筆以外の筆記用具の使用  ・飲食・喫煙  ・携帯電話の使用  ・ペットを連れての入館  など、禁止されている項目がある。  これらの禁則は、重要文化財を展示している全国各地の博物館などで行われているの で注意が必要である。 「きみ……。刀剣に興味があるのかい?」  と、声を掛けてきた者がいた。  声をした方を振り向くと、優しそうに微笑む若者がいた。 「実は、僕も刀剣それも古代に伝わる伝説級とか妖剣とかいう類のものが興味があるん です」  刀剣の事に関しては、わざわざ大阪から京都にまで鑑賞するために来館した聡子であ る。  館内を廻りながら、それぞれの刀剣についての薀蓄(うんちく)を語る若者。  聡子は、この博学な若者とはすぐに打ち解けてしまった。 「それにしても、いにしえの刀剣って皆京都や奈良に集中していて残念です」 「何をおっしゃいますか。京都だけでなく、あなたのお住まいの大阪にも国宝の刀剣が あるじゃないですか」 「大阪に?」 「四天王寺に【七星剣】と【丙子椒林剣】という国宝剣がありますよ」 「知っています。でも、東京国立博物館に寄託されていて、模造品が飾られていますけ どね」 「ご存知でしたか」 「宝物展とかで重要文化財の仏像とか書物とかは頻繁に名宝展とか開催するけど、七星 剣とかは模造品だからか展示しないのよね」  やがて京都博物館を出た二人は、揃って京都観光を楽しむこととなった。  名所旧跡を巡りながら、会話も弾む二人が急速に懇意になるのは必然だった。  男のアパート自室。  ベッドの中で裸で寄り添い眠る聡子と男。  男がどうやって聡子を篭絡したかは分からないが、すでに深い関係に陥っていた。  女はすべてを捧げたいと思い、男は自分の物にしたという達成感に酔いしれる。 「実は聡子に頼みたいことがあるんだ」 「なあに」 「七星剣のことを話したよな」 「四天王寺の?」 「そうだよ。その七星剣を手に入れたいんだ」 「でも東京国立博物館に寄託されているんでしょう?」 「ああ、表の七星剣はね」 「表?」 「実は裏の七星剣があって四天王寺の地下に秘密裏に保管されているんだ」 「どういうこと?」  とある深夜、いわゆる丑三つ時。  四天王寺の人気の途絶えた境内を歩く聡子。  表情は虚ろで、何者かに操られているような風であった。  微かに怪しげな光を身に纏ってもいる。  向かった先は中心伽藍から東側へ離れた場所にある宝物館。  周囲をぐるぐると回りながら探っている様子。  やがて探り当てたかのように壁に手を当てる。  その時だった。  境内の照明がすべて消えた。  どうやら四天王寺全体の電源設備が、何者かによって操作され電源を遮断されたよう である。  なにやら呪文を唱えると、壁の一部に巧妙に封印され隠されていた扉が現れた。 「我に従い暗闇を開け!」  静かに開く扉。  庫内は真っ暗だが、見えているかのように確かな足取りを見せる聡子。  そして刀掛台に据えられた一振りの刀剣の前で立ち止まる。  刀剣から刀掛台に掛けて呪符が張られている。  おもむろに呪符を引き剥がすようにして刀剣を手に取る。  封印を解かれたさまざまな怨念が解放され、聡子に襲い掛かる。  しかし手にした刀剣を一振りすると怨念は消し去った。  そして何事もなかったように歩き出し宝物庫を後にして立ち去ってゆく。  四天王寺境内の外に停車している車がある。  刀剣を携えた聡子が近づく。  扉が開いて出迎えたのは、かの男だった。 「ご苦労様」  聡子は黙ったまま刀剣を手渡す。  受け取り確認する男。 「よし、本物だ」  刀剣が微かに震えていた。 「どうした、七星剣よ……そうか、血が欲しいか」  無言で立ち尽くす聡子に目をやる男。 「そうだな。儀式を始めようか」
   
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