冗談ドラゴンクエスト
冒険の書・19

メニューへ 勇者「ここはどこだ?」 ナレ1「先行した勇者の目の前には漆黒の闇が広がっていた」 ナレ1「勇者の目の前には漆黒の闇が広がっていた」 勇者「真っ暗だな」 ナレ1「一歩踏み出すと同時に、ふわっと出現したパーティー一行が覆いかぶさ る」 リリア「きゃっ!」 ナタリー「どうやら無事に着いたようね」 コンラッド「みなさん大丈夫ですか?」 リリア「あたしは大丈夫です」 ナタリー「平気よ」 勇者「大丈夫じゃねえ!いい加減にどけよ」 ナレ1「下敷きになってしまった勇者が怒りの声を出す」 ナタリー「あら、クッションかと思ったわ」 勇者「どけえ!(と上に乗っかる一行をはねのける」 コンラッド「これは失礼なことをした」 勇者「ったく、しようがねえなあ」 リリア「勇者さんの見識が正しかったようですね」 勇者「あたぼうよ。だてにゲームキングを名乗ってねえや。ドラクエは11まで全 コンプリートだぜえ(と指でVサインを示した)」 ナタリー「さすが自他ともに遊び人を自覚しているだけあるわね」 勇者「あたぼうよ」 ナレ1「おべっかを使っていることに気づかない勇者」 コンラッド「先に進みましょう」 勇者「そうは言っても辺り一面の闇だぜ。どっちへ行きゃいいんだよ」 コンラッド「大丈夫です。羅針盤が反応しています。指し示す方向へ行きましょ う」 勇者「本当に大丈夫なんだろうなあ」 リリア「信じるしかありません。他に行く道がないのですから」 ナレ1「闇に包まれた世界を、羅針盤を頼りに手探りで進む一行。やがて行く先に 光明が見えてきた」 リリア「光が見えます!」 ナタリー「ほんとだ。急ぎましょう」 コンラッド「足元に注意してください」 ナレ1「一行が暗闇を抜け出た先に待っていたのは……広々とした平原に断崖絶壁 に囲まれた空間であった」 勇者「なんだよ、あの洞窟を抜け出た光景とまったく同じじゃないか」 ナタリー「元に戻ってしまったの?」 リリア「まさか、また幻惑視なんでしょうか?」 ナタリー「いえ、幻惑視じゃないわ。でも前とは雰囲気が違うような……」 コンラッド「見てください!あそこです(指さす)祠のようなものが見えます」 リリア「あ!ほんとうだ、行ってみましょう」 ナタリー「トラップとかに気をつけながらね」 ナレ1「やがて祠の前に到着する一行」 勇者「ごめんくださーい!最高導師様はいますかあ!!」 ナタリー「何言ってんの?」 勇者「決まってるじゃないか。他家を訪問したら挨拶するのが礼儀だろ」 ナタリー「そんな場面じゃないでしょ」 ナレ1「その時、扉が軋めき音を立てて自然に開いた」 勇者「おお、自動ドアか進んでいるな。見ろよ、ちゃんと挨拶したからだ」 リリア「一応、歓迎していると考えてよろしいのでしょうか?」 ナタリー「拒絶はしていないということね」 コンラッド「ともかく入ってみましょう」 ナレ1「一行が中に入ると、ひとりでにドアが閉まり、真っ暗闇に包まれた」 リリア「閉じ込められた?」 ナタリー「やはり罠だったのかしら」 勇者「このまま進んだら、ただ広い原野に戻されるんじゃないか。堂々巡りでさ」 リリア「今回は正解のような気がします」 ナタリー「そうね。クアール様もそうそう酷いことしないでしょう」 勇者「おまえ、その言葉前にも言っただろうが。冒険の書18でよ」 ナタリー「何の事かしら(とぼける)」 ナレ1「前方に光が見えた」 勇者「そらきた光の先は原野だぜ」 ナタリー「行ってみなけりゃ分からないでしょ」 リリア「そうですよ。行ってみましょう」 ナレ1「慎重に歩み進むと、突然眩いばかりの光に包まれた」 ナタリー「まぶしい!」 ナレ1「やがて光に慣れてくると、目の前に大広間が現れた」 勇者「ここはどこだ?」 コンラッド「まるで大聖堂のようですね」 リリア「あ、誰かいるわ!」 ナレ1「バシリカ型3廊式と思われる大聖堂の身廊を突き進んだ先の主祭壇(Alta re)に誰かが立っていた」 コンラッド「クアール最高導師様!!」 リリア「ええ!あの方がクアール最高導師様なんですか?」 ナレ1「一行の中で最高導師の素顔を見知っているのはコンラッドだけだった」 勇者「へえ、あいつが最高導師とやらか」 リリア「失礼ですよ」 ナレ1「さらに歩み寄って、最高導師の御前にひれ伏す一行だった(勇者は除 く)」 ナタリー「こら!頭が高い!!(と強引にひれ伏せさせる)」 勇者「痛い、痛い、痛いぞ」 最高導師「よくぞ参った。待っておったぞ」 コンラッド「私どもが参るのをご存知だったのですね?」 最高導師「君達のこれまでの道のりを考えれば分かるだろう」 コンラッド「やはり試練を与えてられてたのですね」 最高導師「いかにも、そなたらの願いも重々承知しておる」 リリア「では、わたし……いえ私たちの願いもご存知なのですね」 最高導師「皆の者、着いてまいれ(と燭台を手にする)」 ナレ1「主祭壇の傍に地下に通ずる階段が現れた」 ナタリー「大聖堂祭壇にある地下って納骨堂とかがあるのよね(リリアに耳打ちす る)」 リリア「ええ、普通はそうなっていますね」 ナレ1「リリアも怖いという意識はあるものの、元の身体に戻れるという一念が勇 気を出させていた」 ナレ2「燭台を持つ最高導師の後について、コツコツと足音の響く階段を下りる一 行」 ナレ1「一行が降り立った地下室は薄暗く、その狭い通路を進んだ先に開けた空間 があった」 ナレ2「おそらく祭礼用の部屋なのだろう。二つの四角い台が置かれていた」 リリア「棺が二つ?」 ナタリー「違うみたいね。あたしも一瞬棺に見えましたけど、供物とかを捧げるた めの台のようです」 ナレ1「一段高くなっている祭壇から一向に向かって話す最高導師」 最高導師「さて、魂の入れ替えを望むものは前へ」 リリア「はい!(と前に進み出る)」 最高導師「もう一人は誰か?」 ナタリー「ほれ、あんただろ。前に出なさい」 勇者「俺は別にこのままでもいいんだが」 ナタリー「何言ってるのよ、元に戻りたくないの?」 勇者「俺は遊び人だぜ。男だろうが女だろうが、どっちもどっち。変わり映えもし ねえしよ」 リリア「勇者さんはそうでしょうけど、あたしは戻りたいんです!」 ナタリー「そうよ。あんたはともかく、リリアさんの身にもなってよ」 勇者「俺の身は?」 ナタリー「あんたの身はどうでもいいのよ」 勇者「さて、帰るとしよう」 ナタリー「こら!スリープ!!(睡眠の魔法をかける)」 ナレ1「その場に崩れる勇者」 ナタリー「勇者には悪いけど、リリアの願いの方が切実だもんね」 最高導師「さて、お二方は台の上に横になってください」 リリア「わかりました。(と台の上に乗る)」 コンラッド「勇者さんは、わたしが乗せましょう(と倒れている勇者を抱きかかえ て台に乗せた)」 ナレ1「二つの台の上に横たわる二人を見つめる最高導師」 最高導師「それでは始めるとしよう。他の者は少し下がっていてくれたまえ」 ナレ1「部屋の入口付近まで下がる残りの二人」 最高導師「…………(意味不明な祈りを捧げる)」 ナレ1「やがて、台の上の二人の身体が輝きだし、ふわふわと白い物が抜け出して きた」 ナタリー「あれが魂……ですかね?」 コンラッド「そのようです」 ナレ1「浮かび上がった二人の魂は、部屋の中を乱舞しはじめた」 ナレ2「最高導師の祈りは続いている。やがて魂の動きが静かになり、台上の二人 の真上で止まった」 最高導師「褐っ!(目を見開き魂に向かって気を入れる)」 ナレ1「すると静かに魂はそれぞれの肉体へと戻っていった」 ナレ2「地下室の空間に静寂が包み込む」 ナタリー「成功したのでしょうか?」 コンラッド「すぐに分かりますよ」 最高導師「終わりましたよ。そこの二人は診てやってくれたまえ」 リリア「分かりました(心配そうに傍に寄る)」 コンラッド「生きていますが、魂は無事でしょうか?」 ナレ1「やがて勇者だった女性の方が先に眼を覚ます」 リリア「わたしは……(身体を確認する)」 ナタリー「どう?あなたは誰?」 リリア「リリアです」 ナタリー「リリアなのね?」 リリア「はい、リリアです。わたしは女の子ですか?」 ナタリー「そうよ、成功したのよ。おめでとう!(抱きつく)」 コンラッド「となるとあっちの方は?(男性の方を見つめる)」 ナレ1「むっくりと起き上がる元リリアだった男性」 勇者「ここはどこ?わたしはだーれ?」 ナタリー「ぼけかますな、こら!」 勇者「おお、愛しのナタリーじゃないか」 ナタリー「どうやら元に戻ったようね」 コンラッド「最高導師様、よろしいですか?」 最高導師「何かね?」 コンラッド「最高導師様は、どうして我々の望みを叶えて下さったのですか?」 最高導師「まあ、気まぐれじゃよ」 コンラッド「気まぐれですか?」 最高導師「私が出した試練を乗り越えてやってきたのだ、それ相応の報酬というと ころだな」 リリア「ありがとうございます、最高導師様(深々と膝を折って感謝する)」 最高導師「皆の者ご苦労であった。フェリス王国へ戻して上げよう」 ナレ1「両手を高々と上げ、祈りの言葉を唱えると、一行の身体が輝きだした」 ナレ2「と、次の瞬間。一行はフェリス王城へと舞い戻っていたのであった」 コンラッド「ここは、フェリス王城です」 リリア「ほんとうに、戻ってきたのですね」 ナタリー「さすがは最高導師様です」 勇者「あんだけ苦労して、ここからムース滝までの道のりは一体なんだったのだ」 ナタリー「終わり良ければ総て良し、じゃない?」 コンラッド「リリアさんの願いも叶ったことだし、皆さんこれからどうされます か?」 ナタリー「そうねえ……あたしは元の町に戻るわ」 勇者「売春婦に戻るのか?」 ナタリー「うるさいわね。かねてから誘いがあった魔導学校の指導教官になるわ」 リリア「あたしは、花売りに戻ります。魔獣には気を付けます」 勇者「俺は遊び人だ。とりあえずこの城下町で女を漁ることする」 コンラッド「そうですか……名残惜しいですけど。パーティーを解散しましょう」 リリア「コンラッドさんは、どうされるのですか?」 コンラッド「王国騎士団に戻ります」 ナタリー「そういえば、騎士団長でしたね」 リリア「みなさん、あたしのためにありがとうございました」 ナタリー「人生山あり谷ありよ。気にしないでいいわ」 コンラッド「それではみなさん、帰りの道中も気を付けて」 ナレ1「というわけで、解散してそれぞれの帰路に着いたのであった」 了 冗談ドラゴンクエストIIへ続く……かも知れない

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