冗談ドラゴンクエストV 冒険の書・22

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悲しみの村テドン ナレ「ポルトガを再出発してすぐ、海峡の南に祠を発見する」 勇者「おや?今まで気がつかなかったが、ジブラルタル海峡の南の岬に、何やらあるじゃ ないか?」 ナタリー「あら、今更気がついたの?」 コンラト「そうですね。大航海時代は、アメリカ大陸発見だ!とかなんとか言ってポーズまで とって、さっさと西に向かいましたからね」 勇者「どうでもいいじゃんか。ともかく上陸して調べてみようぜ」 ナレ「ちなみに大昔には、ジブラルタルの両端は陸続きで、地中海は内海にして塩湖でし た。やがて533万年前に一帯が海に沈んで現在のごとくとなりました」 勇者「祠かと思ったが、灯台だったな」 ナレ「あ、説明を聞いてないでしょ!」 勇者「(´・ω・`)知らんがな」 防人「この灯台に来たのは、正解だったぜ。海の男のオレさまが世界のことをおしえてや る!ここから南、りくにそって船をこげば、やがてテドンの岬をまわるだろう。そして、 テドンの岬から、ずっと東へゆけばランシール。さらにアリアハン大陸が見えるだろう。 アリアハン大陸からずっと北へ船でゆくと、黄金の国ジパング」 勇者「話が長い!字数制限があるんだから、もっと短く簡潔に言え!!」 ナタリー「あんたこそ、話の腰を折らないでね」 防人「で、世界のどっかにある6つのオーブをあつめた者は、船を必要としなくなるって 話だ。とにかく、南へいってみな。おっと、それから今のオレの言葉をよおく心にきざみ こんでおけよ」 勇者「なるほど、よおく分かったぞ」 リリア 「何が分かったんですか?」 勇者「要するに、船を手に入れたらまず最初にここへ寄るべきだった、ということ。航海 後に立たずだ」 ナタリー「後悔先に立たずでしょうが!」 勇者「そうとも言うな」 ナタリー「何がそうとも言うなよ(*'へ'*)ぷんぷん」 勇者「ところで、1階の階段脇に最後の鍵の掛かった扉があったな。どこに通じているの かな?」 コンラト「行ってみれば分かりますよ」 ナレ「ということで、扉を開けて旅の扉に飛び込むと……さらに最後の扉があって、開け て出てみると森の中」 勇者「おや?見たことあるような場所だな」 ナレ「外に出てみると、アリアハンのレーベの村の南にある、いざないの洞くつへの近道 であった」 勇者「そうか、あの時は見向きもしなかったが…ここに居てもしょうがないから戻ろう」 リリア 「あの時は、最後の鍵を持ってませんでしたからね」 ナレ「灯台を出発してさらに大陸沿いに南下する。途中に祠を発見する」 修女「ここは、まよえる船人たちがたちよる小さな教会。昔はテドンの村人たちも、よく 来ていました。でも、今は……」 勇者「テドンの村か……」 リリア 「後ろに旅の扉がありますけど、その先はどうなっているのでしょうか?」 コンラト「テドンの村でしょうか?」 勇者「行ってみれば分かるぞ。旅の扉に飛び込め!」 ナレ「旅の扉に飛び込んだ先、最後の鍵で開けた所は、どこかの宿屋のようであった」 宿人「われは、日いづる国より来たもの。国では『やまたのおろち』なる怪物がおりもう して、みなこまっていまする」 勇者「やまたのおろちか……やはり巡る順番を間違えたようだな」 ナタリー「外に通じているわね。ちょっと出てみましょうか」 ナレ「宿屋を出たところは……」 勇者「うむ、ここは、朝鮮半島だな」 ナタリー「はい。ここを読んでいる方のために、解説しなさい」 勇者「ええと……。ここは中国大陸の出っ張りにあって、朝鮮人が『東海』などと抜かす 日本海を挟んで、東にあるのがジパングだ。先の宿人が言っていた、日いづる国というこ とだ」 リリア 「ご苦労様でした。よく分かりましたよね?」 勇者「おちょくってるのか?」 コンラト「とんでもない。勇者さんの博識に感動しているだけです」 勇者「そうは思わんが……まいいや。元に戻るのもアレだから、地図の色塗りのために、 ちょっくら西に向かってみるか」 ナレ「というわけで、ジパングを後ろ見に、西へと進む」 勇者「なあ、今進んでいるのは中国大陸だよな?」 リリア 「そうだと思います」 勇者「大航海時代の中国と言えば、明から清というところだろ?」 コンラト「時代的に、そうなりますね」 勇者「北京はどこだ?紫禁城はないのか?」 ナタリー「町や村はないし、長江も黄河もないわよ。ただ平原が広がっているだけで、砂漠す らないわよ」 勇者「つまらんなあ……。楼蘭もロプノールもないとは。せめてBGMは、喜多朗のシル クロードテーマ曲『絲綢之路』にしてくれよ」 ナレ「西へ西へと、魔物退治しながら進んでいくと」 ナタリー「なんか、どこかで見たような場所に来たようだわ」 コンラト「神殿が見えてきました。あれは?」 勇者「なんだ、ダーマの神殿じゃないか。もうこんな場所にたどり着くとは、中国大陸 というには恥ずかしい限りだな。中国とインドシナ半島を合わせて、ギュッと凝縮させた みたいだな。中国共産党がこのMAPを見たら、日本大使を呼びつけて激しく抗議をする ぞ」 ナタリー「現世界ならね」 勇者「ダーマの神殿そばを流れる川は、さしずめメコン川か」 リリア 「ダーマの宿屋で休息しましょうか?一人2G、安いものね」 勇者「そうだな。休んで冒険の書に記録してもらって、もう一度さっきの祠からさらに南 下してみよう」 ナレ「それからポルトガから再出発して、アフリカ沿岸を南下し、前回の祠を横に見なが ら、さらに南下する」 勇者「ちょっと待て!ここら辺りの陸地が色塗りされていないじゃないか。未踏破という ことは、何かあるかも知れないな」 コンラト「そうですね。あ、川が流れていますよ。ここを遡ればいいんじゃないですか?」 勇者「スーの村もそうだったよな。よし、川を遡上しようぜ」 ナレ「大西洋から川を遡って陸地の奥へと向かう」 勇者「な、なんだよ。やけに魔物の出現率が半端ないぞ。しかも強敵揃いだし」 リリア 「それだけ重要なものがあると思われますね」 ナレ「仲間を呼んだり、死んだ仲間を復活させるというシャーマンに苦戦しながらも、な んとか村が見えてきた」 リリア 「夜になりましたね」 勇者「ああ、夜になれば魔物の出現率もレベルも上がるから、さっさと村に入ろう」 村人「ようこそ、テドンの村へ」 兵士「テドンの岬を東にまわり、陸ぞいにさらに川を上ると、ひだりてに火山がみえるだ ろう。その火山こそがネクロゴンドへのカギ。しかし、よほどの強者でもないかぎり火口 には、近づかぬほうが身のためだろう」 リリア 「ネクロゴンド、メモしておきますね( ..)φカキカキ」 勇者「なんだよ、夜だというのに、ここの連中はやけにピンピンしているじゃないか。眠 くならないのかな?」 コンラト「アッサラームも夜の町でしたよ」 リリア 「それにしても、なんかあちこち建物が崩れていますね。毒沼もあります」 コンラト「おそらく魔物に襲われたのでしょう。例のギアガの大穴の近くのようですし」 勇者「しかし、ここまでの道のり強敵だらけで疲れたよ」 リリア 「宿屋がありますから、休憩しますか?」 勇者「そうだな……。ここはルーラで来れるリストにないしな。また来なければならなく ならないように、宿屋で休息を取りながら徹底的に調査しよう」 宿屋「ひと晩、4ゴールドですがお泊りになりますか?」 勇者「や、安いな。泊まろうぜ。情報集めは翌朝からにしよう」 宿屋「それでは、ごゆっくりおやすみください」 ナレ「一行が目ざめた時、村の様子が一変していた。村人が誰一人いなくなっていたのだ」 勇者「な、なんだよ一体!?」 リリア 「これはまるで……一晩で無人の廃墟になった?」 コンラト「ゆめ……をみているのでしょうか?」 勇者「と、とにかく情報集め……はできないから。何かないか探索しよう」 ナレ「宿屋を出て探索を開始する」 ナタリー「とはいっても誰一人いないから」 勇者「毒沼の先に階段があるな、行ってみよう。あ、沼の中に小さなメダル見っけ(*^^)v」 ナレ「地下に降りた所には、棺桶が二つ並んでいた」 リリア 「ゾンビとか入っていないですよね(;'∀')」 ナレ「勇者は、そっとカンオケのなかをのぞいてみた……死んでいるような…生きている ような…しかし、やはりただのしかばねのようだ…」 勇者「あれ、棺桶のそばに、いのちのきのみ、が落ちてたぞ。なんか、侘しく感じるな。 これを使えば、この人も少しは長生きできたのかもな」 コンラト「ここは、牢屋みたいですね。中には亡骸が……」 勇者「いわゆる獄死というやつか。牢屋に入れられているということは、何らかの重要な 情報を持っていそうなのだが。死んでいては、聞くにも聞けないな」 ナレ「武具屋の看板のある店には誰もいない。二階に上がると」 リリア 「ベッドに誰かが……」 ナレ「返事がない。ただのしかばねのようだ……」 リリア 「成仏してください(手を合わせる)」 勇者「くろずきん、やみのランプがあったぞ!」 ナタリー「あんたは、何があっても家探し優先なのね」 勇者「それが俺の生きがいだからな。で、くろずきんは防具だろうけど、やみのランプは 何に使うのか?」 コンラト「試しに、使ってみたらいかがですか?」 勇者「使ったらどうなる?擦ったりすれば、ランプの精が現れて、三つの願いをかなえて くれるのか?」 ナタリー「それは、アラジンと魔法のランプでしょが!」 勇者「その三つのお願いってどんなか知っているか?」 リリア 「知ってますよ。1つ目が王子さまになること」 コンラト「2つ目は海に溺れたアラジンを助けること」 ナタリー「最後は、ランプの奴隷となっていた、ジーニーの解放でしょ。そして念願だった人 間になるのよね」 勇者「願い事については、人を殺さない、人を生き返らせない、人の心を操ってはいけな いという原則があるのを知っているか?」 ナタリー「あら、そうなの?」 勇者「アラジンという物語は、『心を解放することで何でも願いは叶う。ただし願いは愛 に関係すること』という愛の道理を訴える物語だそうだよ。愛ある道理にかなったことを 心から信じて願えば、願いは何でも叶うということを、アラジンの物語は伝えている」 リリア 「でも、1つ目の願いの王子さまになるって、愛ある道理にかなっていないと思いま すけど」 勇者「そりゃ誰でも最初から仙人になれるわけがないように、冒険を重ねていくうちに真 理に気づくというわけさ。主人公の心の成長を物語っているんだ。RPGゲームと同じだ」 コンラト「なるほど……」 ナレ「そろそろ……\(・_\)ソノハナシハ (/_・)/コツチニオイトイテ」 ナタリー「で、そのやみのランプを使ってみたら?」 勇者「そうだね。使ってみよう」 ナレ「勇者は、やみのランプに火をともした。ランプから暗闇がしみわたり、あたりを夜 にそめた!」 勇者「お!夜になったぞ!?しかも人がいる!」 コンラト「村人が……戻ってきた?」 リリア 「なんか……怖いんですけど」 ナタリー「ま……まさか……幽霊じゃないでしょね」 勇者「おまえら、三点リーダーが多いじゃないか。たぶん、そのまさかじゃないのか」 リリア 「脅かさないでください」 勇者「幽霊だろうが、なんだろうが。情報を集めるためには、当たって砕けろだ!」 村人「魔王は北の山奥、ネクロゴンドにいるそうです。近いせいか、ここまで邪悪な空気 がただよっているように感じます」 村娘「ああ、空を飛べたら、どんなにステキかしら!そうすれば魔物におびえることもな く、行きたい所へ行けるのでしょうね」 コンラト「ほら、鉄格子に入れられた人がいますよ」 牢番「ここは牢ごく。立ち去られ!」 勇者「とは、言っても。最後のカギ持ってるもんね。牢番を無視して、鉄格子を開けて中 の人と会おう。昼間は死んでるんだから今のうちだ」 囚人「おお!やっと、来てくださいましたね。私は、このときを待っていました。運命の 勇者が、私のもとをたずねてくださるときを……。さあ、このオーブをおうけとりくださ い!」 ナレ「勇者は、グリーンオーブを手に入れた」 囚人「世界にちらばるオーブを集めて、はるか南のレイアムランドのさいだんにささげる のです。あなたがたになら、きっと新たなる道がひらかれるでしょう」 勇者「ふむ。グリーンオーブか……これと同じものを集めるのがゲームクリアの条件とい うわけだ」 ナタリー「冒険だよ。忘れないでね」 リリア 「レイアムランド……メモしておきますね( ..)φカキカキ」 老人「たとえ、魔王がせめて来ようとも、わしらは自分たちの村を守るぞい!」 リリア 「でも……滅ぼされたんですよ」 老人「よいか、旅のお方。まず牢屋のトビラをも開く、さいごのかぎを見つけられよ。バ ハラタのはるか南の島、ランシールにゆくがよい」 コンラト「なるほど、このご老人の話を聞いてから、最後の鍵を手に入れて、戻ってきて牢屋 の人からグリーンオーブを貰う。というのが正規ルートだったのですね」 勇者「何をいまさら。もう遅いよ。それにしても……どうやら、この村の人々は、自分が 死んだということに気がつかずに彷徨っているようだ」 リリア 「可哀そう……」 勇者「そうか(掌を拳でポンと叩いて)今思い出したぞ。ボーア戦争だよ!」 ナタリー「何よ、いきなり。ボーア戦争?」 勇者「イギリスとオランダ系移民ボーア人との植民地戦争だよ。何せこのあたりには、ダ イヤモンドや金鉱が発見されていたからな」 リリア 「この地は、その植民地戦争で廃墟になったというの?」 勇者「まあ、史実ではそういうことなのだが。その後復興しているしな……ゲーム上では 魔王軍にやられたという設定にしたのだろう」 ナレ「設定なんて言わないでください」 コンラト「それで、勇者さんのお得意な現世界の地図との照合は?」 勇者「そうだな……キンバリーかヨハネスブルグかな。渡って来た川はオレンジ川だ」 ナレ「真偽のほどはともかく、テドンの村へ来るには現時点では船を使って川を上って来 るしかありません。しかも、ポルトガやバハラタから寄り道しないで来ると、必ず夜にな ります。そして宿屋で朝を迎え村人が一人もいなくなるという恐怖のイベントに遭遇する というわけです」 勇者「テドンの村の人々、アラジンと魔法のランプが示すように、生き返らせることはで きないけど……。せめて、大魔神を倒してその魂を解放してやりたいものだ」 リリア 「そうですね。きっと魂も救われることでしょう」 ナレ「こうして悲しい物語を秘めたテドンの村に別れを告げるのだった。やみのランプに 込められた真相もまた……」 ナレ「ちなみに、グリーンオーブをくれた囚人は、その後に昼間来訪すると、こんなメッ セージを残しています」 遺体「返事がない。ただのしかばねのようだ……。しかし、壁にらくがきを見つけた。生 きているうちに、オーブを渡せてよかった……」
     
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