続・冗談ドラゴンクエスト 冒険の書・19

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最高導師 コンラト「フェリス王国に戻りました」 衛兵「これはこれは騎士団長どの、丁度国王陛下があなたを招聘なさったばかりです」 コンラト「国王陛下が?分かった、すぐに参ろう」 リリア 「私たちは宿屋にいます」 コンラト「分かりました。後で落合ましょう」 ナレ「仲間と別れ、城の謁見室へと直行するコンラッド」 国王「おお!コンラッドか、よくぞ参った」 コンラト「私をお呼びだとのことですが?」 国王「ああ、実は最高導師クアール様が予言なされたのじゃ」 コンラト「予言?どのようなものでしょうか?」 国王「この地に勇者が降臨して、魔王に連れ去られた姫を救出するだろうとな」 コンラト「勇者ですか……」 国王「ほれ、そなたと同行している勇者とか名乗る人物ではないのかな?」 コンラト「確かに、先の大魔王ズーマを倒した女勇者の子孫ではありますが」 国王「ともかくだ。その勇者を伴って最高導師クアール様の所へ参られよ。只今、この王 国の大聖堂にいらっしゃる」 コンラト「かしこまりました。大聖堂へ参りましょう」 国王「うむ。よろしく頼むぞ」 ナレ「というわけで、勇者一行を連れて大聖堂へとやってきた」 導師「よくぞ参られた」 コンラト「予言をなされたとか」 導師「ふむ……。そちらが勇者かな?」 コンラト「はい。大魔王ズーマを倒した女勇者の曽孫であります」 導師「そうじゃろうな。その瞳の輝きに勇者の血筋を受け継ぐ者特有の煌(きら)めきが ある」 勇者「ほえ?(退屈そうに鼻くそほじくっている)」 ナタリー「こ、こら!猊下(げいか)の御前よ」 導師「はははっ。構わぬぞ。楽にしてよい。そういえば、儂のムースの聖堂以来だな」 リリア 「はい。あの時のことは、感謝しても感謝しきれません。ありがとうございました」 勇者「なあ、そろそろ本題に入ろうぜ」 ナタリー「こ、こら!」 導師「さすが噂に聞くあの女勇者の子孫だな。肝っ玉が座っとるわい」 コンラト「じつは……斯斯然然(かくかくしかじか)……というわけでして」 導師「なるほど。勇者殿、ちょっといいかな(と勇者の顔に手を置いた)」 ナレ「それは、マインド・メルド(Mind Meld)と呼ばれる作法で、スタートレックのスポ ックが行ったアレである。精神感応で、勇者の潜在意識の奥深くへと侵入してゆく」 勇者「…………( ~−ω−~)zzz〜」 ナタリー「こら!寝るな!!(耳元で強めに囁く)」 導師「ああ、構わんよ。深層意識は寝ていても大丈夫だよ」 ナタリー「は、はい。そうでしたか、済みませんでした」 ナレ「やがて、静かに離れる最高導師」 勇者「ふわああ〜良く寝た」 ナタリー「何抜かしているのよ」 コンラト「それで、大魔王ブラモスのいるナクロゴンドの場所は分かりましたか?」 導師「この世界ではない、異世界にある!」 コンラト「異世界ですか?」 勇者「そうか!異世界ファンタジー物語が始まるのか?『異世界はフューチャーフォンと ともに』ってところか?タイトルも、とてつもなく長いのに変えなきゃな」 リリア 「違います!!」 コンラト「そこには行けるのでしょうか?」 導師「足元を見るがよい」 ナレ「一行が下を見ると、同心円に多種多様な文様の描かれた陣が現れた」 ナタリー「これは?」 導師「お主たちをブラモスの元へ届けることのできる魔法陣だ」 リリア 「この陣で大魔王の元へ行けるのですか?」 導師「いかにも」 コンラト「姫さまを救出して、戻るにはどうしたら?」 導師「そなたに預けた『道しるべの羅針盤』は持っておるか?」 コンラト「はい。ここに(と取り出して見せる)」 導師「ならば心配ない。姫を救出したならば、その羅針盤を手に取り、意識を集中して念 じよ。このフェリス王国を思い浮かべるのだ。さすれば、この魔法陣が感応してお主達を 運んでくれるだろう。儂を信じるのだ」 コンラト「信じましょう」 導師「気力も体力も十分だと思ったら、いつでも来るがよい。が、まずは装備を整えるこ とだな。その貧弱な身なりでは、ブラモスとは戦えないぞ。紹介状を渡すから、武具屋で 買い揃えよ」 ナレ「ということで、大魔導士の紹介状を持って武具屋へとやって来た」 武具「これはこれは、騎士団長のコンラッド様。今日はどのようなご用事でしょうか」 コンラト「この人達に最強の武器と防具を見繕ってくれ」 武具「騎士団の新人ですか?」 勇者「ちがわい!これを見よ(と紹介状を渡す)」 武具「こ、これは!クアール様の紹介状じゃないですか。なになに……(と読む)」 勇者「安く売ってくれるのか?」 武具「安く?滅相もない!国璽の押印された国王の勅命書が同封されていました」 コンラト「国王陛下の?」 武具「この書状を持ちたるものに、最強の武具を提供せよ。とあります。お代も、王室費 から出すとも」 勇者「ほんとか!?」 ナレ「店主は、奥の倉庫に入って武具一式を持ち出してきた」 勇者「す、すごい!ルビスの剣に、ミスリル銀の盾、グレートヘルムか……鎧はないの?」 ナレ「ちなみにルビスの剣は、GBC版DQ3において、氷の洞窟に潜むグランドラゴー ンを25ターン以内に倒した報償で手に入ります。それが何故ここにあるかは謎です」 武具「はあ、実は光の鎧レプリカならありますが……」 勇者「レプリカって、なんだよ」 武具「うちの出入りの鍛冶屋が、光の鎧に魅せられまして、レプリカを造ったのです。性 能は本物より一段落ちますが、それでも当店の鎧の中では最強です。非売品なのですがね」 勇者「ふうん……俺のひいばばの鎧の模造品か」 武具「もしかして、あなたは大魔王ズーマを倒されたという、あの女勇者様の?」 勇者「ああ、ひ孫だよ」 武具「やはり!クアール様や国王様が、手厚い加護をなされるのも分かりますよ」 ナタリー「中身は遊び人だけどね」 武具「こちらの書類に受け取りの署名をお願いします。王室への請求書になっていますの で」 勇者「レプリカの項目がないぜ」 武具「それは、差し上げますよ。使い心地など、後で報告して頂ければ、なお幸いです」 勇者「そうか。じゃあ、ありがたく頂いておくぜ」 ナレ「武具屋を後にして、クアールの所へ戻る」 勇者「ところで質問があるんだが」 ナタリー「何よ?」 勇者「ファンタリオン王国の姫を救出するのに、フェリス王国が援助するのは何故だ?」 コンラト「それは国王同士が兄弟だからですよ。フェリス王はファンタリオン王の弟で、娘婿 なんですよ」 勇者「つまり、逆玉ということか?有体に言えば、政略結婚だな」 リリア 「王国間ではよくあることですよ」 勇者「なんだよ、リリア。背中に担いだバッグは?」 リリア 「ええ。一度行ったら出直しできないから、たっぷりの薬草を持ってきました」 ナタリー「魔力回復のアイテムもある?」 リリア 「大丈夫ですよ」 ナタリー「なら、安心ね」 導師「準備はよいか?」 勇者「おう!いつでもいいぜ」 ナタリー「大丈夫です」 リリア 「運を天に任せます」 コンラト「お願いします」 導師「うむ……では」 ナレ「クアールが精神を統一し呪文を唱え始めると、四人の身体が輝き、やがて光の中に 消え去った」
     
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