梓の非日常/第二部 第一章・新たなる境遇(二)ディナー
2021.04.27

続 梓の非日常/第一章・新たなる境遇


(二)ディナー

「そうねえ……」
 と考えてから……。
 絵利香はボーイを呼び寄せて何事か相談していた。
「少々、お待ちいただけますか? 支配人にお話を通してみます」
 丁重な態度で用件を確認してボーイがホテルに戻っていく。
「なに、相談してたの?」
「いえね。このホテルには結婚式場があるじゃない。来客用の貸衣装とか借りられないかと思ってね」
「へえ、貸衣装があるんだ……」
「ホテルなら大概あるんじゃない? レストランにだって、ウェイトレスが粗相して客の衣装を汚してしまった時のために、ちゃんと用意してあるよ」
「そうなんだ。便利だね」
 やがて支配人がやってきた。
 依頼人が、ホテルのオーナー令嬢である絵利香だから、支配人自ら直接出向いてきたのである。
「絵利香お嬢さま。ようこそおいで下さいました」
「こんにちは、お邪魔してます」
「お話をボーイから承りました。お召し物の件はこちらでご用意させていただきますので、ご安心くださいませ。お料理の方も、十分吟味致しましてご満足頂けるものをお出しいたします」
「ありがとう。お願いしますね」
「どう致しまして。それではお食事のご用意が整うまでホテルでおくつろぎくださいませ」
 深々とお辞儀をして戻っていく支配人。
「やっぱりいいね。お嬢さまか……心地よい響きだよね」
 この頃には、梓と絵利香が富豪令嬢であることは、クラスメートや知人にはとっくに知れ渡っていた。ロールスロイスで通学したり、親睦旅行でのことを考えればすぐに気がつく。

 その後プールからホテルのレストランに移動して、慎二の快気祝いの食事会となった。
 各人、ホテルの貸衣装室で思い思いのドレスを着込んでいる。
 熱傷で何ヶ月も意識不明の重体だったとは思えないほどの、見事な食べっぷりを披露する慎二。
「いつもながら豚並みの食欲だなあ」
「そうねえ。せっかくのタキシードが泣いてるじゃない」
「服で食べるんじゃないだろう」
 食べ物を頬張ったまま喋る慎二。
「だったらタキシードなんか着なきゃよかったのに」
「一度着てみたかったんだよ。これ」
「馬子にも衣装という言葉は、慎二君には合わないわね」
「ほっとけ!」
 そんな慎二とクラスメート達の会話を黙って見つめている梓。
「おとなしいのね」
 絵利香が囁くように語り掛けてくる。
「そうかな……」
「だいぶ気にしているわね。負い目とも言ってもいいのかしら」
「なんでそうなるのよ」
「そうじゃない」
「おーい。絵利香ちゃん、次の皿はまだなの?」
 マナーとかの持ち合わせもない慎二に、周囲の他のお客がくすくすと笑っている。
「相変わらずね。慎二君は、一人前じゃ足りないでしょ。いいわよ」
 というとウェイターを呼び寄せて、もう一人前プラスして都合二人前を慎二に出すように指示を出している。ホテルのオーナー令嬢だからこそできることだった。
「サンキューね」
 食べているときが一番幸せという表情で、もう一人前の皿に舌なめずりしながら、フォークとナイフをすり合わせてから、手をつけはじめる慎二。
 命の恩人とはいえ、こういう常識知らずな面を見るにつけ、このまま付き合っていてもいいのだろうかと煩悶する梓だった。
「まあ、こういうところが慎二君のまたいいところじゃない。天真爛漫で嘘偽りのない正直な性格をまんま出しているんだから」
 と絵利香は、慎二をアフターフォローするが、梓にはいまいち納得できないでいる。
「そうなのかな……」
「そうそう」
 なんにせよ、慎二とはこれからも付き合いを続けていくのだろう。


 ニューヨーク・ブロンクスにある真条寺家本宅。
 当主である渚の執務室の電話が鳴る。
 渚専属の執事の深川恵美子が相手先を確認する。
『お嬢さまからのTV電話が入りました』
『はい』
 渚が机の上のコンソールを操作すると、右手の壁際にするするとパネルスクリーンが降りてきて、梓が映しだされて話し掛けてくる。
『お母さん、ただいま』
 その画面に向かって応える渚。
『お帰り、梓』
 梓は制服姿のままである。屋敷に帰ってきてすぐに連絡をいれてきた証拠である。その姿勢が母親としてはうれしいものだ。
 本宅と別宅に別れた状態で、ただいまにお帰りというのは実際には変な気もするが、母娘の間には、遠く離れた地にあっても、心が通じ合っていれば矛盾は感じていない。
『それで慎二ったらね……』
 梓は、今日一日に起きた事柄を、逐一報告している。男性である慎二という存在も包み隠さず話してくれる、母親としては思春期にある娘の気持ちも察して、決していぶかることなく真摯に梓の話しに耳を傾けてあげている。

『最近のお嬢さまは、ほとんど毎日のように慎二君の事を話されていますね。それも本当に楽しそうにです』
『そうね。正直に話してくれるのは、母親としては嬉しい限りだけど。やはり年頃の娘を持つ親としては、少々心配だわ』
『このままの関係が続けば、お嬢さまは、彼を真条寺家の婿としてお選びになりそうな予感がします』
『これは一度、その慎二君とやらに直接会って話し合ってみる必要がありそうね。いくら命の恩人だからといっても、それがトラウマとなって相手の真の姿を見失っているのかも知れない。麗香さんにしても、あまりにも近くに寄り過ぎているから、正確な判断を下せないでいるだろうし、ここは第三者の目で冷静に観察すれば真実も判るでしょう』
 慎二が国際救急センターに移送されて集中治療を受けていた際、渚も面会に訪れてはいたが、相手の容体を考慮して短く挨拶しただけであった。
 そしてある程度快復すると共に、再び日本の生命科学研究所へと移っていった。
『お嬢さまのお誕生日に、お呼びしたらいかがでしょうか。お嬢さまもこちらにいらっしゃることですし』
『そうしましょう。早速、麗香さんに連絡して』
『かしこまりました』

 慎二のアパート。
 渚から直接指示を受けて慎二を招待するために尋ねたのである。
 麗香がアパート名を確認して、階段を登りはじめる。
「こういう所に来るのははじめてね」
 世話役として梓と共に暮らすようになって、財閥令嬢の優雅な世界にどっぷりと浸かっている麗香には、一般庶民の生活に触れるのはこれが最初の出来事となる。
 同じ人間でも生まれた環境によってまるで生活を隔たれてしまう。かたや財閥のお嬢さま、かたやアパート住まいの一般庶民。雲の上の存在と、地を這いずりまわるもの、本来なら接点すら有り得ないはずなのに、なぜか神はいたずらをする人間交差点。
 命を投げ出して梓を助けだしたあの長沼浩二という男、しかもその男は当時中学生だった沢渡慎二という少年に男の何たるかを教えた。彼が、梓と慎二を引き合わせたのは、間違いのない事実であろう。麗華の知らないところで神は悪戯をしているようだ。
 そして今、梓と慎二の関係に新たなる予兆が始まろうとしている。
「ここね」
 203号室。確かに沢渡というシールが貼られている。
 ドアをノックする麗香。
「開いてるよ」
 と中から慎二の声が返ってくる。
 入っていいということかしら。
「失礼します」
 ドアを開けて、部屋の中に入る麗香。

 そこは安アパートのどこでもありそうな、作り付けの一畳程度の台所と四畳半の居間の二部屋のみ。1Kとも呼べないおそまつな間取りであった。とは言っても1Kという言葉自体、麗華が理解できているかは疑問であるが。仮に5LDKだっとしても狭いと感じるだろう。
 折りたたみ式の食卓を部屋の中央に置いて、カップ状の容器から麺状のものを、割り箸で口へ運んでいる慎二。
「もしかして今食べてらっしゃるのは、カップラーメンとかいうものではないですか?」
「そうだよ。って、カップ麺も知らないの?」
「はい。食事は、料理人達が作ってくれるものを、毎日頂いていますから」
「つまり自分で料理したこともないのかな?」
「いいえ。ニューヨークで梓お嬢さまと寮暮らしをしていた頃は、ちゃんと自分達で料理はしておりましたが、カップラーメンの存在は知りませんでした」
「寮生活で料理していたと言ったって、どうせブルジョアの生活だろう。毎日の食卓には、それこそフォアグラだのキャビアだのが並んだりしたんだろな。ま、そこまではいかないにしても、生活費は全部母親からもらっていたんだ。毎月いくらいくらの予算内でやりくりしなきゃならん俺達庶民の生活は知らないんだ。だからカップ麺のことを知らないんだ。このカップ麺がいくらするか知ってるか?」
 素直に首を横に振る麗香。
「このカップ麺が一個、七十円台から高くても二百円台だよ。これ一個で毎度の食事が済むんだ」
「そ、そんなに安いのですか?」
「まあね。それでそのブルジョアの方が、庶民の部屋に何のようかな」
「え? あ、はい。実は……」
「あ、ちょっと待って。全部食ってから聞くことにする」
 いきなりカップ麺を胃の中へかき込む慎二。物珍しそうにその光景を眺めている麗香。そばにあった未開封のカップ麺の容器を手にとり、説明書きを読んでいる。
 ……熱湯を注いで三分で食べられるのね。こんなものがあったんだ……
 最後の汁を飲み込み終えて慎二が口を開いた。
「さてと、さっきの続きを聞こうかな」
「あさってが、お嬢さまのお誕生日なのですが、ご存じでしたか?」
「え、そうなの? 知らなかったよ。教えてくれなかったものな。ということは、十六歳になるんだ」
「はい。それでニューヨークのブロンクスの本宅で、お誕生パーティーを開きます。そのパーティーに沢渡様をご招待することになりました」
「ありがたいけど、俺パスポートとか持ってないから、アメリカに行けないよ。今から申請したって間に合わないんじゃないか?」
 ハワイから強制送還を受けたことを思い出していた。
「アメリカ大使館で特別入国許可証を発行してもらいます。すでにアメリカ政府{入国管理局}の事前承認を得ておりますので、大使館で簡単な質問に答えて頂けるだけで済みます」
「あんたら、何者なんだ。アメリカ政府にコネでもあるんか」
「渚さまを甘く見てはいけませんよ。アメリカ政府どころか、世界の経済の行く末を握ってらっしゃるのですから」
「そうなの?」
「ともかく、今日中に申請に必要な書類を手に入れて頂きます」

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梓の非日常/第二部 第一章・新たなる境遇(一)憂鬱な日々
2021.04.26

続 梓の非日常/第一章・新たなる境遇


(一)憂鬱な日々

 慎二も無事に退院し、梓の生活にも平穏が戻りつつあった。
 しかし心境は以前とまるで変化していた。
 慎二に命を助けられたことは、明白な事実である。
 炎を掻い潜って助けにきてくれた時は、ほんとに驚いてしまった。
 そして、あの炎の中での告白劇も脳裏から離れることはない。

 そう……お互いに好きだと告白したこと……。

 生きるか死ぬかという極限にあって、果たして分別のある精神状態であったかどうか……。自暴自棄にはなっていなかったか?
 ただ単に相手を安心させるために、口からでまかせに発した言葉なのかも知れないし……。
 命の恩人の慎二はともかく、自分はどうだったのだろうか。

「助かったら、女の子らしくしてくれ……か」
 あの時、慎二と交わした約束を思い出した。
 指きりげんまんした小指をみつめながら思いにふける。
「あたしって……ほんとに男っぽいのかな……」
 確かに、すぐに喧嘩を仕掛けたり、問答無用で相手を投げ飛ばしたり、蹴りを入れたりするけど……。
「やっぱり、普通の女の子じゃないわよね……」
 潜在意識にある長岡浩二という人物がいる限りは、どうしようもないかも。
 しかし指きりげんまんした手前、女の子らしくする努力をしなきゃならないし……命の恩人の頼みだから、なおさらだ。
「ああ、もう! なんでこんなことで悩まなきゃならないのよ」
 思わず大声を出してしまう梓だった。

「あらあら、何を悩んでいるの?」
 振り返るといつの間にか絵利香が立っていた。
「梓ちゃん、最近元気がないわよ。せっかく慎二君が退院したというのに」
「だから、悩んでいるのよ」
「そっかあ、命の恩人に対し、どう接したらいいか……悩んでいるんでしょ」
 さすがに勘の鋭い絵利香だった。
「命を助けられたからって、普段通りでいいんじゃないかしら」
「女の子らしくしてくれと言われても?」
「言われたんだ……」
「うん……炎の中で」
「そっか……それで悩んでるんだ」

「でもさあ、その時の慎二君は、自分の命を捨てる覚悟の上だったんでしょ。自分にたいしてではなく、将来に恋人ができた時のことを考えての発言だと思う。つまり、慎二君にとっては、梓ちゃんが女の子らしかろうが、男っぽいところがあろうが、気にしていないと思うよ」
「そうかなあ……」
「だって、男っぽいところの梓ちゃんとも結構気が合ってるしさ」
「喧嘩相手としてでしょ?」
「喧嘩するほど、仲はいいのよね」
「どこがよ」
「でも命を張って助けてくれたことは認めるでしょ」
「まあね」
「意外と薄情なのね」
「なんでそうなるのよ」
「自分も慎二君のこと好きなのを認めなさい。そうすれば気が楽になるわよ。そもそもの悩みはそこにあるんだから」
 図星を突かれて言葉に窮する梓。
「やっぱり好きなのかな……。慎二のこと」
「二人を見てたら、誰だってそう思うわよ。いい雰囲気よ」
「そっかあ……好きだったんだ」
「人事みたいに言わないでよ。自分のことでしょ」
「認めたくないもう一人の自分がいるんだよね」
「浩二君の意識?」
「かもね」
「それは違うわね。そう思うことで逃避しているだけじゃない?」
「はあ……なんか堂々巡りしているわね」
「そうね」
「気分転換にどっか行かない?」
「それもいいかもね」(二)ホテルにて

 というわけで、出かけた先はホテルのプールだった。
 もちろんホテルといえば篠崎グループと相場が決まっている。水着になって泳げば気分も爽やか、絵利香の誘いに乗ってやってきた。
 ただ以前と違うのは、SPらしき人物の数が増えていることであった。一般人を装ってはいるが鋭い眼光からすぐにそれと判る。場所が場所だけに、女性SPもいるようだ。
 そして外出の際には、いつも麗香が付き添うようになった。
 研究所火災は、ハワイ沖海戦のことを含めて、梓の命を付けねらう何者かの存在を明らかにした。

「で、放火の犯人は捕まったの?」
「え?」
 絵利香の唐突な質問に驚く梓。
「な、何を言っているのよ」
「だめよ。隠しても判っているんだからね。梓ちゃんの命を狙っている人間がいることぐらい、とっくに気づいているんだから」
「気づいていたの?」
「篠塚の情報網も馬鹿にできないわよ。事の発端は、ハワイに行ったときの飛行機墜落事故の調査結果よ。自動操縦装置のプログラムが何者かに書き換えられていたことが判明したのよ。コースが逸れて燃料切れとなるようにね。わたしか梓ちゃんのどちらかを狙った犯行だと断定されたのよ」
「その事、どうして黙っていたの?」
「確信がなかったからよ。しかし今度の研究所火災で、間違いなく梓ちゃんが狙われていることがはっきりしたわ」
「そうかあ……やっぱり絵利香ちゃんもそう思っているんだ」
「当たり前よ。駆逐艦に攻撃されたりなんかすれば、誰だって思うわよ」
「そうだよね」
「その話し振りからすると、犯人には逃げられたんだね。あのマッドサイエンティストじゃないの?」
「可能性は大きいわね。あれから姿が見えないもの」
「今度から人を雇うときはしっかりと身元を確認することね」
「へいへい」

「やあ、いたいた。おまたせえ!」
 と背後から聞きなれた声。
「慎二!」
 振り返ると、いつものひょうきんな表情をした慎二が、クラスメートと共に水着姿で現れた。
 鶴田公平、相沢愛子らの面々が揃っている。
「遅かったじゃない、みんな」
「仕方ないよ。ホテルのプールなんて利用したことないんだから。入場・利用の仕方が判らなかったし、どの階にあるのかも判らなかったんだよ」
「フロントに聞けばすぐに判ったはずよ」
「だってよ、ホテルのフロントって、何かかしこまっていてさ。聞きずらいじゃないか」
「そうそう、一般庶民には高級ホテルは近寄りがたいところがあるのよね」
「そんなものなの?」
「お嬢様育ちの二人には判らないかもしれないね」

「へえ、意外ときれいに直ってるじゃない。瀕死の大火傷を負ったというけど、見る影もないわね」
「まあね。何せ真条寺家が全力を挙げて、世界中の名医を掻き集めて、最新の治療を施してくれたからね。な! 梓ちゃん」
 と言いながら梓の隣に座る慎二。
「そ、そうね……」
「ふーん。そういえば慎二君の快気祝いしてないわね」
「言われてみれば、その通りね」
「この後でやりましょうよ。プレゼントとかは用意してないけど……料理は出すわよ」
「フランス料理のフルコース?」
 慎二が小躍りし、舌なめずりして尋ねた。
「ええ、いいわよ。慎二君がお望みなら」
「よーし。食うぞー!」
「あのねえ。普通、快気祝いって」
「固いこと言いっこなしだよ」
「食い意地の張ってる慎二君らしいわね」
「しかしフルコースを頂けるのは嬉しいけど……できればふさわしい服にドレスアップしたいわよね」
「ああ、そうだよね。俺なんかTシャツにGパンだよ。きっと、追い出されちゃうよ」

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梓の非日常/第二部 序章 命をつむぐ
2021.04.25

続 梓の非日常/序章


命をつむぐ

 真条寺家執務室。
 天井から懸架されたパネルスクリーンに渚の姿が映し出されていた。
『お嬢さまは、今日も沢渡さまのお見舞いに、病院を訪れていらっしゃいます』
『そう……。仕方ありませんね』
 本宅との定時連絡の時間だった。
 日本とブロンクスとに分かれて暮らす、梓と渚との母娘の交流をはかるために設けられた時間であった。

 しかし今は、麗香が梓の近況を報告する機会に変わっていた。
『それで慎二君の容体はどうなの?』
『一進一退でございます。危篤状態から未だ脱却できておりません。実際生きているのが不思議なくらいで、日頃の鍛錬の賜物というか、その強靭な精神力が辛くも命を支えているものと思えます』
『それがいつまで持つかが問題ね』
『はい、その通りでございます。熱傷治療では有名な札幌医大の医療チームにもお越しいただいております』
『ああ、昔サハリンの五歳の男の子を治療したという……』
『こちらでできる限りのことは致しておりますが、何せ熱傷部位が七割にも達しており、かつ三度の重症もかなりに及んでおりまして、皮膚移植だけでは間に合いません』
『動かすことさえできれば、設備もスタッフも揃ったこっちの救命救急医療センターに、搬送するんだけど。危篤状態を脱して移送が可能になったら、すぐにでもこちらに運びましょう』
 国際救急救命医療センター。
 それはニューヨークにある広大な真条寺家ブロンクス本宅の敷地内、私設国際空港に隣接されて設立された病院である。悲惨な結果をもたらす航空機事故などに対応できるような、最新の設備とスタッフが揃っており、私設空港隣接という立地条件を活かして、ビザなし渡航による国際救急救命治療を可能にしていた。
 そして「空飛ぶ病院」と異名される専用の救急医療用ジャンボジェット機を待機させている。大地震などの世界中で起こった災害に即対応できる体制が整えられているのであった。
『ともかくも梓の命を救った恩人です。真条寺家の全力を挙げて治療に専念しましょう。世界中から医療スタッフを集めましょう』
『よろしくお願いします』
『日本事業本部の業務はすべてこちらで手配します。あなたには、梓のそばにいて、精神面のフォローをお願いします』
『はい。かしこまりました』

 連絡通話が終わった。
 麗香は、ため息をついてから端末を操作した。
 パネルスクリーンはするすると上がって、天井内に収まった。
「さてと、お嬢さまのところへ戻りましょうか」
 しかし……。
 麗香はいぶかしげだった。
 梓が、自分に内緒で研究所に通っていたということである。
「わたしに話せない秘め事があるということか……」
 誰しも隠し事の一つや二つはあるものだ。麗香だって梓に内緒にしていることはある。だからあえては問いただすようなことはしたくないが、ただ場所が生命研究所の地下施設ということが気がかりだった。
 生命科学研究所は梓が日本に来て事故にあい、最初に入院したところだ。
 仮死状態から蘇生させるために、一時期地下施設に運ばれたことがあったが、研究者以外立ち入り禁止で、母親の渚ですらその蘇生には立ち会いを許されなかった。極秘裏の何かが行われて蘇生が成功して戻ってきた。
 もしかしたら……そのことと関係があるのだろうか。
 確かにお嬢さまは、仮死状態から復活した。
 その後のお嬢さまは、少し男の子っぽい性格になっていたが、仮死状態で脳障害を多少なりとも受けているはずだから、それも仕方のないことだと医者から説明を受けた。
 研究項目にクローン開発部門もあるはずだが、実は戻ってきた梓お嬢さまがクローンだったなんてことはあり得ない。記憶は間違いなく梓お嬢さまのものだし、困った時につい髪を掻き揚げる独特の癖や、お嬢さま育ちの自然な仕草まで、完璧にクローンすることは不可能なはずだ。ましてやほんの数日でクローンを作成できるはずもない。
 間違いなく本物の梓お嬢さまであって、クローンではないと確証できる。
「だとしたら何の用があったのかしら……」
 詮索するつもりはないとはいえ、やはり気になるものだ。


 その頃、梓は付属病院のICUに収容された慎二を見舞っていた。
 感染対策と酸素供給のための特殊な無菌酸素テント内に隔離されたベットの上で昏睡状態の慎二がいた。
 熱傷患者には、熱傷による直接のショック状態の他、皮膚呼吸ができないために酸素供給不足となることが懸念される。
 本来なら一般人は入室などできないのだが、梓ということで特別に許可されていた。もちろん無菌テント内用の完全滅菌された治療スタッフ用のユニフォームを着込んでである。
「お嬢さま、少しはお休みになられないとお身体にさわりますよ」
 看護士が心配して気を遣っている。
 あの日以来ずっと見舞いに来ていた。
 学校が終えてすぐに来院し、夜に麗香が迎えにくるまで、ずっと慎二のそばで見守っていた。
「いいの……。この命は慎二に助けてもらったもの、もし慎二が死んだら……」
「滅相なことおっしゃらないでください! この方がせっかく命がけで炎の中から助け出してくれたお嬢さま。命を粗末に考えてはいけませんわ」
「……そうね。そうかも」
「この病院には熱傷治療のスペシャリストが揃っているんです。心配はいりませんよ」
「うん……」
 確かに最新治療という点では、最新機器とスタッフが揃っているのは知っている、とはいえ慎二のあの悲惨な状態を目の当たりにすれば、果たして看護士の言うとおりに助かるとは限らない。確立はかなり低いことが想像できる。
「お嬢さま、麗香さまがお迎えに参りました」
 振り返るとICUのガラス窓の外に麗香の姿があった。治療スタッフ以外は入室禁止のために外で待機しているのだ。
「わかった……」
 いつまでも慎二のそばに寄り添っていたいが、自分がいてもどうなるまでもなく、致し方なく退室する梓。
「いかがですか?」
「相変わらずよ」
「そうですか……」
「何とかしてあげたいけど……」
 それっきり黙りこんでしまう梓。
 麗香もそれ以上は尋ねなかった。
 息苦しい雰囲気。
 しかしどうしようもなかった。
 これだけは神のみぞ知ることであって、二人にはなすすべがない。
 病院を出てからファンタムVIに乗り込む。
「お母さんは何か言ってた?」
「はい。沢渡さまのこと、真条寺家の全力をあげて治療を施すと仰られていました。重篤状態を脱して移送が可能になったら、ブロンクスの救命救急センターにて、皮膚移植から形成手術に至るまで、全世界から寄せ集めた名医によって最新治療をなさる手筈を整えていらっしゃいます」
「そうなの……。わかった、ありがとう」
「いえ……」
 しばらく押し黙っていたが、ぽつりと話し出す梓。
「なんでかな……あたし、慎二のこと、こんなに心配してる。今までこんな思いしたことがないよ」
「それは沢渡さまのこと、好きだからではありませんか?」
「会えば喧嘩ばかりしているのに?」
「喧嘩するほど仲が良いというじゃありませんか。それになにより沢渡さまにとっては、命を掛けて助け出してくれるほど、お嬢さまのこと大切に思ってらっしゃるのですから」
「そうよね。命がけで救ってくれたのよね」
「はい」
「炎の中でね、『死ぬときは一緒だよ』って言ってくれたんだ」
「そうでしたか、そんな沢渡さまがお嬢さまを残して逝ったりしませんよ。必ず助かります」
 麗香とて確証などなかったが、そう言って慰めるしかなかった。
「そうだね。そう信じるしかないよね。慎二のことだもの、必ず助かるよね」
「はい。その通りでございます」

 一ヶ月が経った。
 慎二は、一進一退を繰り返しながらも、強靭的な体力をみせて、意識不明ながらも徐々に回復の兆候をみせていた。
 そしてついに移送可能なまでに回復し、医療スタッフと設備のより整ったブロンクスの救急救命センターへと移送が実施された。
 もちろん梓も同行して渡航した。

 ブロンクスへ運ばれた慎二は、全世界から選りすぐれた名医と、世界最高水準の治療が施された。 日本国内ではできない高度な治療だ。
 真条寺家の全力を挙げた治療と、梓の献身的な介護によって、慎二は奇跡的な回復を見せていた。
 生死を分ける皮膚呼吸を取り戻し、細菌感染を防ぐ緊急皮膚移植。創傷と顔の筋肉の引き攣れを修復する形成外科手術。そして以前の表情を取り戻す整形外科手術と、回復の状況に即した治療が段階的に施されていった。
 そして、ついに慎二は退院を迎えることになったのである。

序章 了

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梓の非日常/第九章・生命科学研究所(九)脱出!
2021.04.24

梓の非日常/終章・生命科学研究所


(九)脱出!

 その頃。
 外では、丁度消防隊が到着して、消火作業を開始していた。
「地下です」
「火元は地下からです」
 研究員や事務職員たちが口々に消防隊員に報告している。
 地下火災という現状を確認して、装備を取り出している黄色い耐熱服を着込た隊員達。いわゆる消防レスキュー隊と呼ばれる人々だった。取り残された人々を救出するために、耐熱服を着込み酸素ボンベなどの装備を抱えていた。突入に際して、煙の充満する中で協力しあって活動できるように、命綱でその身体を繋いでいた。
「責任者はいらっしゃいますか?」
 隊長らしい人物が叫んでいる。
 それに答えて課長が歩み出た。
「私です。総務課長の渋沢と言います」
「それで、中に取り残されている人は何名ですか?」
「確認できているのは一名。それ以外は不明です」
「その一名は?」
「この研究所のオーナー令嬢で十五歳の女の子です」
「女の子? なぜそんな女の子が取り残されたんですか。誰も連れ出さなかったのですか?」
「火災報知器がなって地下からの出火と判って、消火に行こうとしたのですが、すでに煙がもうもうと地下階段から上がってきていました。何の装備もなく助けに飛び込んでも、二次遭難になるだけだと思って止めました」
「それは正しい判断です。たかが煙とあなどっちゃいけません。火事の犠牲者の大半が直接の炎ではなく、煙で意識を失ったり一酸化炭素中毒で亡くなっているんです」
「そうだと思いました」

「隊長! 準備完了しました」
 隊員の一人が報告した。
「よし! 十五歳の女の子が地下に取り残されているそうだ。それ以外は不明だ」
「十五歳の女の子ですか?」
「そうだ。是が非でもその女の子を連れ出してこい!」
「はっ! 突入します」
 敬礼をして、小隊に戻ると、
「小隊、突入する!」
 と指令を発すると研究所の中へと突入していった。

 足元をじっくりと確認しながら階段を降りていくレスキュー隊。
「今、階段を降りて通路です」
 ヘルメット内に装着された連絡用の無線機で外に逐次報告する隊員。
『炎はどうか、燃えているか』
 地上の隊長の声が返ってくる。
「炎はここからでは確認できません。煙が充満しているだけです」
『一酸化炭素レベルは?』
「0.3%です」
『その濃度がどんなもんか知っているな』
「はい、三十分間その中にいると死亡する濃度です」
『よろしい。そのことを十分に踏まえて、速やかに取り残された人達の捜査を開始したまえ』
「了解!」
 じっくりと倒れている人物がいないかを確認しながら進んでいくレスキュー隊員。
 充満する煙の中に人影を発見する。
「人です。人が倒れています」
『生きているのか?』
「ここからでは、わかりません。近づいて確認をします」
『よし』
 倒れている人間のそばに歩み寄る隊員。
 移送ベットのそばに倒れている人影。
 それは慎二だった。
 手袋を脱いで脈を計っている隊員。
「少年です。どうやらまだ生きているようです。ひどい熱傷を負っています。それとたぶん一酸化炭素中毒の症状がでています」
『直ぐに運び出せ』
「ちょっと、待ってください」
『どうした?』
「そばの移送ベッドの上にガラス状の容器が……。女の子です。女の子がいました」
『女の子? 十五歳位か?』
「たぶんそれくらいです」
『よし、一旦その少年と女の子を回収して戻れ』
「了解。両名を回収して戻ります」
「隊長、カプセルが開きません。熱で癒着しています」
 カプセルを開けようとしていた別の隊員が報告する。
『かまわん。カプセルごと運び出せ』
「了解!」


 再び研究所の外。
 消防車や警察パトロールカーがごった返す敷地内。
 そこへファンタムVIが入場してくる。
 警察官がそれを制止する。
 窓が開いて麗香が顔を出す。
「立ち入り禁止です」
「研究所のオーナー代理です」
「オーナー代理?」
 そこへ研究所課長がやってくる。
「その人は身内です。入れて差し上げてください」
「いいでしょう。しかし消火活動の邪魔にならない所に車を置いてください」
「判りました」
 駐車場の一番奥に移動するファンタムVI。
 それを追いかけて、出迎える課長。
 麗香が降りてくるなり質問する。
「お嬢さまが火災現場に取り残されているって、どういうことですか?」
 額に汗流して説明している課長。
 火災報知器が鳴り出した時には、すでに煙が充満して下へ降りられないことを。
「わかりました。万が一に備えて、隣接の付属病院に緊急特別体制を敷いてください。緊急を要する手術以外はすべて日程を延期。火災現場で推定される治療項目のすべてのスタッフを集めて待機させておいてください」
 麗香とて、二次遭難を犯してまで所員を救出に向かわせることはできない。
「承知です。すでに手配は済んでいます」
「そう……」
 玄関口の方が騒がしくなった。
「罹災者が上がったぞ!」
 一斉に視線が声のした方へと集まる。
「行きましょう」
 課長が声を掛け、一緒にその場所へ向かった。

 担架で運び出される慎二。
 そしてカプセルごとの梓。
 すかさず医者と、カプセルを開けるレスキューが駆け寄っていく。
「どいて下さい」
「道を開けてくれ」
 人々を掻き分けて前に出て行く麗香と課長。
 カプセルに入った梓を見つけて駆け寄る麗香。
「お嬢さま!」
 しかし、カプセルを開けようとしていたレスキュー隊員に制止された。
「下がってください」
 カプセルの蓋を閉じている熱で変形した兆番を、グラインダーで削り始める隊員。
 火花を散らし耳が痛くなるような音を発しながら兆番が削り取られていく。
 やがてパキンという音と共に兆番が外れた。
「開けますよ」
 空気圧の差で密着したカプセルの蓋のとじ目にバール状のものを挿し入れてこじ開ける。
 プシュー!
 という空気が抜けるような音と共に蓋が開いた。
 早速医者が診察に入る。
 呼吸・脈拍などを調べている。
「いかがですか?」
 麗香が心配そうに覗き込んでいる。
 やがて振り返って医者が答える。
「大丈夫です。どうやら無傷のようです。ガス中毒もなさそうです」
 ほっと胸をなで下ろす麗香。
「至急病院に運んでください。一応精密検査しましょう」
「わかりました」
 それから向き直って、慎二の元に歩み寄った。
 別の医者が診断している。
 患部を見るために、衣類は鋏で裁断されて半裸状態になっていた。
「こちらはどうですか?」
「重体ですね。見ての通りの広範囲の熱傷です。生命限界の三割を超えています。さらに、一酸化炭素中毒症状もあります」
 これが以前の沢渡慎二かと思われるくらいに、悲惨な熱傷に覆われた姿があった。
「至急、ICUに運んでください。全力をあげての治療を!」
「判りました」
 消防隊員の説明を聞くまでもなく、梓を救出するために自らが犠牲になって、炎の中を突っ切って脱出してきたことは、明白な事実だと理解した。
 梓の命の恩人を死なせるわけにはいかなった。

 そのとき、背後で悲鳴のような声がした。
 振り返れば、梓が気を取り戻していた。
 そして担架の上で変わり果てた慎二の姿を発見したのである。
「慎二!」
 移送ベッドから飛び降りて慎二のそばに駆け寄った。
「慎二は……! 慎二は助かるの?」
「そ、それは……。努力はしますが……」
「どうして……どうしてなのよ!」
 梓は、目を閉じまま身動きしない変わり果てた慎二にすがりついて泣いた。
「助けてよ。助けてあげてよ!」
 そして麗香や医者に向かって懇願した。
「お嬢さま……」
「慎二!」
 声を枯らして慎二の名を呼ぶ梓の声が研究所内にこだましていた。

第二部に続きます。

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梓の非日常 第二部 第八章・小笠原諸島事件(十四)駆逐艦VS潜水艦
2021.04.23

梓の非日常 第二部 第八章・小笠原諸島事件


(十四)駆逐艦VS潜水艦

 アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦に乗船した梓と慎二。
 船べりから島を見つめている。
 突然、警報音が鳴り響く。
「総員戦闘配備せよ!」
「対潜魚雷及びデコイ発射準備!」
「シースプライト発進準備!」
 甲板にいた水兵達が一斉に武器装備へと駆け回る。
 そして船が大きく面舵に艦体を転回させ始めた。

 何事かとキョロキョロとする梓。

 その側に控えている麗香に、艦の伝令が近寄って何か囁いていた。
 そして麗香が事情を説明する。
「近くに潜水艦が潜んでいたようです。魚雷攻撃を受けました。急いで安全な場所へ避難します」
 水兵の案内で、防水気密区画の場所へと退避した。


 駆逐艦に向かって海上を突き進む魚雷。
「デコイ発射!」
 艦上から囮(おとり)魚雷が発射される。
「舵を中央に戻せ! 前進半速!」
 操舵室では息詰まる戦いが始まっていた。
 迫りくる魚雷の速度とコースを見極めながら、慎重に舵とエンジンコントロールを下令する艦長。
 敵艦に船腹を見せていては被害甚大、艦首を敵に向けて回頭する。
 シュルシュルと艦のすぐ側を通過する魚雷。
 甲板上の水兵達が、緊張の面持ちで見つめている。
「魚雷回避成功!」
「よおし! 今度はこちらから攻撃するぞ! 全速前身、取り舵十度! アクティブソナー用意!」
「324mm3連装魚雷発射管に弾頭装填せよ!」

 甲板から、H-2 シースプライト汎用対潜ヘリコプターが発進する。
 甲板後部からSQR-19ソナー・アレイえい航式パッシブソーナーが投下される。

「別の潜水艦がいます。高速で遠ざかっています! 島から発進したと思われます」
「どうやらそちらの方が本命だったようだな。例の研究員とやらも乗っているのだろう」
「戦闘機と今攻撃を仕掛けている潜水艦は、おとりだったようです。そちらに気を逸らせている間に、反対方向へと出航したのでしょう」
「そちらを追いたいのはやまやまだが、攻撃を仕掛けてくる奴を始末するのが先決だ。爆雷深度調整を百メートルにセット!」
 駆逐艦対潜水艦の戦闘が始まる。
 爆雷を投下しながら、潜水艦を追い続ける駆逐艦。
 追いつ追われつの攻防戦の果てに、駆逐艦の追撃を交わして潜水艦は消え去った。
「敵艦の感、消失しました」
「取り逃がしたもようです」
「戦闘態勢を解除、警戒態勢に変更。まだどこかに潜んでいるかも知れんからな」

 退避室で事の次第の報告を、艦長のエリアス・スターリング少佐から受ける梓と麗香。
「そう……。研究員は潜水艦で逃げたのね」
「確証はありませんが、可能性は大であります。この艦は主に領海警備のパトロールが主体でして、はっきり言いますと対潜戦闘は初めてでした」
 この時代は、昔と違って投下式の旧式爆雷はほとんど使われない。
 旧式の爆雷は、領海侵犯した船舶に対する警告・威嚇目的として使用されることが普通である。

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