プリンセスドール(1)

プリンセスドール


  (一)人造生命体


 私は、静かに命令する。
「よし! 始動してみよう」
「はい。システムプログラム始動します」
 助手が端末を操作する。
 私と助手の視線は、端末から出ているコードのもう一端に注がれる。

 そこには、ベッドの上に横たわる見目麗しい女性がいる。
 そうだ。
 これが私の発明した人造生命体。

 プリンセスドールだ!

 バイオ人工頭脳によって、自らの意思で考え動き、そして話すことのできる究極の人造生命体なのだ。
 冷たい金属部品は一切使用していない。
 すべてバイオ技術によって開発された人造臓器を持っている。
 人造蛋白質合成によって作り出された皮膚や筋肉、その体内には熱い血液も循環している。
 血液を全身に送り出す心臓、血液中に新鮮な空気を取り入れる肺、血液中の老廃物を除去する腎臓、解毒作用やグリコーゲン貯蔵のできる肝臓など、すべて本物の人間と同等の処理ができる完璧な臓器だ。
 彼女は、普通に食事をし、それを人造臓器で消化吸収してエネルギー源として活動し、当然として排泄もする。
 もちろん外見にもこだわった。
 すっきりとした目鼻立ちをした、誰が見てもため息が出るほどの美人顔を持ち、豊かな乳房、くっきりとくびれたウエストからヒップに至るまでのラインは絶妙である。
 もちろん女性として、男性を受け入れる性器も、完全に機能して愛液すらも分泌する本物以上の出来映えである。一度交われば虜になってしまうだろう。
 もはや人造生命と言うにもおこがましい。人間以上に人間らしいプリンセスドール。
 すでに彼女は生命活動をはじめている。
 肺呼吸をし心臓が動いて全身に血液を送り出している。

 後は目覚めさせるだけなのだ。